第12話 婚約者候補?
長期休暇は領地があったり王都に屋敷がある貴族子息や令嬢は余程の理由がなければ自分の家に帰るのが普通だ。お兄様からの手紙にも友達を連れて帰るなんて事は一切書かれていなかった。それなのに実際は彼らが我が家にやって来たと言うことは本当に直前にお兄様に着いてきたのだろう。
「急いで父上や母上には連絡を入れたけどルナに言ってなくてごめんね、驚いただろう?」
「......そうですね、でもそれよりも何故私の魔力測定が気になるのかがわかりません」
普通魔力測定は屋敷に教会から専門の職員を派遣して貰い、身内だけでやるものだ。貴族家にとって属性や魔力量によっては秘匿しなければいけない場合もあるため、個々に公表されるものではない。また、魔力測定に他家が関わることはしないと言うのが暗黙の了解ともなっている。それなのに筆頭公爵家の嫡男達が無理やり関わろうとするのは良いのだろうか?いや、良くないだろう。
何か思惑があると思われても仕方のない行動なのは違いない。
「......あのね、ルナの魔力測定次第では彼らの婚約者候補になる可能性があるんだよ」
「婚約者候補!?」
お母様だけじゃなく、まさか向こうもそう見てるとか!?
「そう。ルナは公爵家の長女で可愛くて綺麗で可愛いし頭も良い。母上から淑女教育も頑張ってると聞いてるよ....そんな可愛いルナならお嫁さんに来て欲しいって家は沢山あるんだよ。父上は何も言わないけど釣書も沢山届いてる筈だよ?」
まさかの婚約者候補と見られていたとは......そしてお兄様は相変わらずのシスコン全開......
「......でも歳が離れてませんか?お兄様達と同年代のご令嬢もたくさんいますよね?」
「5歳ぐらいの年齢差なら貴族では普通だよ?それに確かに同年代のご令嬢もいるけど......」
そこでお兄様が言葉を濁す。何だろう......何か言いづらい事なんだろうか......
「お兄様?」
「その、こう言っては失礼にあたるとわかってるけど、およそ淑女とは言えないような行動のご令嬢ばっかりでね。あれではとてもじゃないけど今のままでは公爵家や侯爵家に迎えるのは難しいんじゃないかな」
困ったような表情で然り気無く毒づくお兄様に一体学園に通ってるご令嬢はどんな令嬢なのか逆に凄く気になった。
「......じゃあ魔力測定の時はギルバート様達も一緒に居るって事ですか?」
「いや、流石にそれは父上が公爵家として許可しないだろうし、ギルバート達も弁えてる筈だよ。要はいち早く結果を教えて貰いたくて着いてきたんだよ」
その返事にホッとする。万が一何かあった場合、家族以外に居られると確実に困ることになる。けれどどうやらお兄様は私のその表情を逆に解釈したようだった。
「大丈夫だよ、ルナ。例え魔力や属性が少なかったとしても僕の可愛い可愛い妹には変わりないんだからね」
「私の大好きなお兄様もお兄様だけです」
「ルナ~!!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめてくるお兄様に私もきゅっと抱きしめ返す。今後この暖かい温もりを失くさない為にも魔力測定は気を引き締めなければいけないと再確認したのだった。
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