第2話:日常と忍び寄る異世界 ※残酷描写有り

 放課後になり耀と共に学校を出る、母さんに夕食の事を打診するとよろこんでいた、ついでにあれこれと買い物も頼まれた。


『耀ちゃん来るんだしもう一品欲しいのよ、二人で買ってきてちょうだい、それと今日はお魚だから、耀ちゃんへ伝えてね』


と頼まれたので耀と共にスーパーへ行く。


「ねえねえ優希、優佳ゆうかさん今日のご飯何だって?」


「魚料理らしいよ、中身はわからん」


「お魚かぁ、難しいなぁ…」


顎に手を当て「むむむ」と悩む耀


「お肉はから揚げがあるし…」


「ねえねえ優希、優希は何食べたい?」


「うーんさっぱりとしたものがいいかな?」


「じゃあおろしポン酢で食べる、茄子の揚げ浸しにしようかなぁ…から揚げで油も使うし」


「なにそれうまそう」


「おっけーじゃあ茄子と大根買っていこう、ポン酢はあったよね?」


「聞いてみる…ちょっと待ってて」


 母さんに確認するとまだあるけど使ったら無くなりそうなので買ってきてと頼まれた。


 夕食で使うものと母さんからの頼まれ物、それと少しのお菓子を買い、スーパーを出ると空の色は茜色に変わっていた。



 それからいつもの通学路に戻ると歩き慣れた道を行く、耀と他愛ない話をしていると劈くような叫び声が聞こえた。


 耀と顔を見合わせると声のした方へ走り出し発生源である公園へ辿り着く。


公園内を見た瞬間吐き気がした、高校生だろうか?女性の脚をマチェットで切り落とし新鮮な肉を愉快そうな声を上げ脚を食い始めるゴブリン。


(何でこの世界に!?)


 すると、ゴブリンはこちらに気づいたのか新たな獲物が来たと醜悪な顔を向けニタァと笑った。


「ひっ…」


 その醜悪な顔をと現場の惨状を見た耀は腰を抜かしてしまっている。


 その時ゴブリンは何かを投げてくる、グチャっと音を立て目の前に落ちて来た。


 ソレを認識した瞬間腸が煮えくり返る程の怒りが湧いてきた。


その怒りと共に体の奥より、まるで何年も共にした力を感じた。


(これ…魔力?しかも使い方がわかる?いや体が識ってる…)


 体から出る魔力とこちらの世界の魔力とを混ぜ合わせ、向こうの世界で仲間が使っていた技を思い描き発動する。


 女性の脚を囮としてマチェットを構え飛び掛かってくるゴブリン。


 それに対して聖騎士が使っていた盾に魔力を込め弾き返す技。――シールドバッシュ!


 ゴブリンは反撃が来ることが予想外だったのか盾の代わりに魔力を込めた鞄で吹き飛ばされる。そこに追い打ちとして魔法を発現させる。


 氷の槍よ我が敵を穿ち凍て――アイスランス!


 70cm程の氷の槍を生み出し相手へ飛ばす、瞬きする間も無くゴブリンは氷にの槍に貫かれ絶命する。


(上手く魔石も破壊出来たな…)


 耀を立たせゴブリンが投げつけてきた脚を持って女性の元へ行くとまだ女性には息があった。


(指、目、脚、これは酷い…回復魔法なんて傷を塞ぐ程度にしか使った事しかない…でも、彼女の技なら!)


 私の前で傷付きし者、私の力をもって癒やせ!その力はすべての傷を直し給え!――パーフェクトヒール!


 呪文を唱えた瞬間まるで傷など無かった様に女性の脚はくっつき曲った指と失った眼は戻っていった。


 回復したあと女性は眠ってしまった為ベンチに寝かせ救急車と警察を呼んだ後耀と話す。


「優希…アイツ化け物は何だったの?ゲームに出てきそうなモンスターみたいだったし、それに優希は魔法みたいなの使ってたよね?」


「わからないけど…今日夢で見た敵とそっくりなんだよ…魔法は夢で見た仲間が使ってたんだ」


「なんかすごい夢だったんだね…」


「妙に感覚がリアルだったけどね」


 その後警察が来てゴブリンの死体を回収していった、その時に殺したのは君か?と聞かれたが、悲鳴がしてここに来たときには死んでいて自分は知らないと言っておいた。次に救急車が来たので救急隊員に事情を伝え女性は寝たままストレッチャーに乗せられ病院へ連れて行かれた。


 やっと警察と救急車から開放され耀と二人で家に帰った。

 夕食と風呂に入りニュースをチェックするが夕方の件はニュースにもなっていなかった。


 寝る前となった深夜部屋でくつろぎながらラノベを読んでいると耀が部屋に来た。


「いやー今日のあれ思い出したら怖くて眠れなくてさ」


 恐らく夕方の件を思い返してしまったのだろう、耀の家族は現在海外出張で家には耀一人だけだ。


「まあ、明日は土曜日だしな何かゲームでもするか?」


「じゃあ○鉄やろう99年で!」


「いやそれはやめてくれ…せめてひげおじのレースゲームとかも混ぜない?」


「しかたないな~特別だぞ~」


 ケラケラと笑いながら耀はコントローラーを握る

 その日明け方まで二人でゲームを楽しんだのであった。





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あとがき




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拙い文ですが楽しんでいただけたら幸いです。

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