第7.5章 温泉少女 -Wrecking Girls-

第7.5章1話 七人の魔法少女

 さて、ユニットが七人になったことで色々と考えなきゃいけないことがある。

 その最たるものは――


”えーっと、それじゃ今日は色々と皆の組み合わせを試してみようと思います”


 各ユニット同士の組み合わせだろう。


「うーん、組み合わせとか考える必要あるにゃ?」


 サリエラが疑問を呈する。

 まぁ、考えたとしてもそれが活きる場面ってのがないに越したことはないんだけどね。


”基本は全員揃ってクエストには挑戦するつもりだけど……今までの私たちの経験からして、結構分断されたりって時があるんだよね”

「そうだな。そうならないように考えるのも必要だが、不可抗力で分断される場合もありうる。考えて損はあるまい」


 私の言葉をアリスが更に補強してくれる。

 実際、アリスたちは『冥界』のクエストでは強制的に分断されちゃったしね。あの時の危機は組み合わせがどうこうとかそういう話ではなかったけど、アリスとヴィヴィアンが互いに互いの能力をよく知っていたが故に、長い時間耐え抜くことが出来たとも言えるのだ。


”それに、クエストはともかく対戦となると最大で四人までしか参加できないしね”


 そうなのだ。これはトンコツに付き合ってもらって試したから間違いない。

 クエストには七人全員で挑むことが出来るのだが、対戦だと上限は四人までだと確認した。

 ……まぁ『対戦特化』と言われていたクラウザーがいなくなった以上、通常対戦については考える必要はあまりないかもしれないけど……かといって無策のままというわけにもいくまい。


「備えあれば憂いなし、でございます」

「あと……時間によっては、皆でクエストにいけないこともある、かもしれない」


 ヴィヴィアン、ジュリエッタも組み合わせ実験には賛成のようだ。

 特にジュリエッタの意見はもっともだ。塾と部活のあるジュリエッタは、週のうち何日かは実質参加不可なことがある。ガブリエラも夜遅くは不可――普段は20時前に寝ちゃうらしいし、昼間もお昼寝している時間があるので必ずしも参加できるとは限らない。

 ウリエラ・サリエラもジュリエッタと条件は同じだ――ただ、この二人の場合は塾には通ってないそうなので、ジュリエッタに比べれば夕方以降の自由は効く。

 比較的安定しているのはアリス、ヴィヴィアン、クロエラの小学生組かな。まぁヴィヴィアンは家の用事とかで参加不可な時が不定期であったりするし、クロエラも本体の方がちょっと病弱気味なのであんまり無理はさせられない。


「ふーん、まぁわかったにゃ」


 私たちの意見を聞いて、サリエラは納得してくれたようだ。

 多分、本気で反対していたわけではないだろう。組み合わせ実験の必要性を確認――ガブリエラやクロエラに聞かせるために、わざと疑問を呈したっぽい。


”ウリエラたちもいいかな?”

「問題ないみゃー」

「はい。私も是非皆さんと遊んでみたいです」

「う、うん……ボクも構わないよ」


 若干ガブリエラの返答がズレ気味だけど……まぁなっちゃんだし仕方ない。

 彼女は彼女で、ありすと同じく『ゲーム』を全力で楽しんでいるみたいだし……楽しんでるならそれはそれでいいか。


”うん、よし。それじゃ2~4人の組み合わせを色々と試してみよう。クエストの難易度は――”

「「高めで!」」

「「低めがいいにゃー/みゃー」」

「ご主人様にお任せいたします」

「……別に、なんでもいい」


 …………学校の先生ってすごいんだなーと思う。

 私なんか七人でいっぱいいっぱいなのに、一クラスだと……三十人くらい? をいっぺんに相手にしなきゃいけないんだから。


”……中くらいの難易度にしよう”

「「「「えー」」」」


 不満の声を上げたのは高め希望のアリス・ガブリエラと、低め希望のウリエラ・サリエラだった。

 いや、まぁ彼女たちの希望には沿わないだろうけど、ちゃんと理由はある。


”だってさ、敵が強すぎたら実験するのは怖いし、逆に弱すぎたら実験にならないからね”


 新魔法の試し撃ちとかなら、弱いモンスターの方で構わないんだけど。

 今回は各自のコンビネーション――というか、『相性』の確認なのだ。弱すぎるモンスターじゃ大した確認にならない。

 かといって強いモンスターだと……正直苦戦してしまうのでアリスが神装で一撃、とかヴィヴィアンの《ケラウノス》で一撃、とかなりかねない。

 私の挙げた理由に、四人も『仕方ない』と納得してくれる。

 ……うん、聞き分けが良くて大変私としては助かる。


”それじゃ、始めよう。まずは――”




*  *  *  *  *




 ――結論から言おう。

 ピッピから受け継いだ星見座ほしみくらの姉弟たちだけど……思った以上に私たちのチームに馴染める。


”ほぁー……こりゃすごいねぇ……”

「ふふふっ、ご期待に沿えたようで何よりです、主よ」


 ドヤ顔のガブリエラ。

 ……いや、君はちょっと、いやかなり、色々とアレだったんだけど……。


「ふーむ……」


 様々な組み合わせを色々と試した結果を踏まえて、アリスは思案顔だ。

 この子の『ゲーム』に関する嗅覚は、ぶっちゃけ七人の中でも突出している。きっと的確な答えを出してくれるだろう。

 とはいえアリスに頼り切りになるわけにもいかない。私は私なりの結論を出さないとね。




 まずは……クロエラから。


”クロエラは、誰と組んでもいけそうな感じだね”

「ああ。ジュウベェ戦の時に実際にオレと一緒に戦ったが、とにかく機動力が高い。前衛中衛後衛どこでも出来るし、サポートも得意。その上単独での戦闘力も十分高い」

「うん。ジュリエッタ、クロエラと一緒だと戦いやすかった」


 前衛担当アリスとジュリエッタ的にも大好評だ。

 そんなクロエラは褒められて恥ずかしいのか、こそこそと自分の霊装の陰に隠れてしまっているが。

 ……まぁ性格的にはあんまり前衛は向いてないかもしれないなーとは思う。でも、多分一番能力的には前衛に向いている。

 前衛というか、『切り込み役』かな? そのあたりはジュリエッタと似ている部分もある。

 とにかく他の追随を許さない高機動力で切り込んで攻撃、および攪乱を行い、続く前衛たちの攻撃を通しやすくするという役割が一番向いているだろう。


「逆に、わたくしとは組んで戦うのは不向きかもしれませんね」

「そうだにゃー……ヴィヴィにゃんとコンビというより、後一人、アーにゃんかジュリにゃんも含めて組んだ方がいいと思うにゃー」

”うん、確かに”


 ヴィヴィアン、サリエラの言う通り、『ヴィヴィアン+クロエラ』のみで動くのはちょっと不向きだ。

 この組み合わせだけで行こうとすると、必然クロエラが前衛に専念しなければならなくなってしまう。

 出来ないってことはないけど、アリスたち前衛担当に比べるとやはり若干『決定力』に欠けているというところがあるため、そこが不安と言えば不安だ。


”ウリエラたちとは今までも一緒に戦ってきたから今更言うまでもないね。特にサリエラとの相性が抜群だと思う”


 サリエラの魔法の中でも、他人の魔法を強化するという効果の『ブラッシュ』との相性がとてもいい。

 クロエラの魔法がバイク型霊装にかかるものばかりというものもあって、元々の頑丈さに加えて強化された魔法を身に纏えるため単純に強化幅が大きいのだ。

 ……うん、やっぱりジュウベェ戦の時にも思った通り、クロエラは攻撃も出来る万能のサポーターって感じかな。




 次はウリエラとサリエラ。

 この二人、何気に結構な問題児だった。

 性格とかの話じゃなくて、能力的な意味で。


”うーん……ウリエラとサリエラは……基本二人セットで考えた方がいいかなぁ”


 この二人の魔法、そもそも性質がセット前提になっているっぽい。

 ウリエラの魔法は三種類――アニメート、ビルド、リビルドだが、このうちリビルドについてはとりあえず忘れていても問題ない。ビルドが前提となっているからだ。

 で、ビルドでゴーレムなりを作ってそれをアニメートで動かすというのが基本的な魔法の使い方なのだが……問題となるが『ビルドのための材料』の調達である。

 どうやらビルドは材料の形を自在に変える、ということは出来ないらしいのだ。

 試しに大きな岩とかに対してビルドを使ってみても、岩の形はそのままに無理矢理ビルドをしようとして失敗してしまう。


「まー、みゃーの魔法はそういうものだみゃー」

「にゃはは! そういう時のためのにゃーの魔法にゃー」


 でもウリエラのクラッシュを使えば、材料の問題は大体解決できる。

 クラッシュで大きな物体を破壊、その残骸を使ってビルドで作り出す――こういう理屈になっているらしい。

 なので、まぁアリスとかなら、魔法でクラッシュみたいにオブジェクトを破壊して材料を作るとかは出来るけど……ビルドのために魔法を使うくらいなら、直接攻撃してしまった方が早いだろう。


「あと、貴様ら流石に弱すぎだ」

「うん……すばしっこいけど、一撃食らったら危ない」


 少しはオブラートに包もう?

 まぁ確かにアリスの言う通りなんだけど……。

 前に対戦した時はすばしっこさに苦戦させられたが、逆に動きを止められたりした場合や、ラッキーパンチを食らっただけで沈みかねないほど、二人の体力のステータスは低い。

 かなり低めだったジュリエッタよりも更に低いのだ。


”まぁ、二人が前に出て戦うってのいうのだけはなしだね……誰か他の子と組まないとかなり怖い”


 特に回避しきれないくらいの広範囲攻撃をされたりしたら、二人揃っていても危ない――なんせ、二人とも防御系の魔法を持っていないのだから。


「わたくしとはサリエラ様の相性が良さそうですね」

「……逆にジュリエッタとは、あまり良くない」


 サリエラのブラッシュは他人の魔法を強化できる。

 その恩恵を最大限に受けられるのは、ヴィヴィアンの召喚獣やアリスの魔法だろう。

 ウリエラにしても、実はアニメートで『形のないエネルギー』を操ることが出来るので、例えば発射後の《ケラウノス》の軌道を変えたり《カリュブディス》の大渦をピンポイントに収めたりすることが可能となる。

 んで、ジュリエッタ自身が言ったように、彼女と組ませるのはちょっと問題がある。

 全員が体力が低いというのもそうだし、ウリエラ・サリエラ共に持っている魔法・ギフトがジュリエッタに対してはほとんど意味を持たないためだ。


「……みゃー……」

「んにゃ……残念にゃー……」


 しょぼんとする二人。……あれ? サリエラはともかく、ウリエラまで?


「もし二人組にするとしたら――そうだな、サリエラはオレと、ウリエラはヴィヴィアンとだな」

”そうだね。というか、多分サリエラが一番相性いいのってアリスだよね”


 そう、実はサリエラが一番輝くのはアリスと組ませた時だと思う。

 ブラッシュによる魔法強化だけでなく、ギフト【贋作者カウンターフェイター】でアリスの魔法をコピーして攻撃、ということが可能となるのだ。これはかなり強力だと思う。

 ウリエラに関しては先程考えた通り、ヴィヴィアンとの相性が結構良い。

 アニメートによる補助もそうだし、ビルドの材料問題さえ解決できれば、ヴィヴィアンの召喚獣と合わせてゴーレム軍団との物量攻めが可能となるだろう。

 対ユニットに限った話にはなるが、ウリエラのギフト【消去者イレーサー】による防御の強化も見逃せない。ヴィヴィアンの《イージスの楯》で防ぎにくい全方位攻撃や死角からの攻撃を無効化可能というのは大きい。

 そういう意味だと、防御面ではウリエラは誰と組んでもいけるし、攻撃面ではサリエラのクラッシュがいい感じのサポートとなるだろう。




 そして最後、超問題児のガブリエラだ……。

 この子は……何というか……。


「……まぁ、誰と組んでも同じって感じだな」

「……そうですわね……」

「うん……」


 アリスたち三人が目線を逸らしながら言う。


「うふふっ、私、万能ですから」


 やっぱりドヤ顔をするガブリエラだけど……決していい意味では言ってないんだなぁ、これが。


「みゃー……申し訳ないみゃー」

「にゃはは……やっぱりこうなったかにゃー」

「リエラ様は……うん、フリーダムだから」


 ガブリエラは確かに強い。

 ステータスだけ見るなら、ほぼ成長させきったアリスと互角――いや、まだガブリエラの方がいくらか上回っている。

 魔法の相性も誰と組んでも得手不得手はない。

 でもなぁ……。


”う、うーん……ガブリエラは基本、ウリエラとサリエラにお願いしないとダメかなぁ……”


 とにかく、

 クエストが始まった途端、嬉しそうに笑いながらモンスターの群れに突進してばったばったと相手を薙ぎ倒していってしまうのだ。

 本来の意味での『狂戦士バーサーカー』って感じだ。それでいてステータスが桁外れに高いので並大抵のモンスターなら大群であっても薙ぎ払えてしまう……。


「わかってるみゃー」

「りえら様の面倒はにゃーたちがみるにゃー」


 ただまぁ、流石にウリエラ・サリエラの言うことはある程度は聞いてくれる。

 暴走としかいいようのない突進を完全に止めるまでは至らないが、軌道修正くらいはできる。

 なので、ガブリエラの制御は二人にお任せすることにした。

 唯一不安なのはウリエラ・サリエラ自身の戦闘力だけど、これについては私たちも身をもって体験した『リュニオン』による融合で解決可能だ。

 仮に二人がいない状況で別の誰かと……となった場合については、あまり心配してない。だって、一人でもどうにかできちゃうくらい強いんだもん……。

 だから……まぁ『誰とでも同じ相性』と言えないこともない、かなぁ……物は言いようって感じだけど。




 さて、これらを踏まえて全体的なフォーメーションを考えると――


「ジュリエッタとガブリエラ、それと状況次第でオレとクロエラが前で戦う感じか」

「みゃーとにゃーはヴィヴィみゃんと一緒に後ろで援護するみゃー」

「にゃはは、うーにゃんはヴィヴィにゃんと一緒にゃー。にゃーとみゃーはりえら様の面倒もみるにゃー」


 纏めると、前衛担当はジュリエッタとガブリエラ。……まぁガブリエラの場合は基本制御不能なので勝手に前に出るって感じだけど、ジュリエッタなら上手く合わせられると思う。本人も大丈夫って言ってたし。

 アリスとクロエラは中衛、というか全体を見て適宜行動する感じだ。強力な遠距離攻撃手段の多いアリスと、機動力の高いクロエラなら十分務まるだろう。

 後衛はヴィヴィアン、ウリエラ、サリエラ。ウリエラとサリエラはガブリエラのコントロールや、リュニオンがあるので前に出る機会もあるだろうけど、基本的には後ろで皆の援護が担当だ。ヴィヴィアンも今まで通り私を守りつつ召喚獣で全距離対応で援護する。

 ……うん、なんだかんだでバランスはとれてる……かな? やや前衛が薄いかもしれないけど、まぁジュリエッタとガブリエラなら二人分どころか三人分くらい動けそうだし問題はないと思う。

 対戦だと最大四人までなので、


「対戦では、姫様、わたくし、ジュリエッタ。ガブリエラ様、ウリエラ様、サリエラ様が基本の組み合わせとなり、参加人数によって調整していくということで良いでしょうか?」

”うん、そうだね。便宜上、アリスたちをAチーム、ガブリエラたちをGチームとして――どちらかのチームが対戦に行くとして、残りの片方のチームとクロエラのうち誰かが状況次第で入れ替わるって感じだね”


 別にチーム分けは絶対ってわけじゃない。Aチームにしたって、ジュリエッタがいないことが多いので代わりにGチームやクロエラが入れ替わることも普通にあるし、その逆だってありうる。

 あくまで基本形ってことだ。今後、アリスたちとガブリエラたちとの連携に『慣れ』てきたなら、もっといい組み合わせや相性の良さが出て来るかもしれないしね。


「よしっ、それじゃ今日の締めに一発デカめのやつ、いっとくか!」

「いいですねぇっ! 是非いきましょう!」


 ぱしっと拳を掌に打ち当てつつアリスが宣言し、それにガブリエラが真っ先に同意する。。

 行きません、と即答したい気持ちはないわけではないけど……。


”んー、そうだね。じゃあ今日最後に全員でクエスト挑んでみようか”


 組み合わせの確認でそこそこレベルのクエストにしか行ってないし、暴れん坊たちアリスとガブリエラはまだまだ暴れたりない、といった感じだ。

 他の皆も異存はなさそうなので、七人全員でクエストに挑んでみることにした。


”この辺かなぁ? 敵の名前がわかんないやつだけど……”

「まぁ何とかなるだろ、このメンツが揃ってりゃ」

「か、勝てそうになかったら、ボス連れて全力で逃げるから大丈夫……」

「馬鹿者、戦う前から逃げることを考えるやつがあるか」

「うふふ~、楽しみです~♪」


 アリス、ガブリエラは積極的。クロエラはやや消極的――まぁいざという時のことをあらかじめ考えている、という意味では臆病というより慎重という評価の方が妥当だろう。ちなみに、クロエラは私のことを『ボス』と呼ぶ……。

 ヴィヴィアンはアリスに着いて行くのが当然、とばかりにすまし顔で控えているのみ。

 ジュリエッタは何も言わないけど、準備万端整っているようだ……まぁ表に出さないだけで結構好戦的だしね。


「みゅー……ま、最後ならいいみゃ」

「そうだにゃー。これ終わったら、リエラ様はご飯食べてお風呂入って寝るにゃー」


 時間的にもこれが最後だろう。

 私たちは謎のモンスター討伐のクエストへと全員で挑んで行った……。




 ……そして、『灼獄の暴帝』アドラメレクという大型モンスターとその配下との戦いは――本当にわずかな時間で終わってしまった。

 もちろん、こちらの圧勝で。


”……う、うむ……これはひどい”


 モンスターが可哀想になってきた……いやマジで。

 数の暴力だけでなく、個の暴力でもこちらが終始相手を圧倒し続けていた。

 こいつ、見かけとか名前の割にはそこまで強くないモンスターなのかな?

 ピッピと融合したおかげか、倒した後限定だけどモンスター図鑑でレベルとか細かい情報が色々わかるようになったので、ちょっと調べてみよう……。


”…………はぁっ!?”

「? ご主人様、いかがなされましたか?」


 クエストクリアの通知が来て、ゲートへと皆で戻っている最中にモンスター図鑑を確認してみたら……。




 『灼獄の暴帝』アドラメレク 




 れ、レベル8ィ!?

 一概にこのレベル=モンスターの強さと言い切ることは出来ないけど……レベル8って言ったら、あの『嵐の支配者』よりワンランク低いだけだ。

 こ、これって本当は相当な強さのモンスターなんじゃ……?


「むぅ、やはり七人揃って戦ったら、楽勝なのはいいがちと物足りぬな」

「ですねぇ~」

「……御姫おひぃ様、じゃあ次は神装封印して戦ってみるとか?」

「縛りプレイか。ふむ、初見モンスターでやると使い魔殿に危害が及びそうだからアレだが、そうでないならやってみてもいいかもな。よし、ではジュリエッタ、貴様はメタモルの二語魔法縛りな。ガブリエラは……いや、言っても聞かないからいいか」

「??」

「ふふふ……面白くなってきた……!」


 我らが戦闘狂たちは相手がレベル8とも知らず、盛り上がっているようだ。

 ……いや、きっと知ったところで変わらないんだろうな……むしろ、『レベル8でこんなもんか。じゃあレベル9行こうぜ!』になるのが容易に予想できる……。

 う、うーむ……人数が一気に増えたというのもあるけど、また私たちだけかなり先のモンスターを相手にすることになるんじゃ……?

 そんなことを心配する、小心者の私なのであった。

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