第3話:神様なんていない ※残酷描写有り

 今回は別視点です。


 ◇21時55分◇


「やばいなぁ、門限過ぎちゃうよ」


 塾の帰り自転車を漕ぎながら私はぼやく。


 今日は塾の講習が終わった後珍しく自習室で勉強をしていた、学校の授業で躓いた所があり講師の先生に教えてもらっていたのだ。


 それからつい面白くなってしまい予習と復習に力が入ってしまった。


 気づけばもう塾を出ないといけない時間だった。


 そこから急ぎ自転車に乗ると交通ルールは守りつつ急いで帰っている。尊敬する両親の為警視総監の娘である私がルールを破るわけにはいかない。


(あの角を曲がれはもう家だ…)


 息を切らしつつ曲がる、そうすると家の前に秘書の方が使う車があった。


(お父さんこれから仕事なのかな、珍しい)


 警察官さんが在中してるボックス内にも人は居なかった。


(あれ?いつもなら挨拶するんだけど……誰も居ない?)


 そう思いつつ駐輪スペースに停めると違和感が強くなった。


(何この鉄臭い匂い…)


 そう思いつつ玄関に向かいドアを開けた瞬間戦慄した。


 秘書の佐藤さんと今日在任したばかりの警察官さんが血塗れで床に伏せていた。


 一瞬目を疑う様な光景に胃から酸っぱいものが上がってきた。


 直ぐに扉を閉じ玄関横の花壇に吐瀉物を出す。


(あ、お母さんが大事にしてる花壇汚しちゃった…あとで謝らないと…)


 力の入らない足で立ち上がるとふらつくが警察に電話をする。


 名前を伝えると向こうで警察官の方が驚いていたが秘書の佐藤さんが死んでいる旨を伝えると大急ぎで警察が来るとの事。


 そして電話を切りその場で蹲る。


 父が警視総監になってから仕事の調整や送り迎え等顔を合わせる機会が多かった、そんな近しい人の死を見てしまい涙が込み上げで来る。


 こんな時父ならどうするだろう………わからない…………


 立ち上がりふらふらと玄関に向う、もし犯人が居るなら絶対にやってはいけない悪手…だけど姿の見えない両親が心配になり扉に手を掛ける。


 ◇22時05分◇


 扉を開けるとむせ返るような血の匂いがした。


 佐藤さんに心の中ので謝りつつ彼を跨ぎ靴のまま廊下に入るそこからリビングに向うと凄惨な光景が広がっていた。


 血溜まりの中で倒れる父、その頭を踏みつけ、服を破られ裸となった母に包丁を突き立てながら腰を振る肌が緑色の怪物が二体、高笑いをしながら居た。


 その光景を見た私は眼の前が真っ赤になった、えも言われぬ憎悪と怒りの感情が体の中から沸き上がってきた。


 そこからはよく覚えていなかったが気付いた時には右手に持った包丁で怪物の喉元を引き裂さき、もう一体の怪物は脳を撒き散らし壁のオブジェと化していた所だった。


 それから警察官の方が来るまで母の亡骸を抱き、父の亡骸の隣で泣いていた。


 ◇23時20分◇

 通報から飛んで来た警察官の方が惨状に何人かトイレに駆け込んだ。


 放心していた私は婦警さんに怪物の返り血がついた身体を洗われた後、着替えさせられ車に乗って警視庁まで連れて来られ父の部屋に通された。



 今の時間を確認すると23時20分何時もなら温かいベッドで寝てる時間だった。


「いったい……なんでよぉ………私が悪い事したっていうの………」


 冷たくなる両親の感触を思い出し涙が溢れてくる。




 それからどのくらいの時間かわからないがノックの音がした。失礼しますと声がかかり何人もの男女が入ってきた。


「お待たせしまい申し訳ありません、私は警視庁の者です、此の度のご両親のご不幸私達も悲しく思っています。」


 代表した男性の言葉で後の皆が頭を下げる。


「この度の事件について説明させて頂きたいのですが宜しいでしょうか?」


 男性はそう言うと手にしてきたファイルを渡してきた。ファイルの中には両親を辱めた怪物を含め数種類の怪物の説明書きがあった。


「名前はゴブリン、ここ4〜5日で世界各地で現れた謎の怪物です」


「それってファンタジーに出てくるモンスターじゃ?それに世界中?」


「ええ、コレは未発表の事実ですが今世界中にはこういったモンスターとソレが生まれ住まうダンジョンと云うものが出現しています」


「でも、そんなニュースは見もしなかったですよ」


「各国の政府がまだ情報を秘匿していますので」


「そのような事を私に良いのでしょうか?」


「ええ、私達にも利がありますし」


 恐らくここで私に情報を開示すると言う事とこの人達が求める事が見えてきた。

「なんとなくわかりました、良いですよ。」


「まだ何も話してないですよ?」


「こいつらを倒す人たちを集める為の広告塔になれと言いたいんですよね」


「仰る通りです」


「私には何の力も無いですよ?唯の女子高校生です、それでもいいんですか?只のお飾りじゃなく、あいつらをいくらでも殺せるんですよね」


「はい、ですが勘違いされています、鳳さん貴方には力がありますよ、その力を生かす為の武器等はこちらで手配しましょう」


 そうして入室してきた男性に資料を渡されると、そこには検査結果と大きく書かれた紙に私の事が書かれていた、目を惹くのは【ジョブ】と書かれた所だ、そこには【狂戦士】と書かれていた、狂うって失礼ではないだろうか?


 まあいい、狂戦士だろうがなんだろうが、尊敬する父と母の恨みであるあの憎いゴブリン共をいくらでも殺す…それは常々父の正義感に憧れていた私にとっては都合がいい。


「わかりましたその脅威から人々を守る為に、なりましょう」


「ありがとうございます、では今から貴女は日本第一号の探索者です」




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 あとがき


 作者です。今回は新ヒロインの登場回としてゴブリンの悪虐性を出したらなんか某ゴブリン殺すマンみたいな展開になっちゃいました。

 一応ゴブリンは食欲最優先でそれが満たされてる場合は嗜虐性を優先的に楽しむという性質で置いてるモンスターですね

 その内作中でも説明をしようかと思います。(忘れなければ…)


 現在沢山のPV及びブックマークしていただきとてもうれしいです。

 初執筆&初投稿作品なので緊張で手が震えてます。


 作品の投稿時間なのですが基本は毎日18時の予約投稿にしています。


 話数ストックも3~4話キープ出来ればと思います。

 筆が遅いので頑張りますが、ストック切れになった場合2日に1話の更新ペースに落ちるかもしれません。


 これからも頑張りますので私の作品を読んで楽しんでいただけたら幸いです。





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