第139話 猫が水を飲まない理由

 猫達が水を飲まないのは、水飲み場の環境かんきょうが良くないのかもしれない。


「おや? どちらへ行かれるナォ?」


 水飲み場を調べに行こうとしたら、集落しゅうらくおさが話しかけてきた。


「ミャ」


 猫達が水を飲まない理由りゆうを調べに、水飲み場まで行くだけですよ。


「だったら、一緒に行くナォ」


 え? 来るの? なんで? 来ないで。


 そこで、お父さんとお母さんも近付いて来る。


「シロちゃん、おささんと、どこ行くニャー?」


「シロちゃんに何かあったら、困るニャ」


 ふたりとも、集落しゅうらくおさが、ぼくに依存いぞんしているのを知っているから、心配しているんだ。


「ミャ」


 お父さん、お母さん、ぼく、これから、水飲み場を調べに行くんだ。


「だったら、私達も一緒に行くニャ」


 お父さんとお母さんはニッコリと笑って、着いて来てくれることになった。


 数匹の猫達も、「なんニャなんニャ?」と、興味津々きょうみしんしんいて来る。


 水飲み場を調べるだけなのに、そんなにゾロゾロいて来られても、困るんだけどなぁ。


 とりあえず、行くか。



 実際じっさいに、水飲み場に来てみたら、理由りゆうはすぐ分かった。


 水飲み場となる川は、集落しゅうらくから少し離れた場所にある。


 これは、雨で川があふれても、猫達が水害すいがいわない為だったんだけど。


 寒い日に、ここまで来るのは、ツラいな。


 川の周辺しゅうへんは、木々にかこまれていて、一日中、日陰ひかげ


 川には綺麗きれいな水が流れていて、いつも冷たい川風かわかぜが吹いている。


 試しに、水を飲んでみたら、氷水みたいに冷たくて、体のしんまで冷えた。


 夏はすずしいけど、冬は寒すぎる。


 これじゃ、水を飲みに来られないワケだ。


 初めて、この場所に来た時は、夏のあつい日だった。


 だから、冬のことまで考えなかったんだよね。


 よし、理由りゆうは分かったぞ。


 さて、次は、どうやって猫達に水を飲ませるかだ。


 水が冷たくなければ、飲んでくれるはず。


 だったら、集落内しゅうらくないに、池を作ったらどうだろうか?


 冬でも、日差ひざしはあったかいから、太陽光たいようこうで、池の水をあっためるんだ。


 まずは、一日中、日当ひあたりが良い場所に、池となる穴をる。


 次に、川から水を引く、水路すいろっていく。


 いつも新しい水と入れ替える為、池には、古い水を流す排水路はいすいろる。


 排水路はいすいろ川下かわしもつなぎ、古い水は川へ戻す。

 

 この計画が上手くいけば、猫達は水を飲んでくれるはず。


 なんでもやってみなくちゃ、どうなるか分からない。


 ちょうど、猫達もいるし、猫の手を借りて、池を作ってみよう。

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