第146話 換毛期と花粉症

 猫は、人間のようにマスクが出来ないから、感染症かんせんしょう花粉症かふんしょうなどの、口から入ってくる病気に、かかりやすいんだよね。


 特に猫は、毛づくろいをするから、花粉やウィルスなどを、抜け毛と一緒にめて飲み込んでしまう。


 室内飼しつないがいの猫だったら、毛づくろいが出来ないように、エリザベスカラーを首に巻くとか、専用の服を着せるとか、空気清浄機くうきせいじょうきを使うとか、色々やりようがあるけど。


 野生の猫は、そういうワケにはいかないからなぁ。


 せめて、毛についた花粉を落とすブラシを作ろう。


 ブラシは、針葉樹しんようじゅの葉をたくさんたばねて、つるや細長い草でしばれば完成。


 これは以前、ノミ取りブラシとして作ったものだ。


 前は松の葉で作ったけど、イチモツの森には松がえていないから、針葉樹しんようじゅの葉で作ってみた。


 松の葉は細長くて硬いから、ノミ取りブラシに最適さいてきだったんだけど。


 松以外の針葉樹しんようじゅの葉はやわらかいから、ノミ取りとしては使えないな。


 ためしに、自分をブラッシングしてみると、ちょうど換毛期かんもうき(毛がわる季節)だからか、ビックリするほど、毛が抜けた。


 ブラッシングすると気持ち良いし、ごっそり毛が抜けると、体も軽くなる。


 こまめにブラッシングすれば、花粉も落ちるし、抜け毛を飲み込む量も減らせる。


 猫の毛は、軽くて空気中に舞いやすいから、花粉が付いた抜け毛は、穴をって土の中にめてしまおう。


 めておけば、微生物びせいぶつ分解ぶんかいされて、いずれ土へかえり、森の養分ようぶんとなる。


 これが、森のリサイクル。


 さっそく、集落しゅうらくの猫達にも、ブラシを教えよう。

 

「ミャ!」


 皆さん、花粉対策かふんたいさくにブラシを作って、ブラッシングしましょう!


「にゃにゃ? ブラッシング?」


「ブラシって、なんニャン?」


 まずは、猫達にブラシを使ってもらって、ブラッシングの気持ち良さを知ってもらう。


「ふにゃ~ん……気持ち良いにゃお~ん」


「ニャッ! 毛がいっぱい取れたニャンッ?」


 猫達がブラッシングの気持ち良さを知ったところで、ブラシの作り方を教えた。


 みんな楽しそうにブラシを作って、仲間同士でブラッシングしあっている。


 みんなでブラッシングして、山のように抜けた毛は、穴掘あなほりが得意な猫が、土にめてくれた。


 これで、花粉対策かふんたいさくはバッチリだ!


 ――――――――――――


換毛期かんもうきとは?】


 春になると、冬毛が抜けて夏毛へ。


 秋になると、夏毛が抜けて冬毛へと、毛が生え代わること。


 ちょうど、花粉症かふんしょう時季じきかさなるので、ブラッシングして、抜け毛と一緒に花粉を落としてあげよう。

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