スケボー
「春のこの時期は仕事がたくさんあって、マヤもとても
そうおじさんに言われて、いぶきは
「もちろん見たい。だってマヤくん、すごく
🐝
マヤ、楽しそうだな。私もやってみたいな。でもムリかな。この足じゃムリだよな。またこれ以上ケガでもしたら大変だ。
いぶきはそんなふうに思いながらも、じっとしていられなくなって、その場に立ち上がり、マヤの動きに合わせてその場でリズムを取り始めた。
昼休み、マヤの父といぶきの父は少し離れた所でお茶を飲みながら2人の様子を見ていた。
「小さい頃のいぶきによく
親としては子供の成長を喜ぶべきなんでしょうけど。思うようにできなくても
生意気でわがままなのも困るけれど、今となってはその方がまだマシのように思ったりもしてしまうんです。
あ、すみません。こんな話しちゃって」
「いや、ぜんぜん。お気持ち、わかりますよ。
失礼ながら、夏にお会いした時にはいぶきちゃんの事は知らなかったんです。
マヤの父はそう言って笑った。そして続けた。
「親の私が言うのも変ですが、マヤは障害を持って生まれてきたけれど、他の人にはない能力を持っているように感じています。こんな事を言ったら失礼かもしれませんが、いぶきちゃんとすごく
その時、マヤがいぶきの方を向いて何か手まねきをした。
そして、いぶきの前にスケボーを置き、いぶきとスケボーを
そんな事をするのを見たのは初めてで、マヤの父親は
いぶきの父親も思わずその場に立ち上がった。いぶきの足はまだ悪いのにムチャだ。またケガでもしたら‥‥‥。
そんな親たちの心配をよそに、いぶきはスケボーに乗り出した。
バランスをくずしてはボードから飛びおりて、をくりかえしながら、さすが、
マヤがボードをとりあげて、いぶきのマネと、良いお手本を見せている。
それを見て、いぶきがボードをとりあげ、良いお手本に近づけて乗ってみる。
そんな事を何回も何回も繰り返す。
2人の父親の目から涙が流れていた。
お昼休みの時間はとっくに過ぎていた。
「すみません。私は仕事にもどらなくては。今日はマヤはこのまま
たぶん2人は日が
そう言って去っていくマヤの父に、いぶきの父は深く頭を下げた。
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