第150話 シニア猫がかかりやすい病気

 旅の間、気になっていたことが、もうひとつ。


 それは、ミケさんの健康けんこうだ。


 お年寄としよりの灰白猫と出会った時から、ミケさんが心配で仕方がなかった。


 無意識むいしきに、灰白猫とミケさんをかさねていた。


 灰白猫は、クッシング症候群しょうこうぐん腎不全じんふぜんだった。


 どちらも、高度こうど医療技術いりょうぎじゅつ特殊とくしゅ治療ちりょうが必要で、ぼくには治せない病気だった。


 猫も人間と同じように、年を取ると体が弱って、病気にかかりやすくなる。


 猫は、元気そうに見えても、実は病気をかくしていることがある。


 パッと見た感じ、元気そうなミケさんも、何か重大じゅうだいな病気にかかっているかもしれない。


 ミケさんは、イチモツの木がお気に入りで、イチモツの木の下で、お昼寝していることが多い。


 ぼくが近付くと、ミケさんは目を覚まして、ニッコリと笑う。


「おや、シロちゃん。ワシに、何か用かにゃ?」


「ミャ?」


 おやすみのところ、すみません。


 ミケさんの体を、診察しんさつさせてもらえませんか?


診察しんさつ? 別に、どこも悪いところはないけど、シロちゃんに任せるにゃ」


 ぼくはミケさんの許可きょかて、『走査そうさ』してみる。


症状しょうじょう慢性腎臓病まんせいじんぞうびょう歯周病ししゅうびょう関節炎かんせつえん便秘べんぴ


慢性腎臓病まんせいじんぞうびょう処置しょち降圧薬こうあつやく利尿薬りにょうやく活性型かっせいがたビタミンD・クレメジンなどの投与を飲ませる


歯周病ししゅうびょう処置しょち歯垢しこうの除去を取る歯石しせきの除去を取る歯磨はみがき、抗生物質こうせいぶっしつの投与を飲ませる


関節炎かんせつえん処置しょちステロイド消炎鎮痛剤しょうえんちんつうざい・コラーゲン・グルコサミン・コンドロイチンなどの投与を飲ませる


便秘べんぴ処置しょち食物繊維しょくもつせんい乳酸菌にゅうさんきんやオリゴとうの摂取を食べさせる水分摂取水を飲ませる適度てきどな運動、便秘薬べんぴやくの投与を飲ませる


 うわぁ……病気でいっぱいだ。


 でも、高度こうど医療いりょうが必要でなければ、なんとかなる。


 降圧薬こうあつやく利尿薬りにょうやく抗生物質こうせいぶっしつ鎮痛剤ちんつうざい便秘薬べんぴやくは、全部、ヨモギでいける。


 ビタミンDは、肉に含まれているから、肉を食べさせれば良い。


 クレメジン、コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン、食物繊維しょくもつせんい乳酸菌にゅうさんきん、オリゴとうは、たぶん、栄養補助食品サプリメントかな?


『クレメジンの概要がいよう尿毒症症状にょうどくしょうしょうじょう食欲不振しょくよくふしんかゆみ、吐き気、口臭など)を改善かいぜんする吸着炭きゅうちゃくたん


 吸着炭きゅうちゃくたんなんて、知らないし、手に入らないよ。


 歯垢しこうの除去を取るや、歯石しせきの除去を取るは、歯科技術しかぎじゅつや専用の道具がないと無理むりだ。


 あと、栄養補助食品サプリメントも手に入らないし……。


 いや? 待てよ?


 猫草ねこくさを食べさせれば、良いんじゃないか?


 確か、胃腸いちょうととのえたり、毛玉を出したり、ビタミンや食物繊維しょくもつせんいれたはず。


 それに、食感しょっかんが良い猫草は、良くむから、歯にも良さそう。


 よし、さっそくミケさんに、ヨモギと猫草を食べさせよう。

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