<検閲済み>

検閲――再開


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”■■■の■■じゃないって……”

「言葉通りよ。あなた風に言えば――『C.C.』で■った■■は決して■■■■な■■ではないわ。そこに■■生物にとっては紛れもなく■■の■■よ」


 ……私がピッピの話を聞いて思ったのは、『■■■■■■■を■り■すゲーム』だった。

 ただ■■■■とは言っても■■の■■■■や■■感などは、人間が作るものとは比べ物にならない――言わば『超発展したバーチャルリアリティ■■』のようなものだと思ったのだ。

 でもそうではないとピッピは言う。

 …………いや、本当は私も分かっていたはずだ。そんなことがあるはずないと認めたくないという一心で、■■■■■■■だと思おうとしていたにすぎない。

 だってピッピの言う通りならば、『C.C.』とは本当に■■■■■を■■ていることになってしまう。

 まさしく■■■■を行う『■の御業』としか言いようがない。


「……あなたには私たちS■■のことを知ってもらう必要があるわ。もっとも、全ても理解できるかはわからないけど……それでも聞く?」

”……うん。君の話を信じると言っておいてアレだけど、ちょっと私の想像を超えるレベルの話すぎる。でも、聞かなきゃ何の進まないと思うし”


 だからまぁ、S■■のことを聞いたところで納得できるかどうかは怪しい感じなんだけど……それでも何も聞かずに受け入れるには規模が荒唐無稽にすぎる。


「わかったわ。

 端的に表現するなら、ラビ、あなたが前に挙げた三種類の『■』のうち――三つ目が私たちS■■■だと思ってもらって間違いないわ」


 三つ目というと……『運命』とかみたいな目には見えないし存在の確認も出来ないけど、感覚的には『有る』と言いたくなるような『概念としての■』に近いものだったか。

 ……あれ? でもさっきピッピは二番目の『■■■としての■』であると言っていたような……。

 いや、まずは黙って話を聞こう。私の理解の及ばないような話なんだ、下手に口を挟んでも仕方ないだろう。


「私たちが■■■■を振るえるのは、さっきも言った通り『C.C.』で、更に■■■■で■った■■だけに限られるわ。

 ……ふふっ、だから自分の■■でだけ粋がれる『■気取り』って言った方が正しいかもね」


 自嘲するように笑う。

 ……案外、本音なのかもしれない。


「各々の■った■■ではあなたの言う二番目の■、場合によっては一番目の■でもあるわ。そして、本質的には三番目の■――それがS■■の■■よ。

 ……そう、私たちはそもそも■■のような■■■■■ではない……いいえ、『■■』とも呼べない概念的な■■なのよ……」


 幽霊、とも違う。

 言うなれば……そう、『運命』とかそういう概念的なものを擬人化した存在。それがS■■の■■ということだろうか。


「さっきプロメテウス様が『C.C.』というゲームをS■■に齎したと言ったけど、ひょっとしたら順序が逆なのかもしれないわね。

 『C.C.』が■■を■ったがために、S■■は私たちという■■を生み出した……なのかもしれない。もはや今となっては確認のしようもない遠い昔の話だけれど……プロメテウス様がいかにして『C.C.』を■った、あるいは見出したのかはもうわからないわ」




「『C.C.』によって■■■た■■を見たS■■は、そこから影響を受けるようになったわ。

 形もなく、目的もない。意志も魂もない『定められたところ』をグルグルと巡り続けるだけだった『力の流れ』に指向性が与えられ、やがて『C.C.』の■■の影響から『意志』のようなものを持ち始めた。

 その最初の人がプロメテウス様を始めとした、私たちの中では『始祖』と呼ばれる人たち」




「一度変わってしまった流れはもう止まらない。

 S■■には次々と意志を持った■■が現れ、まるで■のような文化と文明を持ち始めたわ」




「意志と形を得た私たちは人と同じように生き、感情を持ち、そして――『欲望』を得てしまった」




「さっきヘパイストスの目的が『お金』にあると言ったけれど、本来なら私たち――ヘパイストスも含めたS■■の■■がそんなものに執着する理由はなかったはずなの。

 けれども、各々が各々の■■に影響を受けて欲望を得てしまった結果……人間の世界で言うなら『犯罪』にあたる概念が齎されてしまった」




「その一点を以てプロメテウス様を非難するものもいるけどね……」




「……話を戻すと、ヘパイストスに限らず『C.C.』の■■間において他者の■■を侵略するのは、今は明確な『犯罪』となっているわ。

 そもそもが■■■存在である私たちにとって『■』は縁遠いもの……故に『■刑』というものはないけれど、一番重い刑罰を受けるものよ。

 それでもヘパイストスのように犯罪を行うものもいる……」




「さっき言った通り、もはやS■■は人類の■■と同様の構造を持ってしまっている――それ自体が喜ばしいことなのかどうかはさておいて、人類社会のような構造であればどうなるかわかるかしら?

 ……そう、『お金』という存在がある以上、それに絡んだ『腐敗』が生まれてしまったの。また、社会構造がある以上、『権力』も避けて通れない要素ね。

 ……御察しの通り、ヘパイストスのような犯罪者は『お金』と『権力』を使って自らの罪を罰せられることを免れている……私のような一市民は泣き寝入りするしかない……そんな状況だったの」




「私の話に戻すわね。

 ――この『C.C.』で■■た私のD■■は、私にとって何よりも大切な、かけがえのない……我が子のようなものなの。

 それをヘパイストスに奪われるのを黙って見ているわけにはいかない……だから私は『M.M.』に賭けることにした――」




 ……そこでピッピ――いや■■■■■■は言葉を切る。

 私の反応を見ている、のだろうか。

 私はというと、■■■■■■の話す『荒唐無稽』すぎる内容に唖然としてしまい、理解が追い付いていない。

 いや、それ以上に気になることが出て来てしまった。


”……■■■■■■”

「なぁに?」


 聞くべきか聞かざるべきか。

 ――本能が『聞くな』と警告しているけど、理性が『聞け。』と醒めた見方をしている。

 ……聞くべきか。

 私は私の理性に従って、■■■■■■へと禁断の質問を投げかける。


”…………、なんだね?”




「――




 …………ああ……やっぱりなんだ。

 ありすたちのA■■もまた、■■■よって■■■■■■なんだ……。

 だから、きっとA■■の■■■の気分次第で、あっという間に■■が■■■■■■■しまうんだ……。


「……あの■■を■■たのは『C.C.』を■■■■■プロメテウス様よ。その意味でも、A■■はちょっと特別なのよ……その辺りは『M.M.』について語る時に改めてさせてもらうわ。

 ――ラビ、これでわかったでしょう? なぜあーちゃんたちに話してはならないのか、そして『ゲーム』に関して他の使い魔たちが口を噤んでいたのかが」

”……ああ、よくわかったよ……”


 正直、ショックが大きい。

 『眠り病』のこととか解決しなければならないと意気込んでいた問題が霞むほどのインパクトだった。

 彼女の語る言葉を私を騙すための嘘とは――ちょっと思えない。

 荒唐無稽すぎて嘘くさく聞こえるのは間違いないが、嘘を吐くにしてもここまでの内容にするとは到底思えない。

 ……何より、彼女の話が本当だとしたら一個思い当たる出来事があったからだ。




 ジュウベェ本体の子が見つかった後の話。

 彼女――というよりクラウザーが起こした北尚武台での事件……あれがになった件だ。

 表ざたに出来ないような大きな権力とかが動いた結果もみ消された、というのとは全く違う。

 文字通り『事件が起きなかった』ことにされたとしか思えない状況だった。

 それに、ジュウベェ本体についての時系列も色々とおかしくなっていた。

 ……桜家、そして高雄先生がグルになって私たちを騙そうとしているのなら話は別だけど、これも■■■■■■の言う通り■■■がその■■で『現実を改変した』としたら――可能なんだろう。そして、そうとしか思えないレベルの事象が起きていた。

 これは――確かに使い魔がユニットの子には話せない、話してはならない事実だ。

 自分の立つ■■が基盤ごと揺らいでしまうような感覚を、A■■の■■ではない私でさえ覚えているのだ。A■■の■■たるありすたち『ゲーム』の参加者からしてみたら、その衝撃は私の比ではないだろう。

 ……ガリレオだっけ? 『それでも地球は回っている』って。

 学生の時にそのエピソードを聞いた時、現代ならば当然の知識だとしても当時の人の無知に呆れかえるというのはまぁ誰しもあろうことだけど……。

 いざこうして自分が世界を根底から覆す事実を聞かされると、当時の人の気持ちがよくわかる。

 様々な証拠や事象から導き出される結論が『真実はこうだ』と明確に指し示しているけれども、信じたくないっていう感情が強すぎて受け入れることが出来ない。


”………………――ごめん、話の腰を折った。続きを”


 でも、私は色々な思いを全て押し込めた。

 感情を殺した。

 だって、

 正しい論理だって実は感情も認めている。理性だって認めている。そしておそらく本能レベルで理解してしまっている。

 ならばここで私がいくら否定しても意味がない。ただの時間の無駄だ。

 ……私の命は私だけのものではない。

 ありすたちと、そしてA■■のためにあるのだと信じている。

 だから私は様々な思いを押し込めて、今後のための話を聞かなければならない。

 ――それが一番な考え方だ。


「…………あなたも色々と言いたいことがあるのはわかる。否定も批難も罵倒も甘んじて受けるわ――でも、そうね。今は話の続きをさせてちょうだい」


 どうやらアストラエアには私が何を思っているのかは予測がついているようだ。

 そしてその予測は間違いなく当たっている。

 ――うん、色々と言いたいことはあるけど全部後回しだ。そう決めたのだからその通りに行こう。


”ごめん、続きに行く前にヘパイストスについてまとめよう。

 まず彼の目的は、驚くべきことに『お金』だった。それを得るための手段として、『死後に結晶化する』という特異な性質を持つ人類の住むD■■に目を付けた――”

「ええ、その通りよ」

”でもD■■には■■■――この場合は『■■者』と言い換えた方がいいのかな? ■■■■■■がしっかりと目を光らせているため、D■■の人間を別世界へと連れ去ることが出来ない”

「そうね。後でもう少し補足することはあるけど」

”だからヘパイストスは自分の目的を達成するために、■■者である■■■■■■――君の命を狙っている”

「……そこは推測だけど、おそらく間違いないと思うわ」


 ……ふむ。

 ここまでの話でヘパイストスのやっている、そしてやろうとしているであろうことは大きく二つ。


 『ラグナ・ジン・バランでのD■■侵略』

 『■■■■■■殺害の画策』


 ただし、後者の方に関しては推測の域は出ていないし、現実にまだ何かをけしかけてきた形跡はない。

 で、『ラグナ・ジン・バラン』は主力が『バランの鍵』によって封印されている状態であり、それを取り戻そうとしている――

 うーん、やっぱりこのことから考えても、同一人物かは置いておいてマサクルはヘパイストス側の存在だというのは確定、と見ていいかもしれないな。

 私の考えを話すとアストラエアは頷く。


「そうね、私もその考えで間違いないと思うわ。

 ……私の命を後回しにして『バランの鍵』を先に取りに行ったのはちょっとよくわからないんだけど……」

”あ、それはマサクルの性格のせいだと思うよ”


 おそらくだけど、あいつは『自分が圧倒的優位に立って相手を蹂躙する』という状況を作り出そうとしている。

 アビサル・レギオンなんていうとんでもないものを引っ張り出して来て、しかもそれを私たちにわざわざ見せつけるような真似をしたのも『演出』の一環なんだろうと思う。

 それだけで大戦力であるアビサル・レギオンと、元々のこの世界にとっての脅威である『ラグナ・ジン・バラン』――この二つの軍勢による完璧な勝利を目指しているんじゃないかと私は考えている。

 ……ま、別にこの考え自体が外れていても別に構わないけどね。どちらにしろ、■■■■■■の命を守れなかった時点でこちらの『負け』になるのは変わらないし……。


”ともかく、今ヤツらが望んでいるものは私たちの手にある――今後はこれらを守りつつ、ヤツらをどうにかする方法を考えなければいけないんだけど……。

 ピッピ、そういえばA■■で私にお願いしたじゃん?”

「ええ、ジュウベェのせいで台無しになっちゃったけど……」

”なんかマサクルのせいで結局望んだとおりになっちゃったって感じだねぇ……いや、絶対感謝なんてできないけど”


 話している内にさっきの衝撃の事実で揺らいだ私の心が大分平静に戻ってきた気はする。

 軽口めいた私の言葉に、■■■■■■――いやピッピもくすりと笑みをこぼす。


”でさ、あの時は話せなかった諸々……今なら話せるでいいんだよね?”

「もちろんよ――ここから先は『M.M.』……あなたたちが参加している『ゲーム』に関する話になるわ」


 

 ヘパイストスの目的、ピッピの対抗策、そして『ゲーム』――

 巻き込まれるばかりだった私たちに、ついに様々な『謎』が解き明かされる時が来たのだ……!


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