第19話 王都へ

領地の屋敷から王都の屋敷までは二日程掛かる距離にあり、馬車で王都の屋敷に着いた私を出迎えてくれたのはお兄様だった。


「ルナ、よく来たね。父上も母上もお久しぶりです」

「お兄様!」


久しぶりに会うお兄様はその度に美少年度が増して来る気がする。いや、美少年と言うのは可笑しいかしら?でも十五歳では美青年ではないし......!

そう、十五歳になったお兄様はそれはそれは素晴らしい貴公子へと変化していた。小さい頃から見上げていたお兄様だったけど、更に見上げなければいけなくなった。つまり言い換えれば私の身長が低いと言う事なのだけど......!


お兄様は学園では騎士科を専攻している。将来的には公爵家を継ぐことになるので騎士になる訳ではないけど、魔法と剣の両方を学べるのが騎士科なので必然的に騎士科を専攻する事になるのだとか。なので身長も高く、それなりに筋肉もついているお兄様は誰もが憧れる理想的な体型をしている事だろう。


「アルスも元気そうで良かったわ」

「母上もお元気そうで」


実は私が学園に行く年齢になった為、仕事でお父様が王都へ行くと領地ではお母様だけになってしまう時期がああり、それならばしばらく王都の屋敷で皆で住もうと言う話になり今に至っているのだ。

ただお父様とお母様が一緒に住むとなるとお茶会への参加が多くなりそうで、それだけが一番の心配事だったりする。夜会はまだ子供の私では参加できないのでホッとしているが......。


正直言えばお茶会の参加も面倒なんだけど、こればかりは仕方ないわよね


「ルナは疲れてないかい?」

「はい、私は大丈夫です!逆に屋敷から殆ど出た事が無かったので道中楽しかったです」

「そうか、それは良かったね。一年間だけだけどルナと学園に通えるのが僕は楽しみだよ」

「私もです!」

「そうだ、ルナさえ良ければ明日学園を見学してみないかい?」

「え!?良いんですか!」


新学期が始まる日までまだ一週間はある。これは遠方にある領地に住んでいる貴族が王都までに掛かる日数を考慮しているのと、在籍している学生も新しい学年になる準備の為の休暇に入る。その期間中、新しく学園に入る子息令嬢は付き添いが居れば学園を見学する事が可能なのだそうだ。


「お父様!行っても構いませんか!?」

「......そうだね、アルスが一緒なら大丈夫だろう。アルス、くれぐれも気を付けるようにな」

「ふふふ、勿論ですよ父上」


何やら目と目で語り合っているような気がする二人と、そんな二人を見てアラアラと笑みを浮かべているかお母様を私は不思議そうに見上げたのだった。

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