第14話 お茶会・2

基本的に貴族の結婚は政略的な物が多い。家と家との契約みたいな物でお互いの家に利益があるからこそ結ぶものが多い。とは言え例え政略的な結婚相手であったとしても蔑ろにして良い筈はない。婚約者になって時間をかけて信頼関係を築き仲の良い家も当然多いのだ。

私の家は恋愛結婚でずっと仲の良すぎる両親を見てそだっているから、出来れば私も恋愛結婚が夢なのだ。勿論お兄様にも好きな方と結ばれて欲しいと思っている。


なので勝手に婚約者候補にされても困るのよね


「......アルスもルナ嬢もそう思ってるのかな?」

「そうだね、僕もルナも両親を見て育ってるから結婚は自分が好きになって信頼できる相手としたいとは思ってるよ。実際に両親からは政略結婚はしなくて良いと言われてる。実際に断ってくれてるしね」


誰の、とは言わない辺りお兄様の腹黒さが見える。これはあれよね、遠巻きに私宛に釣書送ってきても無駄だからって意味よね。


「私もいつかはお父様やお母様みたいに好きな方と結婚出来たら良いなって思ってます」

「......そうか......それは素敵だね」


そう言いながらも困った表情が旨く隠せていないギルバート様と青い顔をした二人。まぁまだまだ子供だから仕方ないわよね。


まさかルナにそんな風に思われているとも思わない三人はその後のお茶会でも始終公爵夫人のペースにのせられ、最後までルナの魔力測定に参加したいとは一言も言えなかった。


当然と言えば当然の結果だろう。社交界を公爵夫人として渡り歩き公爵家を支えている相手にわずか十歳の子供が太刀打ち出来る訳もなかった。当然彼らの両親も最初から期待はしていない。期待はしていないが、相手も公爵家なので仲が悪いよりは仲良くしている事の方が将来息子達の利に繋がるだろうと放任しているだけだった。


子供がする事だから無茶はしないだろうと考えていた部分もあったことは否めない。まさか他家の魔力測定に参加しようと無理に里帰りに着いて行くとは予想もしていなかったに違いない。


マルシーネ家からそれぞれの屋敷に戻った後で父親達から叱られたのは当たり前の事だった。




お茶会が無事に終わり、彼らが案内された客間に戻った後でまだサロンに残っていたお母様に尋ねてみた。

「お母様、結局私の魔力測定はどうなるの?」

「勿論行うわよ。彼らの滞在は長期休暇中の最初の一週間だけですから、その後に行えば問題もないわ」


つまり、彼らはうちの領地に来るだけ無駄だったと言うことだ。


「母上、申し訳ありませんでした」

「あらあら、このぐらい大丈夫よアルス。ルナの聡明さを一度でも見たら婚約者候補にしたいと思われても仕方ないですものね、娘がモテモテでお母様も鼻が高いわ」


うふふと嬉しそうにするお母様に、私とお兄様は苦笑を浮かべるのだった。









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