第11話 休暇中
2ヶ月も練習すれば乗馬もそれなりに乗りこなせるようになり、先生である副団長からもよく褒められるようになった。
そしてついに今日お兄様が学園から長期休暇で戻って来る事になった。実はそれに合わせて私の魔力測定も行われるそうで、いよいよこれからの私の運命を決めるの第一歩の日が近づいてくると思うと別の意味でドキドキが止まらない。
どうか無事平穏に暮らせますように!
そうこうしている間にも時は過ぎていき、お兄様が屋敷に帰って来た。何故か友人達を連れて。
「ルナ!ただいま!!」
お母様達と出迎えた私をぎゅうっと抱きしめながら抱き上げる。少しみない間にお兄様の身長が伸びていて驚いた。
「お帰りなさい、お兄様!」
「あ~本物のルナだぁ~」
......お兄様、私に本物も偽物もないと思うのですが.....
何と比べられているのか微妙に気になるが、そんなお兄様を見て一緒に来たギルバート様達が少し引いているような気がするのは私だけではない筈。
「お、お兄様お兄様、ギルバート様達が引いてます」
慌てて私はお兄様の肩を叩くが聞く耳を持つ気はないらしい。そんなお兄様に苦笑を浮かべながらもお母様が代わりに彼らと挨拶を交わしていた。
「お久し振りです公爵夫人」
「しばらくお世話になります」
「宜しくお願いします」
ギルバート、セリオン、アレックスが順に挨拶をするのをお兄様の肩越しに見るとお母様も嬉しそうに3人に視線を向ける。
「3人とも相変わらずアルスと仲良くしてくれて嬉しいわ。自分の屋敷だと思って寛いでね」
しかし侮る無かれ。お母様はのほほんとした空気を醸し出しながらも3人をチェックする事を忘れていない。言葉使いや所作等、我が家に来る客のチェックをしているのは実はお母様なのよね。
まぁ多分あわよくば私の婚約者候補としてチェックしているのかも知れないけど。勿論、私にその気があればの話だけどね。
「ありがとうございます」
それにしても3人は自分の家に帰らなくても良いのだろうか?ギルバート様なんかは公爵家の嫡男なんだし長期休暇中にやらなきゃいけない事もありそうなのに。
「セバス、彼らをお部屋に案内してあげてちょうだい」
「畏まりました、奥様。では皆様此方へどうぞ」
セバスの後に着いていく3人に視線を向けていた兄が、彼らの姿が廊下の奥に見えなくなった途端私は拘束から解放され、唐突に兄に謝罪を受けた。
「ごめんね、ルナ」
「......何がです?」
「本当は長期休暇は僕だけで屋敷に帰る予定だったんだけど、ルナの魔力測定をその期間にする事をあいつら、どこかから聞き付けたみたいで......」
「はぁ......」
つまり、彼ら3人は無理やりお兄様に着いてきたのだ。
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