第10話 ダンスダンスダンスたまに乗馬

「ダンスと乗馬を習いたい?」


その日の夜、さっそくお父様に相談してみる。余程の事がない限り駄目とは言わないだろうと予想はしているが、なんと言っても自分はまだ五歳。早いと言われる可能性もあるだろう。


「ダンスは良いとしても、乗馬はルナにはまだ早くないかい?」


基本的にダンスは淑女教育でもあるのし、デビュタントに向けて小さい頃から習わせるものなのでお父様的にも問題はないらしい。

むしろ、習って欲しいと思っているだろう事が表情からも伺える。


「お父様、小さいお馬さんならきっと大丈夫です!」


私だってお父様達が乗る大きな馬で乗馬練習なんて無理だってわかってる。


「小さい馬かい?」

「はい。たしか家に小さいお馬さんがいたと思うんです!」

「......ふむ」


お父様は何やら考え込んでるみたい。

え、居たよね?小さな馬。


「お父様......だめですか?」


うるうると涙目で見上げれば、お父様は慌てて椅子から立ち上がり駆け寄ってくる。


「だ、駄目とは言ってないだろうルナ。ただ無理に早くから練習をして万が一ルナの可愛い顔に傷でも着いたらと......!」

「ぜったいに先生の言うことをまもりますから!」

「本当に先生の言う事を聞けるかい?」

「はいっ!!」


お父様との攻防の末、ダンスと共に乗馬のレッスンも受けることが出来るようになった。

が、思っていた以上に初めはそれはそれは大変だった。


......主に筋肉痛が......


一週間のうち、基本的にダンスレッスンは毎日の淑女教育に組み込まれ、乗馬はその合間に2日程で。


毎日毎日ダンスダンス。

自分でも5歳にしてはそれなりに上手に踊れるようになったと思う。たまにお父様がダンスのパートナーになって踊ってくれるので楽しいし嬉しい。今までの前世では考えられない程だ。お兄様が休暇で戻られたら是非とも一緒に踊って貰おう。

ちなみにダンスの先生は他の公爵家や侯爵家にも教えに行ってる社交界でも有名な侯爵夫人だそうで、私も最初に会った時は緊張したけど話してみると凄く厳しいけど優しい人だったのでホッとしたのは記憶に新しい。


乗馬を教えてくれるのは我が家の馬達を管理している私設騎士団の副長さんだった。お兄様も彼らから訓練を受けていたそうだ。

乗馬も最初は馬に馴れるのが大変だったけど、馴れれば大人しく背中に乗せてくれるし、私に合わせてゆっくりと歩いてくれる。手ずから差し出した餌を食べてくれる姿は本当に可愛く思うようになった。

この子はこのまま私のパートナーになる模様。







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