第28話 学園生活

カリトと緊急会議しないとね、と思っていたがいつの間にか入学式から一ヶ月何事もなく平穏に過ぎている。


お父様達が心配していたようなエリス様や王太子殿下に会う事もなくマリア様とはとても仲良くしている。


学園ではやるべき事全てが初めての事も多くて凄く新鮮だった。勉強は事前に家庭教師からある程度は習っているので復習的な部分もあったが、教える教師が違えばまた少し違う解釈を聞けて凄く勉強になる。


そしてもう一人友人が出来た。


クレイトン侯爵家の長女でエリーゼ・クレイトン様。マリア様のお父様のランドール公爵様の弟が婿養子に入られているそうで、従姉妹なのだとか。歳が同じだと言うこともあって小さい頃からエリーゼ様とは仲が良かったそうだ。勿論、マリア様からの紹介後親しくさせて貰っているが本人も凄く頭も性格も良い子だったのは言うまでもない。今では昼食も毎日一緒に取る程仲良くなったわ!


「そう言えばお兄様からお聞きしたんですが、もうすぐ魔法の野外学習が行われるそうですわ」


何時ものようにカフェテリアで昼食を食べているとマリア様がそう話し出した。


「野外......学習ですか?」


エリーゼも私も何も知らなかったので不思議そうな顔を二人して見合わせマリアの方を見る。


「ええ。何でも一学年の最初の学期に毎回行われるそうで、学園の敷地内にある訓練用の森で魔法の実地訓練をするそうですわ」

「まぁ!そんな授業があるのね!」


エリーゼ様も吃驚です。担任の先生からも今の所、何も話が出ていないのでまさかそんな授業があるとは予想もしてなかったんだと思う。


「でも実地訓練が出来る程魔法の授業はまだやってませんよね?大丈夫なんでしょうか」


私は攻撃魔法はお父様やお母様、更にはお兄様にも教えて貰い、治癒系魔法に関してはレイス様から師事を受けているので既にそれなりに魔法は使えるが、他の、特にAクラス以外のクラスの子達は大丈夫なのかと心配になってくる。下手をしたら怪我人が出る事も想定されるのではと思う。


「そうですわね。私もAクラスの皆様は大丈夫かと思いますが他のクラスの皆様は少し心配になりますわよね」


エリーゼ様も私と同意見のようだ。


「確かにお兄様から聞いた話では毎年何人かの生徒で怪我をされる方が出てたそうですわ。ですけど治癒専門の職員の方も騎士の方も同行されての実地訓練のようなので大丈夫だそうですわ」

「確かに.....それなら安心して授業を受けられますわね」


マリア様がギルバート様から聞いた内容を詳しく説明してくれてようやくエリーゼ様も安心する。

学園側としても預かっている貴族子息令嬢を何の準備もなく危険な目にあわせる事は出来ないだろうから当然と言えば当然の話で.....。


ただ、何となく......何となくだが野外実地訓練で何か起きそうな予感がしたのだった。



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