第10章14話 黄金竜との死闘
嫌な想像は当たってしまうものだ……。
『黄金竜』とガイア――の分体だろうか?――が同時にアリスへと襲い掛かってきた。
加えて、上空からは雷が絶え間なくあちこちへと落ちている状態、しかも地面……いや地下にはガイア本体がいる。
マジで『四面楚歌』だ。
……他の子のところには『黄金竜』は現れていないということだけは朗報と言えるかもしれない。少なくとも、ゴーレムを何とかできれば突破可能ではある。
となると――アリスの取れる選択は二つ。
自力で目の前の敵二体を倒して突破口を開く。
もう一つは仲間が来るまで耐える……そして合流後に『黄金竜』たちを倒す。
この二つだろう。
『黄金竜』はガイアとは別口みたいだし戦う必要はないのかもしれないけど、正直こいつから逃げるのは容易ではない。
とにかく素早いのだ。一挙手一投足が速いというのもあるが、一瞬で背後に回り込んだあの動き――まるで
仮に結晶竜と同じような能力を持っているのだとすると、逃げ切れるとは到底思えない……《
「チッ……やるしかないか」
アリスも同じ結論に至ったらしい。
厳しい局面ではあるが、ここを乗り切らないとガイア『本体』と戦うことすらできないのだ。
……どういった選択をとるのか――まぁアリスの性格を思えば考えるまでもないか。
「魔力回復は任せる!」
”うん!”
当然、
私に否はない。アリスのために、全力でサポートするだけだ。
レーダーも確認するが、相変わらずゴーレムの方は反応なし……『黄金竜』の方だけが映っている。
……いや、これももしかしたら違うのかもしれない。
『嵐の支配者』の時同様、ガイアがあまりにも巨大なのでレーダー全面が埋まってしまっていてわからないだけなのかもしれない……あの地下の『目玉』を見た後はそう思う。
どちらにしろゴーレムは『腕』同様にレーダーは頼れない。
後は『黄金竜』みたいに他のモンスターが急に現れないかを注視するだけに留めておこう。
……他のチームのユニットにも気を付けなければならないし、かなりハードなクエストだ……! まぁ『ラスボス戦』に相応しい難易度だと言えばそうなのかもしれないけどさ……まさかラスボスそのものと戦う前にこんな苦戦させられるとは思わなかった……。
「二体同時……ふん、上等だ!」
……流石というかなんというか、アリスは全く怯む様子はない。
うん、私も見習わないとね。
”後ろのゴーレムも迫ってきた!”
「おう!」
私にできることは回復と、レーダーに映らないゴーレムの監視だ。
ぶっちゃけ、『黄金竜』の動きは私には影も捉えられない。なら、目視で確認できるゴーレムの方を担当した方がいいだろう――もちろん、同時に他の新手が来ないかはレーダーを注視しつつだ。
背後に現れたゴーレムが突進――が、鈍重そうな見た目に違わず速さ自体は大したことはない。
振り返ることもせず、アリスはすぐさま横へと飛んで回避。
ゴーレムよりも、むしろ前から突っ込んでくる『黄金竜』への視線を切らさず警戒を続けている。
「!? こいつら……仲間じゃないのか!?」
”みたいだね”
『黄金竜』もまたアリスにしか目がいっていないみたいで、突っ込んできたゴーレムと正面衝突。
大きさと質量はゴーレムの方が上回っていて、『黄金竜』の方が吹っ飛ばされてしまっていた。
別モンスターということから想像はしていたけど、やはりこいつらゴーレムと『黄金竜』は仲間なんかじゃないみたいだ。
上手くいけば同士討ちも狙えるか……?
”! ダメか……!”
が、流石にそれは甘い考えだったか。
すぐに立ち直った『黄金竜』が、自分を跳ね飛ばしたゴーレムには目もくれず再度アリスへと向かって突進してくる。ゴーレムもまた同じく、だ。
……これが普通のモンスター同士だったら、互いを敵認定して同士討ちしてくれることもあるんだけど……『デジタル異世界』のモンスターじゃそうもいかないか。
「cl《
『黄金竜』とゴーレムが一直線に並ぶようにアリスが誘導、並んだ瞬間に《アンタレス》を放つ。
もちろん『黄金竜』は軽々とそれを回避――が、その後ろから迫ろうとしていたゴーレムはまともに浴びてしまう。
『腕』と同じ、土や岩でできたその身体は見た目の割には大して『硬さ』はないようだ。いともあっさりと砕け散ってはいたが……これまた『腕』と同じでその辺の地面を吸収して再生してしまう。
むぅ……『腕』と同じ、何度も削っていかないと倒せないパターン、かな……? 生き物とは思えない姿だし、弱っているのかどうかも見た目からはわからないのが厄介だな……。
ともかく、動きの鈍いゴーレムの方よりも素早い『黄金竜』の方が今は脅威だ。
「……挟み撃ちは避けられたが……」
確かにそうだけど、状況が良くなったとは言い難い。
どっちにしても、ゴーレムがいようがいまいが『黄金竜』の脅威には違いはないのだ。
「ab《
ゴーレムに命中した《アンタレス》に対して更に《分裂》をかける。
すると巨星が消滅せずにその場で爆裂――ただしこれ自体に攻撃力はない――無数の細かい破片となって周囲へと飛び散る。
その破片は回避した『黄金竜』の方へももちろん飛散していた。
「ふん、これならどうだ!? ext《
魔法が消えるギリギリの瞬間に無数の星の欠片を創り出してゴーレム諸共『黄金竜』を捉える。
そして星の欠片に対して連星魔法――範囲内に存在するあらゆる物質を押しつぶす超重力空間を作る《ジュピター》を発動。
狙い通り両方が超重力空間に捕まり、地面へと叩きつけられた。
”よし!”
「くっ……だが、しぶとい……!」
ゴーレムの方は為す術もなく押しつぶされ、立ち上がることもできずにただの土塊へと還っていった――《ジュピター》解除と同時に復活するかもしれないけど。
しかし『黄金竜』の方はと言えば、突進を止められ地面に縫い付けられはしているものの、押し潰そうとする力に抵抗して立ち上がろうとしている……!
この魔法、ユニットに対してはほぼ完封できるだけのパワーはあるけれども、モンスターに対してはそうではない。
……『モンスター』に分類される生物の底力は、ユニットと比べても遜色ない……どころか凌駕しているものも多い。
特に単純な腕力だとか、『生命力』とか――そういう
”……とんでもない化け物だね……”
『黄金竜』は格闘主体の戦い方といい、どうも
《ジュピター》の超重力に対して、腕力と体力だけで抵抗している……。
”……うっ……”
その時、押しつぶされるのに抵抗している『黄金竜』の視線と私の視線が交わった――ような気がした。
背筋がぞくりとし、全身の毛が逆立つような……そんな、『恐怖』を私は感じた。
……今まで直接襲われるような危機において恐怖を感じたことはあったが、こんな――見るだけで恐れを感じるようなのは初めてだ。
あえて言うなら、初めて『天空遺跡』に赴いた時のノワールやルージュの咆哮を聞いた時に近い。
何というか……本能的な恐怖というか、理屈で説明できない『何か』を私は確かに感じている。
「クソっ……!?」
アリスの方はそうでもないのか、必死に《ジュピター》を維持して『黄金竜』を押さえつけているが――拙い、このままだと抜けられるかもしれない。
最初は動けなかったのに、今や『黄金竜』はしっかりと立ち上がり、一歩一歩……かなり重い歩みではあるが進み始めている。
《ジュピター》を更に強くするか……!? それとも、この魔法が効いているうちに距離を取るなりして態勢を立て直すか……!?
迷う私たちだったが……状況はどんどんと悪化していく。
「!? 地震!?」
”いや、それだけじゃない! 空から新しいモンスター!?”
地面が大きく揺れる。
しかも普通なら立っていられないくらいの、大地震クラスの揺れだ。
アリスは《スレイプニル》を装着しているし少し飛べば揺れそのものの影響は受けないが――地震の影響で地面にできていた裂け目が更に大きく広がってゆく。
このままだと『黄金竜』の足元にまで裂け目は到達してしまうだろう。そのまま落下して消えてくれる……とは流石に思えない。
が、それ以上にヤバい事態が起きていた。
「…………マジかよ……」
私の言葉にアリスも空へと視線を向け、呆然と呟く。
……そう、空から新しいモンスターが現れたのだ。
まるで雷光そのもののような輝きを放つ龍と、真っ白い嵐を纏った龍――それが
…………かなり距離が離れているにも関わらずはっきりと姿が見えるほどの巨体だ。大地の『腕』と同じくらいかもしれない。
雷と風の龍たちは、『腕』やゴーレムと同じようにレーダーに映らず図鑑にも載らない――多分、あれらもガイアの分体なのだろう。
”ふ、ふざけてる……なんだ、このクエスト……”
『黄金竜』を除いても、とてもまともにクリアできるとは思えない戦力だ……。
流石ラスボス、とも既に言えないくらいまでになっているんじゃないかと思える。
……幸いなのは龍たちは出現はしたものの、まだこっちに襲い掛かってくる様子はないということだが、いつ襲い掛かってくるようになるかわかったものではない。
「ふん、どうやら『ゲーム』の運営はよっぽど性格が悪いらしいな!」
一瞬呆然としたアリスであったが、すぐさま気を取り直し『黄金竜』へと向き直りつつ笑みを浮かべる。
うん、まぁ完全に同意だね。
『三界の覇王』も大概だったけど、あれはあれで抜け道というか攻略法を見出すことは出来た。
けど、ガイア戦に関しては今のところ全く攻略法が見えない。
”…………本当に性格が悪いな……!”
そして、ここに至ってなぜこのクエストに『常時乱入対戦』という条件がついていたのか、その思惑を私は理解した。
『三界の覇王』の時は何度も挑んで攻略法を探る……というやり方で何とか突破は出来た。まぁあれも一歩間違えたら使い魔ごと全滅する意地の悪い難易度だったとは思うけど。
しかしガイア戦についてはそれは出来ない。
なぜならば、撤退したらその間に他のチームにラスボスを倒されてしまうかもしれない、という恐れを抱いてしまっているからだ。
加えて、ラスボスに挑みなおしたら今度は他のチームのいないステージで戦わされる可能性もありうる。
正直なところ、(推測だけど)他の2チームがいるおかげで私たちは何とか生き残れている……そんな状況だと思う。『腕』『ゴーレム』『風雷龍』……ユニットが分散しているが故に奴らもあちこちに散らばって出現しているのだ。もし一か所に集中して出現されたら――流石にどうしようもない。
おそらく他のチームも同じことを考えているはずだ。
だから、どんなに危なくても『撤退してやり直そう』とは誰も思わない……いや、考えられないのだ……。
完全に運営――ゼウスの思惑に乗せられてしまっている、という自覚はある。
……自覚はあるんだけど、かといって撤退を決断することができない……!
「! ヤバい……使い魔殿、しっかり掴まってろ!」
更に大きな揺れが周囲の大地を割り……『黄金竜』を封じていた《ジュピター》を構成する星の欠片が奈落の底へと消えていく。
そのせいで《ジュピター》が強制解除、奴が自由になると同時に私たちへと向かって今までの恨みを晴らさんとするかの如く、猛突進してくる。
……が、流石に直前まで動きを止められていたせいか、狙いは僅かに逸れてアリスには当たらず大地を深く抉るのみだった。
”まるでブランたちみたいだ……”
「ああ。やはりあの翼が原因みたいだな」
今の突進で奴の超加速の正体は見えた。
羽ばたいて空を飛ぶのではなく、やはり結晶竜たちのように翼から勢いよくジェット噴射をすることで推力を得る……そんな構造になっているらしい。
炎とか何も見えない。多分、空気を吸い込んで勢いよく噴き出している……とか、そんな感じなんじゃないかとは思う。
それがわかったからと言ってどうなるわけでもない、けどね……。見えないが故に、いつジェット噴射を使ってくるかが読みづらいのだから。
しかし、奴も《ジュピター》に巻き込まれて無傷というわけではない。
身体中に生えていた棘の多くがへし折れたりしているし、目には見えないけど全身の筋肉も酷使したことで疲労は溜まっているはずだ。
上空の風雷龍に襲われる前に、こいつをどうにかしないと状況が悪化する一方だ……!
「……よし、あいつをさっさと片付けるぞ!」
アリスも何か対抗策を思いついたみたいだ。
『黄金竜』を速めに片付け、本命であるガイア本体へと挑もうとしている。
他の皆もまだ大丈夫みたいだし、とりあえずは『黄金竜』に集中しよう。
――と思っていた私たちだったけど、事態は思わぬ方向に動いた。
……私たちにとって吉とも凶ともつかぬ方向に……。
”なっ……!? 地下から!?”
睨みあう私たちと『黄金竜』だったが、再び地面が大きく揺れ――すぐ足元に地割れが起きる。
そしてその下から真っ赤なマグマが溢れ出したかと思うと、それが生き物のように蠢き……近くにいた『黄金竜』の脚を捕らえる。
「くそっ、溶岩までもガイアの手下ってわけか!?」
溢れ出した溶岩は『黄金竜』の足を捕らえたまま次々と集まり、巨大な形を作る。
……ティラノサウルス、みたいないわゆる『恐竜』の姿だ。
『黄金竜』の脚は、その
「同士討ちは助かるが……」
”ダメだ、あれ一体じゃない!”
喜んでばかりはいられない。
次々と地割れから新しい溶岩が溢れ、小型のラーヴァサウルスたちが現れてくる。
……『腕』たちのことを考えれば地面、そしてその下にある溶岩も操ってくることは確かに不自然ではないけど……だとしたら、上空の風雷龍は一体……?
ともあれ、ラーヴァサウルスに『黄金竜』が捕まっている今がチャンスだ。
”アリス、今のうちに!”
「……まぁ仕方ないか」
良かった、この期に及んでタイマンに拘るのは自殺行為だということはわかってくれているみたいだ。
ちょっとだけ不満そうだったけど、アリスも『黄金竜』を倒す絶好の機会だということは理解し、ラーヴァサウルスごと『黄金竜』を攻撃しようとする。
が、『黄金竜』は普通じゃなかった。
長く伸びた尻尾をラーヴァサウルスの首に巻き付けると共にジェット噴射で勢いよく回転……しながら地面へと叩きつけて首をへし折る、どころかねじ切ってしまう。
「……化け物だな、マジで」
噛みつかれていた右前足も巻きつけた尻尾も焼け焦げているが、それでも『黄金竜』は立ち上がり咆哮を上げている。
どれだけ傷ついても立ち上がるその様は、まるでアリスを見ているかのようだ……。
小型ラーヴァサウルスたちは『黄金竜』の咆哮に恐れ戦くかのように、飛び掛かることはせずにじりじりと下がろうとしているが――『黄金竜』はそれを見逃さない。
地上を駆けて蹴散らしつつ、こちらへと向かって来ようとする。
「やはり貴様とは決着をつけなければ、『先』へは進めないようだな」
どこか嬉しそうにアリスはそう言って笑うと、
「ext《
あらゆる相手を戒め封じる鎖を放ち、『黄金竜』へと巻きつける。
しかしこの神装には相手の動きを完全に封じるような効果はない。
強引に振り回し、むしろアリスの方を叩きつけようとしてくる。
「くっ……!?」
パワーでは到底アリスの敵う相手ではない。
それでも《スレイプニル》の推力でバランスを取り、叩きつけられるのを阻止しようとする。
……アリスが何を狙っているのか、まだ私にはわからないけど……彼女のことを信じるのみだ。
『黄金竜』との綱引きはそう長くは続かなかったろう。
時間にすればわずか数十秒――おそらくは1分にも満たなかったと思う。
「! よし! 使い魔殿、回復は任せた!」
地割れの広がりは止まらず、ついに私たちの足元まで伸び、ラーヴァサウルスたちが次々と飲み込まれていくまでになった。
――そうか、
彼女が何をしようとしているのか、大体理解したと思う。
まぁ理解できずとも、私にできるのは回復だけなんだけど。
「来い、化け物!」
タイミングを見計らいアリスが《グラウプニル》を解除する。
と同時に、振り回そうとしていた『黄金竜』が解放されるが、思わぬタイミングで解放されたため力がすっぽ抜けてその場に転倒――地割れが転んだ『黄金竜』を呑み込もうとする。
もちろんそのまま落ちてゆくわけがない。
すぐさま態勢を立て直し、ジェット噴射でアリスへと向かって飛翔――質量に物を言わせた体当たりを仕掛けようとする。
「ext《
カウンター気味にアリスが《グングニル》を発動させ、向かってくる『黄金竜』へと投げつけるものの――
”! 拙い!?”
一体どんな反射神経をしているのか、超高速で自身が飛びつつも向かってくる《グングニル》を視認――翼の角度を変えることで最小限の動きで《グングニル》を回避してしまう。
《グングニル》には『絶対命中』の効果があるとは言え、通り過ぎてしまった相手に即突き刺さるような動きは流石にできない。ターンしてから追いかける形になる。
そのターンする時間があれば、奴がこちらへと迫るには十分な時間だ。
「cl――ぐぁっ!?」
”アリス!!”
体当たり自体は回避できたものの、迎撃しようとしたアリスの右腕を丸ごと『黄金竜』に噛みつかれてしまう!
あ、後ちょっとで私ごと噛みつかれて終わるところだった……!
「……《
――右腕一本噛み千切られたくらいで止まるアリスではなかった。
いや、むしろこうなるように誘導していたのかもしれない。
噛みつかれた右腕から、相手の口内で直接 《ベテルギウス》を発動――体内で大爆発を巻き起こす。
流石にこれなら効くだろう――そう思った私だったけど、
”ちょっ……マジで!?”
『黄金竜』はそのまま右腕を噛み千切りながらも、爆発で吹き飛ばされはしたが……想像したように身体が爆発四散はしなかった。
……驚くほどの頑丈さだ。とても普通の生き物とは思えない……確かに『デジタル異世界』の存在ではあるけど……。
「ふん、きちんとした決着は――まぁ次の機会があれば、だな」
痛みを堪えつつ、アリスがそういう。
『黄金竜』はというと、噛み千切ったアリスの腕を吐き出して捨てると共に、再度ジェット噴射で迫ろうとするが――その時、最初に放った《グングニル》が奴の頭上から降り注ぎ翼を穿つ!
……ジェット噴射をしようとしていたのが仇となった。
片方の翼を失い、バランスを崩した上でのジェット噴射だ。そのまま『黄金竜』は落下――自ら飛び込むように、大地の裂け目へと墜落していった……。
「くそっ、痛ぇ……! ext《
一方アリスは、失った腕を《ヤールングレイプル》で補う。
……腕を噛み千切られたのはショックだけど、この魔法を使ったことで《
”……倒せた、のかな……?”
レーダーから反応は消えたものの、地下に落ちたので範囲外になったためかもしれない。
完全に動かなくなった『死体』を見たり、消えたりしたのを目にしたわけではないのでいまいち確信が持てない……。
「さぁな……直に這い上がってくるかもしれんが――」
アリスの方も倒せたかどうかは確信がもてないらしい。
「何にせよ、一旦は撃退できたと思っていいだろう。
また出てきたら……邪魔になるようなら戦うだけさ」
”……そうだね。とにかく、他の皆と合流してガイア本体に備えよう”
地面の裂け目は相変わらず止まることなく広がり続けている。
もはや空中に飛んで戦わないとまともに動けないような状況だ。
……空にいる風雷龍もまだ襲い掛かってこないけど、このまま飛び続けていたらいずれ襲い掛かってくるはずだ。
とにかく目の前の障害は排除できたのだ。他の皆も心配だし、合流を優先しよう。
そう思い、私たちは遠隔通話を使って状況を確認しつつ合流しようと移動を開始するのであった。
……それにしても、一体あの『黄金竜』は何だったんだろう……?
ガイアとは関係ないとしても、存在自体があまりに不自然だ。
倒せたかどうかも気になるけど……奴の存在そのものに疑問は残ったままなのは少し気にかかるな……。
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