第143話 猫も花粉症になる

 森の中を、お父さんとお母さんと、仲良くおててつないで歩いていると。


 どこからか、くしゃみが聞こえてきた。


 それも、1回じゃなくて、連発れんぱつしている。


 くしゃみを連発れんぱつするって、ただごとじゃない。


 最近、寒くなってきたし、風邪かぜを引いている猫達がいるのかもしれない。


 風邪かぜで苦しんでいる猫は、見過みすごせない。


 どこにいるのか、教えて、『走査そうさ


対象たいしょう:食肉目ネコ科ネコ属リビアヤマネコ』


症状しょうじょう季節性きせつせいアレルギー性鼻炎せいびえん


処置しょちこうヒスタミンざい・ステロイドざいの投与を飲ませる


位置情報いちじょうほう右折うせつ300m先、直進ちょくしん40m』


 季節性きせつせいアレルギー性鼻炎せいびえん


 つまり、花粉症かふんしょうってこと?


原因植物げんいんしょくぶつ:ブタクサ・ヨモギ』


 ブタクサは、秋の花粉症かふんしょうの最大の原因。


 実は、万能薬ばんのうやくのヨモギも、秋の花粉症かふんしょうの原因になるんだ。


 イヌやネコも、人間と同じように花粉症かふんしょうになる。


 ぼくも人間だった頃は、スギ花粉アレルギーだった。


 春になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目も肌もあちこちかゆくなって、めちゃくちゃツラかった。


 猫に生まれ変わってからは、花粉症かふんしょうで苦しんだことはない。


 お父さんとお母さんも、なんともなさそうだ。


 アレルギー体質たいしつは、親から子へ遺伝いでんする。


 今のぼくが花粉症かふんしょうじゃないのは、お父さんとお母さんが大きく関わっている。


 ふたりともアレルギーを持っていないでくれて、ありがとう。


 しかし、この先にいる猫達は、花粉症かふんしょうで苦しんでいる。


 花粉症かふんしょうの苦しみを知っているからこそ、猫達を花粉症かふんしょうからすくいたい。


 ぼくは『走査そうさ』の案内にしたがって、走り出した。


  

 しばらくすると、猫がたくさんいる集落しゅうらくいた。


 みんな花粉症かふんしょうらしく、くしゃみを連発れんぱつし、鼻水と目のかゆみで、ずっと顔をき続けている。


 中には、きすぎて、あちこち毛が抜けてしまっている猫もいるようだ。


 可哀想かわいそうに……早く、なんとかしてあげたい。


 ステロイドは、抗炎症薬こうえんしょうやくのことで、痛みめとかゆめだな。


 抗炎症こうえんしょう作用の薬草なら、アロエやキランソウやヤブガラシがある。


 でも、こうヒスタミンざいってのが、分からない。


 こうヒスタミンざいって何?


こうヒスタミンざい薬効やっこう:アレルギーの諸症状しょしょうじょう緩和やわらげる皮膚ひふかゆみを緩和やわらげる、乗り物いを緩和やわらげる鎮痛ちんつう作用』


 なるほど、アレルギーの薬ってことか。


 基本的には、痛みやかゆみをやわらげる薬みたいだな。


 確か、人間だった頃に、「花粉症かふんしょうくお茶」みたいのが、あったはずなんだけど。


 花粉症かふんしょうく薬草って、あるのかな?

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