第10章7話 三界制覇戦 4. 対策会議

*  *  *  *  *




 さて、と……。


”………………どうしようか……?”


 インティから無事に逃げ切れ、私たちは一旦マイルームへと戻ってきた。

 一通り『三界の覇王』と戦いはしたけど、正直『戦い』と言えるものかどうかはかなり怪しいレベルだ。オオカミくらいか、まともに戦えたのは……。

 いやー……今までにもとんでもないモンスターとかいたけど、『三界の覇王』はレベルが違いすぎる。

 8人揃って戦って、ここまでコテンパンにされるとは流石に思っていなかったよ……。


「んー……無理ゲー……?」


 流石のありすも渋い顔だ。

 ……そういや、タイプは違うけど昔キング・アーサーが暴れまわってた時もこんな感じだったね……。


「ほぼ一方的に負けましたからね……」

「ああ。あそこまであっさりやられるとは思ってなかったぜ……」


 ありすに次いで長く死闘を潜り抜けてきた桃香と千夏君もげんなりとしている。

 正直、一回ずつ戦ってみた感想としては――『お手上げ』なんだよね……少なくとも私には打開策は全く見えなかった。

 とはいえ諦めるわけにはいかない。


”今日のところはチャレンジはもうやめとこうか?”


 ある程度目途を立ててからでないと同じことの繰り返しになるだけだろう。

 まだ時間はあるから挑戦はできるけど……。


「いえ、お待ちくださいラビ様。

 先ほど申し上げた通り、1~2回ほどオオカミに挑ませていただきたいと思います」


 待ったをかけたのはあやめだ。

 そっか、そういえば何かに気付いたみたいで何回か挑戦したいって言ってたっけ。


「鷹月さん、挑むのは私も賛成だけど、少し話してからの方がいいと思う」

「……そうですね。承知しました」


 ふむ、まずは楓の言う通り相談して各自の得た情報――どれだけあるかはわからないけど――と思惑について共有。

 再挑戦するに当たっての『目的』をしっかりと定めてからの方が良いだろう。

 ……もどかしい気持ちはあるけど、『急がば回れ』という言葉もあるしね。


”うん、わかった。まずは――一旦休憩してからまたマイルームに集まろう。

 で、『三界の覇王』それぞれについて皆の考えを聞きたい。それによって再挑戦をどうするか決めよう”


 相談だけで時間が過ぎてしまったら、それはそれで仕方ない。

 再挑戦は明日に回しても良いだろう。

 私の言葉に従い、皆はマイルームから退出……ちょっとだけ休憩してリフレッシュするのであった。




*  *  *  *  *




 皆して一息ついて、再度マイルームへと集合したわけだけど……。


”じゃあ、まずは『三界の覇王』それぞれについての情報を纏めよう。それと、今後の動き方についても相談ね”


 どこまでいいアイデアがこの場で出るかはわからない。

 アイデアが出たとしても、さっきあやめが言った通り何回かはやっぱり挑戦して確認する必要は出てくるはずだ。


「ん、まずはオオカミから」


 ありすも戻った後に顔を洗ってさっぱりしたみたいだ。

 いつも通りのぼんやり顔に戻っている。

 他の皆も暗い表情ではない――うん、これなら大丈夫だろう。私だけがいつまでも暗い顔をしているわけにはいかない。

 前向きに考えよう。




 さて、ありすの言う通りまずはオオカミからだ。

 モンスター図鑑には『オオカミ』で載っているけど、正式名称は楓たちが気付いた通り『黄泉津大神ヨモツオオカミ』となるだろう。

 巨大な氷でできた狼のような姿をし、土偶のような姿の『八種やくさの雷神』を途中で召喚して来る。

 見た目通りの『氷』の力を使うのと同時に、雷神たちによる強烈な雷属性攻撃もしてくる。

 ……氷と雷の2属性を自在に操る難敵と言えるだろう。


「三体とも戦った後に振り返ると、やっぱりオオカミが一番戦いやすそうではあったな」

”うん、確かに……”


 強烈な攻撃をお供と共に放ってくるものの、確かにアンリマユやインティに比べれば『普通に戦える』相手という感想はある。

 ……私たちが負けたのも半ば不意打ちによるものだったし、警戒さえしておけば一番何とかできそうだとは思える。


”あやめ、何回か戦いたいって言ってたけど……それはどうして?”


 かといっていつも通りのごり押しが通じる相手かというと、そういうわけでもなさそうだ。

 まだ特殊能力を隠しているかもしれないし、そもそも『八種の雷神』が控えている以上一筋縄ではいかないと思う。

 なので、何かを考えているあやめの意見をまずは聞きたい。


「はい。お答えします。

 私が見たいのは――『八種の雷神』の出現箇所です」

「! なるほど……」


 端的なあやめの言葉を聞いただけで、楓と椛は何を言いたいのか理解できたみたいだ。

 ……もちろん、二人以外は全然わかっていないのであやめは話を続ける。


「『八種の雷神』の出現箇所が固定なのかランダムなのか……それをまずは見極めたいと考えています。

 私の――【演算者カリキュレーター】の計算では、おそらくは『固定』だと思いますが……」

「ん……するの?」


 段々とあやめの言いたいことが皆にもわかってきたみたいだ。

 オオカミの厄介なところは『八種の雷神』というお供の存在が結構大きい。あいつらの放つ超広範囲雷撃は、正直回避は難しい――戦いの舞台となっていた地下空洞全域を埋め尽くすほどだった。

 アリスの《護謨ゴム》とかジュリエッタの《サンダーコート》みたいなので防御は不可能ではないけど、全員を守り切ることは出来ない。かといって固まって戦うのがいいかと言われると……正直なんとも言えないかな。

 ならば、いっそのこと『八種の雷神』が湧くポップする地点を事前に覚えておき、出現と同時に倒してしまう……ありすの言う通り『出待ち』戦法が有効かもしれない。


「それあります」


 あやめも否定はしなかったが、他にもまだあるようだ。


「『八種の雷神』の出現位置は、前回ではオオカミの前に等間隔で円を描くようになっていました。なので、おそらくは固定であると推測します――これを確かめるために数回挑みたいと考えています。

 そして、ありす様の仰る通り『出待ち』で数体を破壊すれば、あの破壊的な雷撃は軽減……もしくは発動不可になるのではないか、と【演算者】は計算結果を出しました。

 もう一つ……これは楓様、椛様にも意見を伺いたいのですが……私の改造魔法カスタマイズが通用するかと思いますか?」


 あ……なるほど!

 前回のレベルアップであやめルナホークは新しい魔法を習得していた。

 そのうちのカスタマイズは、『機械を改造する』――機械限定のブラッシュというか、アリスやジュリエッタの魔法に近い魔法である。


「……『八種の雷神』は確かに機械のような姿だったし、通じるかも……?」

「にゃるほど、試す価値はあると思うにゃー。無傷でもカスタマイズできるのか、それともある程度削ったら通じるのか……確かに何回か試してみないとわからないかにゃ?」

”……上手くカスタマイズが決まれば、敵の数を減らすだけでなくこちらの味方を増やすことができるかもしれない、か”


 『八種の雷神』を全滅させる、あるいはそこまでいかずとも数を減らすことができればオオカミとの戦いはぐっと楽になるだろう。


「んー、じゃあ何回か挑んで出待ちできるか調べて、あや姉のカスタマイズが通じるか確かめる……?」

「んでもって、オオカミを削りながらいけるかどうか確認……って感じだな」


 オオカミに他の特殊能力がないとは限らないしね。

 でも、とりあえずの方針としてはこれでいいと思う。

 カスタマイズが通じないとしても、それはそれでいい。カスタマイズをするための準備や時間を、『出待ち』の方に費やすだけの話だ。


”オッケー。じゃあ時間次第だけど、オオカミに今日何回か挑んであやめの言うことを検証しよう”


 ……尚、実験のために複数回挑む時に全滅したら意味がないので、私とヴィヴィアンは広間に入らず通路に隠れてやり過ごす……ということを半ば無理矢理決められてしまった。

 まぁ全滅しちゃ意味ないからね……私一人が安全な場所にいるってのは微妙な思いだけど……。




*  *  *  *  *




「次はアンリマユですわね」


 オオカミについての方針は大体決まった。

 後は検証していけそうなら倒す、新しい問題が出てきたらまた検討と検証を繰り返す……ということになった。まぁ検討と検証の繰り返しは他のモンスターも同じだけどね。


「逃げるしか……ないよね……? うーん、でもボクのバイクでも逃げ切れるかどうか……」


 続いてのアンリマユは、かなり特殊なモンスターだ。

 なにせ本体は一発で倒せるくらい弱いのに、倒したその後が大変だというのだから。


「逃げるにしても、ってのがなぁ……」

”そうだね……”


 ゲートの位置がわかっていればまだ話は違うんだけど……。


「そのことですが――あやめお姉ちゃんなら探せるんじゃない?」

「私ですか?」


 突破口は意外なことに桃香から出てきた。

 桃香に名指しされ、あやめが首をかしげるけど――ああ、そうか。そういうことか。


”そっか、そういえばあやめって『探し物』が得意なんだっけ”

「はい♡ 何でもかんでもお姉ちゃんは見つけてくれますわ…………隠していたはずのテスト結果も……」


 ……突っ込まないぞー。

 それはともかく、以前ちらっとだけ聞いたことがある。

 『七耀』の人間には『特殊な能力』を持っていることがある……とは噂話でも聞いていた。

 例えば桃香だったら、異常な幸運とか無条件の愛され体質とか、後は桃香が困ってたら思わず手を貸してしまうこととか……。

 立証は不可能だけど、感覚としては確かにそういう能力が存在しているのではないか、と私は思っている。

 で、肝心のあやめについてだが、どうやら『探し物』が得意らしい。

 探す物は実際に何かの道具とかだけに限らず、『情報』とかも探すのは得意とのことだ。ネット検索の達人……と言えなくもないけど、ジュウベェの事件のこととか幽霊団地のこととか、『桃香に危険が迫っていないか?』という目的で情報を日々探している時に見つけたみたいだし。桃園自体の情報網もあるだろうけど。


「そっか……鷹月さんもなんだ……。撫子と雪彦と同じかな」


 ポツリと楓が納得したように呟いていた。

 なるほど、なっちゃんの『見えないものが見える』のも七耀に絡む特殊能力と言えなくもない。雪彦君も以前に見せてくれたモンタージュとか、正直技術でどうにかできるようなものとは思えないし、それに絡んで物とかの『形状』を物凄く細かく・正確に把握する能力を持っているみたいだ。


”どう、あやめ?”

「…………試してみないと何とも言えないですが、試す価値はあるかと」


 少し考えた後、あやめは頷いた。


「それに、ルールームゥから受け継いだ魔法の中に『レーダー機能』のようなものもありました。それらも活用し、ゲートを探してみましょう」

”うん、頼むよ”


 ゲートが見つかるかどうかはまだ未知数だけど、これまたオオカミ同様に何度か試してみるしかないか。

 問題の一つは検証待ちということで置いておいて――


「残る問題は……ゲートが見つかってもそこまで逃げ切れるかどうかだにゃー……」

”だね……”


 ある意味でこちらの方が大問題かもしれない。

 とにかく相手は次々と湧き続け、あっという間に世界を埋め尽くしてしまいそうな勢いなのだ。

 最初に雪彦君が言った通り、スピードで無理矢理振り切るのも難しいだろう。

 ちなみに『加速』で言えば実はルナホークの《アストロノート・デバイス》が宇宙空間を移動するだけあって最速なんだけど、あれはあくまでも『宇宙へと飛び立つ』『宇宙空間で活動する』ための魔法なため実は普段の移動には使えないのだ。

 もしアンリマユの世界で使ったとしたら、ひたすら上昇することしかできない……その方向にゲートがあればいいんだろうが。


「ん、わたしにいい考えがある」


 んふー、と鼻息荒くありすがそう言う。

 中学生ズが『どうする……?』と困惑気味に顔を見合わせるが、他にいいアイデアもない。


「……よし、話してみろ」


 結局聞くことにしたみたいだ。

 ま、まぁかなり無茶苦茶なことをするありすだけど、ナイア戦の時みたいにそれが『正解』なことも多いしね。


「ん。えっとね――」




 ……ありすが『作戦』について話す。


”……むぅーん……”


 思わず唸ってしまったけど……やってみる価値のある作戦だとは思う。


”他に手はないし、やってみるしかないかぁ”

「っすね」


 賭けには違いないが、他にいいアイデアもない。


”じゃあアンリマユ戦については、あやめにゲートを探してもらうことと、ありすのいう『作戦』が通用するかを試してみよう。

 これも何回かやり直すことになるかもしれないね……”


 一発で上手くいくとは考えない。

 あやめがゲートを見つけられるかどうかもわからないし、ゲートの位置もランダムという可能性がある。

 だから、これも何度か試して上手くいく時を探ってみる……という感じかな。


「ありす様の作戦は了解しました。

 ……後は私がゲートを探せるか、ですね……」

「ん、あや姉なら大丈夫」

「そうですわ♡」


 キモとなるが『あやめがゲートを見つけられるかどうか』にかかっている。

 プレッシャーは大きいだろうけど、ありすたちに励まされあやめも不安よりも決意の方が勝っているみたいだ。




*  *  *  *  *




「最後はインティだけど……ごめん、正直私は何も思いついてない……」

「うぅ、あたしもだにゃー……」


 楓椛が『お手上げ』とまでいってしまうとは……。

 でも、私も同じ気持ちだ。

 オオカミ・アンリマユと違って、そもそも近づくことすらできないし攻撃を当てることもできない相手だ。

 ……ムスペルヘイムの時の経験を考えれば、『霊装を使った攻撃』なら届くかもしれないけど、それができるのはアリスの神装だけだし一発や二発当てたところでどうにもならない……そう思えてしまう。


「ん? そうなの? 火の玉だし、水をかければ済むと思ってたけど……」

「ですわね。わたくしの《カリュブディス》を楓お姉さまのアニメートで操れば、と考えていましたけれど……」


 ありすたちの考えは実に素直だ。

 しかし、楓たちは渋い顔のまま。


「うーん……もしあれが『大きな火の玉のモンスター』ならそれでいいかもしれないけど……」

「見た目通り『太陽』のモンスターだとしたら、その手は使えないにゃ」

「「??」」


 小学生ズには二人の言っていることがわからないみたいだ。

 口には出してないけど、雪彦君も同じみたいだね。


「簡単に言うと、『太陽』はのね。私たちからは燃えているとか光っているだけに見えるけど」

「んで、その爆発の燃料が何かというと――水素とかなんにゃ」

「「?????」」


 ……うん、まぁ小学生はまだ習ってないことだし仕方ないね。

 …………同じくあやめも首をかしげているのは――いや、突っ込むまい。


「要するに――『太陽に水をかけても無意味』ってこと。むしろ、爆発のための燃料にされちゃう」


 まぁ現実の太陽とは異なるし、モンスターと魔法という現実を超越したものだから実際にどうなるかはやってみないとわからないけど……。


”どっちにしても、あの大きさじゃ《カリュブディス》でも多分倒しきれないとは思うしね”

「うーん……確かにそうですわね……」


 残念そうに桃香は言うが、納得はしたみたいだ。

 ムスペルヘイムも《カリュブディス》一発では倒せなかったのだ。その数十倍……もしかしたら数百倍にもなろうかというインティを倒すには、全魔力・全回復アイテムを注ぎ込んでも《カリュブディス》では無理だと思う。


「ただ、これも他のモンスター同様、試してみる価値はあると思う。

 だから一回、お姫ちゃんの言う通り実験はしてみたいかな。通じるならそれに越したことはないし」

「かしこまりましたわ♡」


 水とかが通じるのであれば攻撃の手段が一つ増えるしね。

 通じるとわかれば倒しきるためにどうすればいいかを考えることもできるし。


「あ、あのさ……僕の勘違いかもしれないんだけど……」


 おずおずと雪彦君が挙手する。

 ……そういえばインティとの戦いの最中に何かに気付いた風だったね。


「途中でガブリエラが『闇』の門を呼んだでしょ? その時なんだけど――インティが少しように見えたんだよね……」

「……! 雪彦、それ本当?」

「え、う、うん……気のせいかもしれないけど……」


 詰め寄る楓に、自信なさそうに雪彦君は返すが――


「……ハナちゃん」

「うん、フーちゃん。もしかしたら――」


 二人は雪彦君の言葉から、何かを思いつき……そして、


「インティ攻略法を思いついた」

「にゃはは、まーやっぱり他と同じく何回かは実験してみないとダメだけどにゃー」


 一番手に負えないと思われていたインティの攻略法を考えついたのだった。




 二人のインティ攻略法を聞いた私たちだけど……。


”き、厳しいことには変わりないね……”

「うん。現状厳しいままなのは仕方ない。検証を重ねていけば勝率は上げられるかもしれないけど――」

「できる限り早めに『三界の覇王』を終わらせたいという事情もあるし、厳しいけど『力業』で何とかできるのはほぼほぼ確定だし、これが最速だと思うにゃー」


 そう、『力業』で意外と何とかできそうなのだ。

 もっとも、こちらとあちら――どちらの力が上かの真っ向勝負となってしまうため、押し負けたら一瞬でこちらが終わっちゃうという厳しさはあるけど。


「……ん、ふー姉とはな姉の作戦でいいと思う」

「はい。他に弱点のようなものが見えない以上、お二人の作戦に賭けるのがよろしいかと」


 賭け――うん、まぁどうしてもそうなっちゃうよね……。

 まぁたとえ最初は『賭け』だったとしても、何度も検証して成功率を上げていけばそれが『賭け』ではなくなる……と思う。




”よし、一通り案は出尽くしたかな?

 それじゃ今日は時間いっぱいオオカミに挑んで検証――明日はアンリマユとインティに挑んで検証するか、それか勝てそうと思ったらオオカミに挑戦するかだね”


 このあたりは今日の検証の結果次第だ。

 ……なんだかんだ、結構あやめルナホークに頼るところが多くなってしまうし、他のメンバーにも色々と負担がかかるのは心苦しく思う。

 でも、ちょっと無茶しなければ勝てない相手なんだよね……。

 『三界の覇王』でこれなのだから、ラスボスは一体どうなることやら……っと、先のことを考えても仕方ないか。悪い癖だ。

 ともかく、まずは三界の制覇からだ。こいつらに勝てなければラスボスに挑む資格が得られないのだから。


「ん。じゃあ、早速オオカミに挑戦する……」

「はい。楓様、椛様、『八種の雷神』の出現箇所については――」

「任せてください。鷹月さんと私とハナちゃんでトリプルチェックしましょう」

「予想通りなら、等間隔で湧いてくるだろうし多少ズレても問題ないにゃー」

「俺とユキ、あとチビ助でオオカミ本体を攻撃、ありんこが出待ちして攻撃が通じるか確認……だな」

「う、うん!」

「なっちゃん、がんばゆ!」


 三連敗からの落ち込みなんてなかったかのように、皆生き生きとしている。

 立ち直りの速さには本当に感心させられる。もちろん、いい意味でだけど。

 こういう前向きさこそ、『三界の覇王』やラスボスのような強敵と挑むに当たって最も大切なことなんじゃないかなって、私は思うのだった。

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