中古データと消えたメモリー

@yagihiro

分岐


黒く魔物の像が建てられた魔王の塔は

賑やかな朝を迎えていた。

「朝ごはん出来たぞー!起きろ!」

俺は魔王のディオラ

二年前、勇者と戦うはずだったが

突如プレイヤーがゲームを進行させることを

やめてしまったので勇者とその仲間達と

今何気なく暮らしている平凡な魔王だ


─お、起きたか

「あぁ…おはよう、ディオラ」

彼が勇者だ

金髪で蒼き瞳をしている好青年

俺は勇者の事が好きだ

今ではもう…家族に等しいんだから

「ディオラ、いつもありがとう」

勇者から言われた一言に俺は微笑む

『いいって事よ!俺達もう家族みたいな

もんだしさ、早く朝ご飯食べようぜ」

魔王の俺には少しばかり刺激の強い光が窓を通り食卓を照らす

勇者の横顔を見ながら俺は一つ言葉が

漏れていた


「こんな日常が続くといいな」

──と


「皆さんこんちくわ!

今回は中古で439円売りされてた

RPGゲームやっていきたいと思いまーすw」


─って、データ残ってるしw

俺新しいのから始めたいんで消しますね

てかこれ2年前のじゃん…!?

えっぐー…w

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