第10章24話 Heretical Carnival 1. 開幕のベルが鳴る

*  *  *  *  *




”! ここは……!?”


 気が付くと私は別の場所にいた。

 さっきまでいた――…………あ、あれ?


”…………?”


 ほんの少し前のことだというのに、全く思い出せない……!?

 外でアリスと共にケイオス・ロアと戦い、そしてその結果私がガイアに呑み込まれた――そこについてははっきりと覚えている。

 だけど、そこからここに来たというわけではないのも理解している。


”……ダメだ、思い出せない……”


 頭に靄がかかったように、ついさっきまでのことが思い出せない。

 確かに私は今いる場所以外のところにいて、そこでアリスのリスポーンをしたりしたはずだ。それは確実に思い出せるんだけど……それがどこだったのかが全く思い出せないのだ。

 ……ものすごく嫌な感じだ……まるで誰かに頭の中をいじくられているかのような、不快感というか不安が湧き上がってくる……。


”い、いや、今はそんな場合じゃない……!”


 気持ち悪さはあるが、ゆっくりとそれを考える余裕はない。

 とにかく『今』の状況について対応するのが最優先だ。

 なぜならば、私が今いる場所は――『雪と氷に覆われた地』だからだ。


”さむ――くはないけど、うぅ……”


 インティのクエストみたいな特殊な条件でもない限り、やっぱり使い魔は暑さ寒さを感じることはない。

 それはそれでいいんだけど、だからと言って安心は全くできない。

 とにかく猛吹雪で視界が異常に悪い上に、先に述べた通り完全に雪と氷に閉ざされていることくらいしかわからない。

 ……直接見たことは当然ないけど、まるで『氷河期』の世界だ。

 寒さでどうにかなることはない、というのは安心材料ではあるけどぼーっとしてたら私も雪に埋もれてしまいかねないくらいだ。


『”皆、私の声が聞こえる!?”』


 風雪を凌げる場所を探しつつ、私は全員を対象に遠隔通話を試みる――




*  *  *  *  *




 ――結果、私と連絡が取れたのはヴィヴィアン、ジュリエッタ、ウリエラ、サリエラ、そしてクロエラの5人だった。

 ガブリエラとルナホークは倒されてはいないが行動不能な状況……おそらく気を失う等しているのだろう、返事ができない状態みたいだ。

 ……皆がなぜか言葉を濁しているけど、おそらく戦闘があって全員が動くに動けない状況……と思った方がいいのだろう、この場合。

 詳しく話を聞きたくはあるが、それはもうちょっと落ち着いてからの方がいいだろう。すぐに話さないということは、彼女たちなりに考えがあるのだと思うし。

 まぁそれ以前にのんびり話せる状況ではない、というのが一番か……。


『どなたかご主人様の元へと向かうことはできないでしょうか?』

『……むー、厳しい……』


 困ったことに、私は皆とは違う場所に一人いるみたいなのだ。

 ヴィヴィアンたちが『赤い廃墟』、ジュリエッタたちが『黒い工場』、クロエラが『白い洞窟』。

 私がいるのはそのどれとも違う……どうもすぐに合流することは難しいみたいだ。


『”……ひとまず当初の打ち合わせ通り、合流を優先しよう。ガイアの中がちょっと想像していたのと違うけど……分断されたまま合流できない、なんて意地悪な構造でないことを祈ろう……”』


 可能性としてゼロではない、とは思うけどね……。

 ただ『ガイア内部に入りコアを倒す』ことが可能なはずということを考えれば、最終的に合流することはできるはず……。

 ウリエラたちも同じ意見だった。


『わたちたちが今いる場所と、うーみゃんがいる場所が繋がっているかはわからみゃいけど……』

『ゴールはつながってると思うにゃ。で、そこへ向かいがてら合流を目指すって感じにするしかにゃいと思うにゃー』

『”だね。私はどうしようか……”』


 今のところモンスターや他のユニットの気配はないし、寒さで体力が削れたり体調が悪くなっている感じもないから大丈夫と言えば大丈夫だ。

 だからと言って、私の体格でどれだけ広さがあるかわからない、しかも視界最悪の場所をウロウロしているのも……と悩ましいところだ。

 上手い具合にここから出ていけたとして、また誰とも合流できない別の場所に移動しちゃうと状況がさらに悪化する可能性も否めない。


『……ボクたちが行くまでボスには待っててもらった方がいいと思う』

『……だみゃー……』

『うーにゅ、待ってるだけってのもそれはそれで心配なんにゃけど……』


 そうなんだよね……進むにしても留まるにもしても、全く保証がないんだよね。


『――! ごめん、とにかく自由に動けそうなのはボクだけみたいだし、この場所を抜け出して合流できないか試してみる!』


 そう言うとクロエラが遠隔通話から抜けてしまった。

 彼女だけ一人で行動しているのは心配だし、『何か』に追われているということだけは伝え聞いていたけど……ヴィヴィアンたちもジュリエッタたちも身動きが取れないようだし、クロエラには申し訳ないけど自力で動ける以上奮闘してもらわざるをえないか。


『ご主人様、わたくしも現状を打破しそちらへと向かいます』

『うん、ジュリエッタも』

『”……了解。気を付けてね』

『んじゃー、うーみゃんは待機……でいいかにゃ』

『だにゃー。でも、念のためモンスターとかに見つかりそうだったら、迷わずその場から逃げて欲しいにゃー』

『”そうだね、わかった。隠れるようにしておくよ。でも――”』


 方針は決まった。

 私は一旦この場にとどまり様子を見る――その中には皆のリスポーン状況の監視も当然含んでいる。

 で、皆がここに来れればそれで良しだし、そうでなくとも……まぁ少なくとも私がやられない限りはリスポーンし続けることで状況を変えることもできるだろう。

 もしもモンスターなり他のユニットなりが現れて危険が及びそうなら、頑張って逃げるしかないかな……いや、見つからないように隠れることを検討した方がいいかな。

 幸い、猛吹雪で視界が悪い上にどこもかしこも雪に閉ざされている。私の毛の柄はほぼほぼ真っ白だし保護色になってくれるかもしれない――嗅覚とかまでは……流石に誤魔化せないかもしれないけど、吹雪の中でどこまで匂いが辿られるかは私にはわからないな……。

 モンスターとかに見つからないように隠れつつ、それでも少しずつでも移動して『出口』を探す……それが私のやるべきことだ。

 その方針を皆に話すと、


『……急いでご主人様の元へと向かいます』

『……殿様、無理だけはしないで』


 ……と、遠回しに微妙に反対の気配を漂わせながら言われてしまった……。が、強く反対というわけでもなく、『仕方なし』という感じではあった。


『ちなみに、アーちゃんの方はどうなんみゃ?』


 方針が決まったら即行動、といこうとするが、その前に皆もアリスのことは気になっているようだ。


『”……多分、いや間違いなくガイアの外側にいると思う”』


 一体いつリスポーンしたのか覚えてないけど、とりあえずリスポーン済みで現在は普通に動けているようだ。

 ただ、体力も魔力も増減しているのを確認しているので戦っている最中なのは間違いない。

 ……ケイオス・ロアと戦っているのか、それともガイア本体と戦っているのかは定かではないが……。

 つくづく最初に皆と一緒にガイア内部に来れなかったことが悔やまれる。不可抗力ではあるんだけどさ……。

 …………あ、あれ? そういえば、……?

 い、いやその疑問は後回しだ。


『”アリスもそうだけど皆のステータスはちゃんと見てるから、リスポーンはちゃんとやるよ”』

『わかった、殿様お願い』

『……まー、少なくともオルゴールたちはリスポーンにならないようにしてくるとは思うけどにゃー……』


 ! ぽろっとサリエラが零したけど、オルゴールたちと既に戦っていたのか……!

 そしてその口ぶりと『動けない』という状況から察するに、とどめを刺さずに動きを封じるに留めたのだろう。

 なるほど、戦略としては確かに『あり』かもしれない。

 特にオルゴールみたいな特殊能力タイプだと、リスポーンさせてしまったら状態異常――例えば糸で動きを封じるとか――も解除されてしまう。

 それを避けるために、敢えてとどめを刺さず動きを止め続けるというのは有効と言えば有効だ。


『ともあれ、このままではご主人様に危険が及びかねません。皆様、急ぎましょう』


 一人で行動しているクロエラに続き、ヴィヴィアンたちも行動を開始しようとする。

 ……心配は心配だけど、私も今回ばかりは自力で何とかしなければならない。


『”――よし、これ以上考えても進まないね。皆、動こう!”』


 ガイア攻略戦において、私たちはかなり遅れを取ってしまった。

 が、まだ取り返せないほどではない。

 もちろん皆の安全が大事なのもそうなんだけど、ガイア攻略――いや『ゲーム』の完全クリアをしなければならないのも確かだ。

 ……最後の最後で苦しい戦いになってしまっているが、


『うん、――皆、やろう』


 ジュリエッタの言う通り、なんだかんだで『いつも通り』だ。

 ……慣れたくはないけど、大体私たちの戦いってこんな感じだしね……それに、アストラエアの世界での最終決戦に比べればという思いもある。




 ガイア攻略戦――ここからが本番だ。そう私も、皆も、きっと外にいるアリスも、思っているはずだ。




◆  ◆  ◆  ◆  ◆




 ラビがガイア内部にやってきた――しかも周囲に誰もユニットのいない、孤立した状態で――という情報はジュリエッタたちを奮起させるに十分すぎるものだった。


『こうしちゃいられないみゃ!』

『りえら様も心配にゃけど、うーにゃん一人って最悪すぎる状況にゃ!』

『わかってる!』


 ヴィヴィアンから詳しい話をされておらず『動ける状態ではない』としか聞かされていないガブリエラの身を案じる気持ちは強いが、それ以上にラビが一人ということに危機感を抱いている。

 ……ガブリエラならば力業で何とかすることも不可能ではないし、自分たちが思っているほど『子供』ではないとアストラエアの世界での戦いを通じて二人も認め始めている。

 だから、ラビの救出が最優先――ラビがいなくなってしまったら、これまでの戦いが全て無に帰すことになってしまうのだから。

 そう新たに決意を固めるものの、だからと言ってすぐに動けるわけではない。


『……オルゴール、思った以上に危険な能力だったみゃー……』


 ウリエラは後悔を隠せずそう呟く。

 『強い』だろうことは直接共に戦ったことはなくとも理解していたが、その能力の危険さについての理解はかなり浅かったと認めざるを得ない。


『うりゅー……次戦う時は、【消去者イレイザー】でステッチを封じ続ける以外に方法がないにゃ』

『だみゃー……』


 オルゴールの真の恐ろしさは、糸を自在に操る魔法スレッドアーツでも糸で何でも作る魔法ウィーヴィングでもない。

 糸を縫い付ける魔法――刺繍魔法ステッチこそが最大の脅威なのであった。

 今、三人を縛り付けているのもステッチによるものである。




 ……三人とオルゴールの戦いは、ほんのわずかな時間で決着がついてしまった。

 糸によって攫われたジュリエッタを助けるためにウリエラたちが追いかけ、そしてオルゴールの姿を発見した時点で『手遅れ』とも言える状況になっていた。


『……当たり前みゃけど、使みゃー……』


 まずオルゴールは攫うと同時にジュリエッタの口を糸で縫い付けて塞ぎ、全身を縛り付けて無力化。

 追いかけてきたウリエラたちにはスレッドアーツやウィーヴィングで攻撃を仕掛け、ステッチから意識を逸らす。

 最後に仕込みを終えた後、一気にステッチでウリエラたちの口も塞いでしまえばオルゴールの勝ち確定だ。

 オルゴールが進化した【消去者】の効果を知っていたとは思えないが、それでも『魔法を消す』ギフトの存在だけは知っていた。だから、ギリギリまでその存在を隠して一瞬で勝負を決めたのである。

 どのような能力を持っていようとも、自動発動パッシブ系でない限りは必ず魔法にしろギフトにしろ『発声』が必要になる。

 あたりまえすぎて忘れがちではあるが、これは『物理的に口を封じれば能力を封じることができる』ということを意味している。

 オルゴールはその『あたりまえの常識』を突いてきたのだった。


『にゅー……やっぱりあの女狐は信用しちゃいけなかったみゃー。

 …………まぁあいつがいなきゃ、勝てなかったのも確かだけどみゃー……』


 アビサル・レギオンとの戦いに協力する、というのは本心からのものであったろう。それは最終局面に至るまで尽力してくれたことからも疑いようもない。

 しかし、だからと言ってあの戦いの後にまで協力するはずなどない。ましてや今は『ゲームクリア』を賭けた戦いの最中なのだ。

 共に戦っていた時から、オルゴールはこちらの能力を把握することに努め、そして対抗策を考えていたのだろう。

 それを実行したにすぎない。


『くぅぅ、全然拘束が解けないみゃ!』

『せめて魔法が使えたら……いにゃ、身体が動かせたら……!』


 両目に口だけでなく、体中を糸で縫い付けられ、その上ご丁寧にも『仰向け』で拘束されている状態ではどうにもできない。

 せめて身体を動かす、あるいはうつ伏せになれるのであれば、地面や運よく近くにある石や瓦礫・鉄片を使って口の糸を切るということもできたのだが……。

 おまけに、拘束されている本人たちは知る由もないが、三人を覆い隠すように周辺の残骸が組まれてしまっており、仮にモンスターが『黒い工場』内にいたとしても発見することはまずないだろうという状況――つまりモンスターに襲われて糸が切れるあるいはリスポーンするということさえも封じられてしまっている。

 この状況ではただでさえ非力なウリエラたちには、為す術もなかった。


『……ジュリみぇった?』


 と、あーでもないこーでもない、と遠隔通話で話していたウリエラたちだったがジュリエッタが会話に加わらなくなったことを怪訝に思う。

 彼女のラビに対する様々な想いは理解しているつもりだ。こういう状況の時、真っ先に駆け付けたいという気持ちがあるはずだし、誰よりも危機感を覚え足掻くのがジュリエッタのはずだが――


「め……た、もる……!」

『!? ジュリにぇった!?』


 二人の耳に、遠隔通話のものではないジュリエッタの肉声が聞こえてきた。

 そして、少しして――二人の拘束がジュリエッタの手によって解かれた。


「ま、まさかジュリみぇった……」

「い、糸を――」


 ジュリエッタが何をしたのか口にしかけ、二人は言葉を呑み込んだ。

 そうする以外に方法がないのはわかりきっていたためである。


「……大丈夫、こんなの何てことない」


 いつも通りの静かな表情でジュリエッタはそう答えるのみだ。二人はかける言葉を失ってしまう。

 ジュリエッタは、のだ。

 『発声さえすれば魔法は発動する』――だからオルゴールは口を封じたのだが、逆に言葉通り『』いいのだ。それがたとえ不明瞭であっても。

 だからジュリエッタは糸で縫われた口が裂けるのを覚悟で無理矢理開き、拘束から脱出したのだった。

 ……理屈でわかっていても、そして魔法によって修復することができるとわかっていても、自らの顔面を引き裂くようなことはウリエラたちにはできない。

 そこには元の『性別』の差もあるかもしれないが――


「オルゴールはいない……急ごう、二人とも」


 まるで何もなかったかのように見た目上は冷静に振る舞うジュリエッタを見て二人は、


「…………ちょっと甘く見積もってみゃー」

「…………ぶっちゃけちょっと妬けちゃうにゃー」

「? 二人とも、まだ糸が残ってる?」


 と割と本心から呟くのであった。




◆  ◆  ◆  ◆  ◆




「ルナホーク様、動けますか……?」


 奮起したのはジュリエッタたちだけではない。

 当然、『ラビの護衛役』を一番長く担っていたヴィヴィアンも同じだ。


「……パートナー・ヴィヴィアン……当機は……?」

「! 良かった、気が付かれましたか!」


 タイミングよく、意識を失っていたルナホークが目覚めてくれた。

 手早く状況を説明、ルナホークとも協力してこの場を切り抜ける方法を考えなければならない。


くっシット、なんたる失態を……!」


 自分が意識を失う前のことを思い出し、ルナホークが心の底から悔しそうに吐き出し立ち上がろうとするが、


「お待ちください、ルナホーク様。使


 ヴィヴィアンがそれを制止する。

 無言で視線を自分たちを取り囲むように展開している『飛行物体』へと向け、ルナホークもつられてそちらを見て――おおよその事情を悟った。




 BPの戦闘能力は『圧倒的』としか言いようがなかった。

 能力の全貌は見切れてはいないものの、おおよそヴィヴィアンとルナホークの能力を掛け合わせたようなものだということは理解していた。

 周囲に浮かぶ飛行物体――BPの魔法によって作り出された『ドローン』……これがある限り、ヴィヴィアンたちはこの場から動くことができない。

 ドローンたちの行動原理は『ヴィヴィアンたちから一定距離を維持』『魔法を使ったら迎撃』『包囲網から脱出しようとした場合阻止する』ただし、『ヴィヴィアンたちに』というものだ。

 オルゴールと同様、こちらもリスポーンさせずこの場から逃がさず、を目的としているのは明らかであった。


「むむ……このままでは当機の手足の修復もままなりません……」


 BPがルナホークの手足を破壊したのは、残虐性からではない。

 魔法によって換装可能なのを知り、それを実質封じ込めるためだ。

 ヴィヴィアンについてはとりあえず移動能力だけ奪っておけば、後は召喚獣を呼び出すたびにドローンで撃墜すればいい。

 そして一番厄介なガブリエラはどういう手段かは不明だが、氷に閉じ込めて完全に動きを封じ込めておけば良い――彼女が自由に動けたらドローンなど力業で突破できてしまうだろう。


「わたくしに考えがございます」


 ――女子小学生組のこの発言には毎度嫌な予感がするものの、手足を失った今のルナホークには為す術もない。


「わたくし一人では打破できませんでしたが、ルナホーク様もいる今なら――」


 ルナホークの返答を待たず、ヴィヴィアンはBPの残していった包囲を突破するための『作戦』を語り始める――




「……オーダー受領、パートナー・ヴィヴィアン。貴女の指示に従います」

「うふふっ♡ ご理解いただけて何よりですわ」


 痛みを堪えつつもヴィヴィアンはそう言って柔らかな笑みを浮かべようとする。


 ――本当に、成長しましたね……。


 ヴィヴィアンの作戦の内容、そしてその躊躇いのなさに改めてルナホークあやめは改めて思いを馳せる。

 アストラエアの世界での(操られた)ルナホークとの戦いでもわかってはいたが、こうして共に肩を並べて戦うことでより成長――精神的な成長を実感することができていた。

 良い悪いは議論の余地はあろうが、少なくとも『ゲーム』での数多の経験は圧倒的にヴィヴィアンの方が多く、いざという時には頼りになるとも思う。


 ――けれども、私が甘えてばかりはいられませんね……!


 同時にルナホークあやめもまた奮起する。

 恩人たるラビの無事と新たな窮地を知ると共に、『妹分桃香』の想像以上の成長に対しての若干の対抗心が湧き上がってきたのだ。


「……パートナー・ヴィヴィアン。この場を切り抜け、再度敵機と遭遇した際に向けて話しておきたいことがあります」

「……?」


 故に、ルナホークは語る。

 この先首尾よく包囲網を抜けられた後に待ち受けるであろうBPとの戦いに備えて――

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