第144話 ローズヒップ

 花粉症かふんしょうく薬草を探してくれ、『走査そうさ


対象たいしょう:バラ科バラ属イヌバラ』


概要がいよう:果実は「ローズヒップ」と呼ばれ、ビタミンCを多くふくむ』


薬効やっこう:ニキビ、乾燥肌、便秘、利尿りにょう、血液循環の改善をサラサラにする鎮痛ちんつう作用、解毒作用デトックス抗酸化こうさんか作用、疲労回復ひろうかいふく免疫力めんえきりょく強化、活性酸素除去かっせいさんそじょきょ、コラーゲンの生成を作る、心臓病予防、ガン予防、脂肪燃焼効果ダイエット花粉症かふんしょう(アレルギー症状の原因である、ヒスタミンを抑制おさえる)』


 ローズヒップティーも、おばあちゃんが飲んでいたっけ。


 ぼくも1回だけ、試しに飲ませてもらったことがあるんだけど、めちゃくちゃっぱくって苦手だった。


 見れば、緑色の葉を付けた低い木の間に、1cmくらいのちっちゃな実が、たくさんっている。


 これが、ローズヒップか。


 真っ赤な皮がツヤツヤしていて、甘酸あまずっぱい果物くだものにおいがする。


 美味しそうなので、さっそく口に入れてみた。


「ミャッ!」


 うわ! っぱっ!


 全然じゅくしてなくて、めちゃくちゃっぱいミニトマトみたいだ。

 

 これは、そのまま食べるのは無理だ。


 困ったな、どうしよう。


 せっかく、花粉症かふんしょうく植物を見つけたのに。


 こんなにっぱかったら、みんな、飲んでくれないぞ。


 実をつぶして、水でうすめれば、いけるかな?


 とりあえず、河原かわらへ行って、ローズヒップを石で叩いてつぶす。


 出来た真っ赤な汁を、水でうすめて、飲んでみる。


 う~ん……そのまま食べるよりかはマシだけど、やっぱりっぱいな。


 最終手段さいしゅうしゅだんとして、「薬なので、我慢がまんして飲んで下さい」と、言うしかないか。


 そもそも、花粉症かふんしょうには、どのくらい飲めばいいの?


用量ようりょう:1日1粒。過剰摂取するのみすぎると、副作用ふくさようあり』


副作用ふくさよう倦怠感ダルさ、吐き気、下痢、胸やけ、不眠症ふみんしょう消化器系異常しょうかきけいいじょう腎臓じんぞう異常、腎結石じんけっせき


 強い薬には強い副作用ふくさようがあるから、量には気を付けないと。


 とりあえず、つぶした実を水でうすめて、花粉症かふんしょうで苦しむ猫達に飲ませてみよう。


 花粉でアレルギー性皮膚炎せいひふえんを起こしている猫には、アロエをって、痛みとかゆみをおさえるんだ。


 ぼくは、集落しゅうらくへ戻り、花粉症かふんしょうで苦しんでいるクロブチ模様もようの猫に、話しかける。


「ミャ」


 こんにちは、ぼくはお医者さんです。


 皆さんの病気を治す為に、お薬を作ってきました。


 っぱいと思いますが、病気が治るので、我慢がまんして飲んで下さい。


「あっ、君は、仔猫のお医者さん! また来てくれたのにゃあ?」


 クロブチは、おどろきとよろこびが混ざった顔で、ぼくを見た。


 え? ぼくを知っているの?

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