第10章32話 Heretical Carnival 9. 新たなる旅路へ
……まさか私のユニットとの合流の前にケイオス・ロアと合流できてしまうなんて……。
向こうは向こうで、オルゴールたちとの合流はできていないようだ。ガイアの『外』で遭った時と同じ、ケイオス・ロアとミトラしかいない。
「まずは安全確保ね。ラビっち、しっかり掴まってて!」
”う、うん!”
ケイオス・ロアに拾い上げられ、彼女の肩に掴まる。
……そういや、テュランスネイルの時にもこうしてたっけ……懐かしさもあるけど、あの時の状況を思うと切なさの方が勝ってしまうな……。
それはともかく、彼女の言う通りまずは安全確保だ。
当然私だけの話ではなく、彼女自身とミトラだって多数のモンスターに囲まれているままだと拙いだろう。
「ミトラ、一気に殲滅するわよ!」
”了解。回復するよ”
彼女が身に纏っているのは《
その力を存分に揮い、襲い掛かってくる雪の神獣たちを蹴散らしてゆく……。
* * * * *
ケイオス・ロアの力は圧倒的だった。
敵モンスターとの属性の相性もあるだろうけど、文字通りの鎧袖一触で次々と神獣たちを薙ぎ払っていっていた。
わずか数分のうちに、迫ってきていた風雪龍たちだけでなく雪男もマンモスも全滅させてしまった……。
……使い魔とユニットの力の差なんてわかりきっているけど、あれだけ必死になって逃げ回っていた相手をこうもあっさりと全滅させるのを目の当たりにすると……流石に力の差に落ち込まざるを得ない。いや、まぁ落ち込もうが反省しようが、私自身のパワーアップなんて見込めないから意味ないのはわかっているけどさ……。
「一通り片付いたかな?」
”……そうだね、遠くにはまだいるみたいだけど当面の安全確保はできたと思っていいだろう”
彼女たちにとっては『作業』に過ぎないのだろう。
神獣の群れを薙ぎ払ったことに対する興奮も感動もなく、『目的』を果たしたという事実だけを淡々と確認しあっている。
「よし! それじゃ移動しましょうか。
ラビっち、状況確認は移動しながらにしましょ」
”う、うん。わかった”
半ばわかっていたことだけど、ケイオス・ロアは無防備でいる私を襲うつもりは全くないみたいだ。
”……でも、いいの? 一応、私『敵』なんだけど……”
思わずそう尋ねずにはいられない。もちろん、襲い掛かってこられるのは嫌なんだけど……。
ケイオス・ロアは私の言葉に笑みを返す。
「当たり前でしょ? アリスか、それか他のユニットにラビっちを返すまでは、責任をもってあたしが守るわよ。
――ミトラにだって文句は言わせないわ」
”…………はぁ……まぁいいけどさ。
不承不承といった感じでミトラも文句は言わない。
ちょっと気になるのは彼の言う『事情が変わった』だが……突っ込んで聞いていいものか迷うな。聞いたところで答えてくれるかはわからない――この場にいないオルゴールたちに関わっていることだとすると、わざわざいずれ『敵』になる私に情報を与えることになるからね。
「事情? まぁその辺りも移動しながら話しましょっか。
じゃ、行くわよ――エクスチェンジ《
新たな属性へとエクスチェンジすると、ケイオス・ロアの身体――いや、その周囲が黒い『靄』に包まれる。
『まほろば』――その名からすると、おそらくは幻とかを使う属性……以前でいうと《
次いでロードで鎖を変化させると、右腕から伸びる鎖の先端が『矢印』みたいな形状に変わる。
「オペレーション《ダウジング:出口を探して》」
オペレーションを使うと、鎖が勝手にふわふわと漂いだし――やがてある方向へと『矢印』を向ける。
ダウジングっていうだけあって、何かしらの『探し物』をする魔法みたいだ。
察するに『指定した物』をピンポイントで探し出す魔法なのだろう。レーダーとか、ルナホークの『偵察ドローン』みたいに広範囲の様々な情報を得るのには向いていないが、今回みたいに『どこにあるかわからない出口を探す』といった場合にはこの上なく有効な魔法と言えるだろう。
……ふむ、もしかしたらこの能力を使って、アンリマユ戦を乗り越えたのかもしれないな。まぁ今聞くことじゃないし今更な話だけど。
「あっちの方……あたしたちが来た方向の逆か、やっぱり。
結構距離があるけど、まぁエクスチェンジはしないでいっか」
ダウジング及びピクシスは《幻装》専用の魔法なのかもしれない。ホーリー・ベル時代から時々そういう特定の属性専用の魔法を持っていたしね。
「ミトラ、念のためモンスターを警戒しておいて。《幻装》で迷彩かけてるから大丈夫だとは思うけど」
”わかってるよ。まぁ確かに大丈夫かもしれないけどね……。
ラビ君、悪いけど君もレーダーは見ておいて欲しい”
”あ、うん。わかった”
レーダーのポンコツ具合についてはミトラもわかっているのだろう。
念のため、私とダブルでレーダーをチェックしておくつもりらしい――私の場合、見つけても口頭で伝えるしかないんだけど……。
「じゃ、行くわよ!」
両足枷に【
目指すはこの『氷の平原』の出口……そこから先に何があるのかは想像もつかないけど……進む以外に私たちに選択肢はないのだった……。
* * * * *
その後、私たちは吹雪の中をゆっくりと飛んで移動していった。
速度を出したいところではあるけど、いかんせん飛行能力特化の属性ではないし猛吹雪なのだ。
《幻装》の能力で周囲のモンスターに対して迷彩をかけているようだし、慌てず『矢印』の指し示す方向へと向かって進んで行った方がいいだろう。
……現金な話、ひとまず私自身の安全は確保できたわけだし。
というわけで、一言ミトラたちに断りを入れてから私の方から皆に向けて遠隔通話を飛ばしてみた。
最初に『返事が無理そうならしないでいい』と添えておいて。
私からは、私自身が無事なこと――そしてケイオス・ロアと一緒に行動することになったので、当面の間はおそらく安全だろうということ。『氷の平原』をこれから脱出し、次のフィールドへと進もうとしていること……。
『殿様、大丈夫なの!?』
っと、ジュリエッタから速攻で返事が返ってきた。
『”うん、今のところは大丈夫。ケイオス・ロアも――まぁ約束を違えていきなり襲ってくるってことはないと思う”』
彼女の正体=美鈴を知っているのは……あれ? そういえばアリスとヴィヴィアンくらいだったっけ? ジュリエッタは……美鈴が『ゲーム』に参加してるってことしか知らないんだったかな?
……ちょっとややこしくなるし説明が大変なので、これは後で余裕があれば――できれば合流できてから話そう。
『こちらの状況を報告いたします、ご主人様』
驚きと互いの無事を喜び合うのもそこそこに、ヴィヴィアンが状況を報告してくれる。
現在合流できているのはヴィヴィアン、ジュリエッタ、ガブリエラ、ウリエラ、サリエラ、ルナホークの6人。
彼女たちは『敵』を撃破し、先へと進んでいるそうだ。
『赤い廃墟』を抜けた先――一面が黄色い砂に埋め尽くされた『黄の砂漠』にいるとのこと。
砂漠に生息するタイプの様々なモンスターが出現しているものの、6人揃っている今全く問題なく進んでおり、ルナホークの偵察ドローンを使って『出口』を目指している最中という話だ。
……ふむ、私がガイア内部にやってきた当初は色々と追い詰められている感はあったけど、とりあえずヴィヴィアンたち6人に関しては当面心配無用かな……?
『”こっちからもわかったことを幾つか共有しておく”』
今度はこっちからだ。
まず私自身の状況については、さっき話した通りなので省略――仲間の内誰かと合流できたら私はケイオス・ロアから離れることになるだろう。
……ただ、その場でいきなり戦闘が始まるかどうかっていうのはちょっとわからない。結構好戦的とは言っても、中身が美鈴だし割と理性的に振る舞ってくれるとは思うんだけど……。
後は未だ合流できていないクロエラとアリスの現状についてだ。
『”アリスについては――私の方でも全然わからない。リスポーン自体は完了していて体力の増減は見えたんだけど……
リスポーン待ちになっていないのだけは確実なんだけど、遠隔通話も相変わらず通じないし……まだガイアの外にいるってことなんだろうか?
言った通り、体力魔力の増減が全く行われなくなっているので、安全な場所で待機して様子を窺っているのかもしれない、と心配ながらも前向きに考えるしかない。
で、問題はクロエラの方なんだけど……。
『”クロエラについてはさっきリスポーン開始している。ちょっと状況はわからないけど、「敵」と戦っていたのかもしれない”』
『くろがみゃ? みゅー……』
『にゃー……心配にゃけど――んにゃ、リスポーンしてからあたちたちの方から連絡してみるにゃ』
『うん。殿様は自分のことに集中してて。もしどうにもならなそうなら、改めて殿様に連絡する』
『”……わかった”』
皆の言うこともわかる。とりあえずは頷いておくしかない。
クロエラの状況は『白い洞窟』とやらにいる……としかわかっていない。
一体そこで何があったのか? 彼女本人もよくわかっていない『何か』に追い回されているようなことを言っていたし、それにやられたのだろうか……?
心配は心配だけど、とにかくクロエラについてはリスポーンが完了するのを待って話を聞くしかないか。
それについても比較的余裕の出来た6人の方で聞いておいてくれるとのことだ。
……まぁ皆の言う通りだ。将来の『敵』と共に行動している私が一番危うい状況なのには変わりないしね……。
『”それじゃあ、一旦これで。状況が変わったりしたらまた連絡を取り合おう”』
仲間内での相談を簡単に終え、私は再びミトラたちの方へと意識を戻す。
幸い、ここに来るまでの間モンスターが襲撃してくることはなかった。
近くを風雪龍とかが通りがかったりはしていたんだけど、《幻装》の迷彩が効いてくれているのだろう素通りしていってくれていた。
”お待たせ。皆との連絡は取れたよ”
「お、どうだった? 合流はすぐに出来そう?」
”……いや、それは流石に無理っぽいね……”
何しろフィールド間の繋がりがさっぱりわからないのだ。
『黒』→『赤』→『黄』とヴィヴィアンたちは移動しているが、この繋がりだって確定かどうかわかったものではない。
「そっかー。ま、気にしないで! あたしがちゃんとラビっちを守るからさ。
……ふふふっ、ラビっちの仲間と合流する前に、そのままあたしがガイアを倒しちゃうかもねー」
”そ、それは私的にはあんまり嬉しくないなぁ……”
冗談めかしていうケイオス・ロアだけど、その可能性が無きにしも非ずなんだよなぁ……。
このまま延々と仲間と合流できず、しかしケイオス・ロアたちの方だけ合流してそのままガイアの『コア』へと辿り着いてしまう……そんな可能性は十分にある。
皆の安全を優先したいという思いはあるが、この『ゲーム』の勝者とならなければならないという事情だってある。
……ほんと、一筋縄ではいかないというか、こっちの想像を変な方向で超えてくると言うか……大変なクエストだ、今回は。
今のところモンスターの攻撃でどうこうなるようなことはないので、その意味では『三界の覇王』とかに比べればまだマシではあるんだけど、それを上回る悪質さがこのクエストにはあるって感じだね。
このクエストを作った運営――というよりゼウスの性格の悪さと『クリアさせない』という強固な意志には、もはや呆れを通り越して感心すらしてしまう。
”――ボクたちだけで勝てればそれに越したことはないけど……それは少し厳しいかもしれないね”
「……ミトラ、そこで醒めるようなこと言わないでよー」
”君たちの実力は理解しているけど――ああいや、そうか、『冗談』ってやつか。ごめんよ”
「……謝られても……いや、まぁいいわ」
むぅ……実はちょっと心配していたけど、ケイオス・ロアとミトラとの仲はどうなんだろう? 今のやり取りだけで全てを判断することはできないけど、まぁお互い言いたいことを言い合える程度の間柄にはなっているとは思える。
……彼女に関しては、前の使い魔との関係がアレだったからなぁ……その原因の一端に自分が関係しているのも自覚しているので、正直ケイオス・ロアとミトラにどう絡めばいいのか距離感を計りかねている。
まぁもうベテランの域に達しているだろうし、戦闘について私からアドバイスをする必要もないから黙って運ばれていればいいかなって気はするけど。
それはともかくとして、私の方で仲間との状況確認をしていたんだけど、ミトラの方でもおそらくやっていただろう。
結果については、お互いに詮索することはない――ヴィヴィアンたちが既に戦っているであろうことはわかっているし、それはミトラの方でも把握しているはずだ。
いずれ、このクエスト内で敵対する時が来る。それをお互いに理解しているわけだし、何から何まで情報を共有する必要はないだろう。
そんな笑顔で握手しながらもう片方の手でナイフを握っているような、際どいバランスで私たちの関係は成り立っているのだ……。
「そういえばラビっちさ」
”うん? なに?”
そんな危うい関係を理解しているかどうかはわからないが、ともかく移動中にケイオス・ロアが訊ねて来た。
「外であの金色のドラゴンと戦ってた時――アリスもだけど動き止めたよね? あれ、どうしたの?」
――アリスがリスポーンに追い込まれる直前のことか。
すぐに私は思い出した。
そう、あの時私たちは――…………?
”あ、あれ……?”
答えようとして私は答えられず、混乱した。
な、なんで……!?
あの時確かに私たちは動きを止めてしまった。
が、それがどうしてなのかが
あの時……私たちは『誰か』を見たはずだ。
それがあまりに意外な人物だったために私たちは思わず動きを止めてしまった……それが『黄金竜』にやられた原因なのまでははっきりしている。
でも、一体誰を見たのか、それが全く思い出せないのだ。
……正確には誰かがいたのまではわかるのだけど、その姿かたちがぼんやりとしていてわからない……。
”誰か……いや、何か……? ともかく、何かを見たのは間違いないんだけど……ダメだ、全然思い出せない……!”
「…………よくわからないけど、あたしたちには見えない『何か』をラビっちたちは見たってわけね……」
納得したわけではないだろうけど、私たちが不可思議な体験をしたということについては理解してくれたみたいだ。
だからといって何が変わるわけじゃないが……。
「ミトラ、何かわかる?」
”いや、さっぱりだね。ありえるとすれば、あのモンスターがラビ君たちに『幻覚』を見せていた……とかかな?”
”う、うーん……そうなの、かな……?”
濁したけれど、そうではないだろうことは私が一番理解している。
同じくはっきりと思い出すことが出来なくなっているけど、ガイア本体が出現して皆が呑み込まれた時――その時にも『何か』を私たちは見たはずなのだ。だから、ガイアに呑み込まれずに外に残ることになった、それをはっきりと覚えている。
何だこれは……気持ち悪いな……。
『神々の古戦場』というキーワードと言い、自分の記憶にない『何か』が色々と出てきている。
……いや、正確には『自分の記憶が弄られている』かな。
本来覚えていたはずの記憶が消されて、曖昧なことしか覚えていない……そんな感じだ。気持ち悪いことこの上ない。
この記憶を消しているのが一体誰なのかがわからないのも、気持ち悪さに拍車をかけている。
クエストの仕様なのか、ゼウスの仕業なのか、クエスト内のイベントが絡んでいるのか、それとも全く別の何かが原因なのか……それすらもわからないのが気持ち悪い。
”……ごめん、隠すわけじゃないけど私にも思い出せないんだ……”
全ての情報を共有すべきではない、とは思うけどこの件に関してはその思いを別にして話せることがない。
私が誤魔化しているだけなのかは――ミトラからは判断はつかないだろう。
”
それは、きっと私が『イレギュラー』だからという意味だろう。
……まぁ確かにその可能性もあるけどさ……本当に説明できない事象だから反論も何もできない。
「んー……ま、とりあえず『何か』が起きたことだけは確かなのね。あたしとミトラにはわからない何かが。
やっぱ、ラビっちとアリスって妙なことに巻き込まれやすいよねー」
一体どこまで理解しているのやら、ケイオス・ロアはそう言って笑い飛ばしこの話題を終わらせる。
好き好んで妙なことに巻き込まれているわけじゃないんだけどね……いやマジで。
でも、確かに私とアリスが他のユニットの子にはない特殊なことに巻き込まれることが多い。それが私に起因するものなのか
”君の奇妙な状態についても気になるけど、まずはこのクエストの状況について話そうか”
”そ、そうしてくれると嬉しいかな”
いくら突っ込まれても私自身わかってないことの説明なんてできないしね。
ミトラの提案に乗っかってしまおう。
”君も把握していると思うけど、今ガイア内部のあちこちにユニットが散らばっている状態だ。
そして、今のところ誰もガイアの『コア』へと辿り着いていない……”
”うん……”
これに関しては、『私とミトラのユニットは』という但し書きがつくけど。
もしかしたら私たちと絡んでいない別の使い魔のチームがいないとも限らない。外で戦っている時にもう1チームはいそうだと思ったしね。
まぁ絡んでいない以上確かめる術もないし、確かめられる時になったら話し合う余地もなく敵対……の可能性だってある。とりあえずはいないものとして考えておいていいだろう。
”協力しよう、とまでは言わないけど……そうだね、少なくともボクとケイオス・ロア――そして君とアリス君については、しばらくの間は休戦でどうだろうか?”
……ミトラの休戦の提案は、あくまでも『私・アリスとミトラ・ケイオス・ロア』間だけのものだ。
まーそりゃね。ヴィヴィアンたちの方については目が届かないし、最悪のケースとして『協力することになった』と言っておいて裏で不意打ちを指示するってこともありうる。これはお互い様だけど。
だからお互いの目の届く範囲内においては、という紳士協定を結ぼうということだ。
”……わかった。私はそれで構わないよ、というかむしろお願いしたいくらいだよ”
”うん、助かるよ。
――ケイ、というわけだから……”
「あーはいはい、あたしだってわかってるわよ!」
ま、メインは私に向けてというよりケイオス・ロアに向けてなんだろうけどね。
流石にガイア戦を放っておいて二人の決着をつける、というわけにもいくまい。
……理想は、このクエストに参加している全使い魔とユニットが全員集合して、お互いに協力し合ってガイアのコアを目指すというものなんだけどね……それはそれで、最後のとどめをどうするかっていうので揉めそうだし、顔見知り間での紳士協定が落としどころかなぁ。
”アリスにも伝えておくよ”
ミトラにはとりあえずそう言っておいた。
アリスがこの場にいない、というのは誰が見ても一目瞭然だけど――ガイア内部に来ているかどうかは彼からはわからないはずだ。
敢えて私はアリスがまだ来ていないことを伝えなかった。まぁミトラも察しているかもしれないけど、特に突っ込んでは来なかった。
肝心なのは、アリスとケイオス・ロアが戦うことを防ぐことなのだ。アリスと最終的に合流できないままであっても、ミトラ的には特に問題はないのだろう。私にとっては大問題だが。
「うーん……アリスとの勝負は、ここで出来なかったら後日に対戦でできないかなー?」
”……検討しておくよ”
とにかくこのクエストをクリアさえできれば、彼女たちとの対戦も喜んで幾らでもやるけど……。
「! よし、『出口』が見えてきたわ!」
”はぁ……次はどんなフィールドなんだか……”
ふむ、『次は』ってことは……ケイオス・ロアたちはガイアの外から直接この場所に来たのではなく、別の場所からやってきたということか。
ヴィヴィアンたちの話を聞いてわかってはいたが、幾つものフィールドがあってそれを次々と移動して『ガイアのコア』を目指すという理解で合っているだろう。
一体いくつのフィールドを越えたら目的地にたどり着けるのか、いやそれ以前に仲間と合流できるのか……。
「さぁ、行くわよ!」
先行き不安なことばかりだけど、今はとにかくケイオス・ロアについていくしか選択肢がない。
私たちはゲートによく似た光へと突入――吹雪の荒れ狂う氷の世界から脱出するのであった……。
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