第5話 魔法と剣と魔道具と

それから仲良くテーブルに着くと早々に、お兄様は他の方への挨拶回りへとお父様に連れられて行き、私はと言うと紹介されたばかりの三人と何故か引き続き相手をすることになった。

......いや他に知り合いもいないしエルマも側に付いてるから良いんだけど......でもね、普通に考えて三歳児とお兄様ぐらいの年齢の少年じゃ話が合わないと思うんだ......そう言えば皆、お兄様と同じ歳なのかしら?

「あの......ぎるばーとさまと、せりおんさまと、あれっくすさまはおにいさまと同じとしなんですか?」

ルナの疑問に答えてくれたのはギルバートだった。

「そうだよ。僕とセリオンとアルスは公爵家の嫡男で同じ歳と言う事もあって茶会やパーティーで合う回数も多くてね。アレックスは次男だけどお兄さんの代わりによく公爵夫人に連れだされててね。いつの間にか仲良くなってたよ」

「兄上は近衛騎士だからなかなか時間が取れなくても仕方ないからどうしてもね」

アレックスはそう言って苦笑する。

「でもあと二年もすれば俺たちも学園に入るんだから連れまわされる事はなくなるだろ?長期休暇で屋敷に戻った時は参加させらるかもしれないけどな」

どうやらセリオンもあまりこういったパーティーなどの参加には積極的に参加したくはないのだろう。

「そうだね。でも代わりに学園内での他貴族達との交流が必須になるけどね」

「......うぜえぇ」

「セリオンは侯爵様と同じように近衛になるのが目標だもんね。学園でも騎士科を選択するんだよね」

「まぁな」

「きしか?」

「ルナ嬢はまだ先だけど、僕たち貴族の子供達が通う学園は基本授業の他にいくつか選択科目があってね、昔から侯爵様と同じ近衛騎士を目指してるセリオンは騎士科に決めてるんだ。ちなみに僕は宮廷魔導師を目指してるから魔術科だよ......アレックスは?」

「兄上と違って僕は剣術が苦手だし、魔力も少ないから魔道具科に行こうかと思ってるよ。魔道具開発は面白いし、魔力が少なくても問題ないもんね」

......皆しっかりと考えてるんだ......

さすがお兄様と友達なだけはあるのかも、などと本人達が聞いたら気を悪くしそうな事を平然と考えるルナは勿論そんな事など無自覚だ。

「まだ当分先だけど、ルナ嬢のような貴族の子女が受ける淑女科もあるよ。女の子は大体淑女科に行く子が多いけど、学園にいくまでにルナ嬢にやりたい事が出来たならその専門学科を受けると良いと思うよ」

あくまでもルナのその時の気持ちで決めればいいのだとギルバートは伝えてくれる。

「そうですね」

淑女教育はお母様以上に厳しい先生はいないだろうしね......

思わず普段の優しいお母様とマナー勉強中のお母様の落差を思いだし、ルナは身震いしそうになった。

そもそもルナが学園に入れるようになるのはまだ7年後で、兄ですらまだあと二年ある。学園は六年制で貴族子息・子女共に十歳から十六歳の子が通う。なので年齢的に言えばアルスとルナは数年だけは一緒に通える事になる。


......お兄様はどの科を選択するんだろう?


実の兄ながらいまいち掴み所のない兄はルナの中では最大の謎な人物であった。



......シスコンなのは間違いないんどけどねぇ......





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