第129話 猫にマタタビ

 そもそも、「クッシング症候群しょうこうぐん」と「慢性腎不全まんせいじんふぜん」って、どんな病気?


 病気そのものは治せなくても、病気の苦痛くつうやわらげるくらいは出来ないかな?


『クッシング症候群しょうこうぐん症状しょうじょう多飲たくさん飲む過食食べすぎ嘔吐はく脱毛毛が抜ける毛艶けつやが悪くなる、腹部膨満感おなかぽっこり筋力低下きんりょくていか高血圧こうけつあつ骨粗鬆症骨がボロボロになる免疫力低下めんえきりょくていか


慢性腎不全まんせいじんふぜんの症状:貧血ひんけつ便秘べんぴ多飲たいん食欲不振しょくよくふしん体重減少たいじゅうげんしょう虚弱体が弱る無気力元気がない


 症状しょうじょうを見た感じ、痛みはないみたいだな。


 薬草で対処療法たいしょりょうほう症状しょうじょうに合わせて、治療ちりょうおこなう)くらいは、出来るかもしれない。


「ここナ~ウ。ゆっくりしてってナ~ウ」


 灰白猫は縄張なわばりにくと、適当なところに横たわって、お昼寝し始めた。


 さすが、猫、自由だな。


 そういえば、お年寄りの猫は、睡眠時間すいみんじかんが増えるんだっけ?


 病気で、体も弱っているのかもしれない。


 いたわるように、灰白猫の背中をでる。


 猫は、お年寄りになっても可愛い。


 そこへ、1匹の猫が近付いて来る。


「おばあちゃんったら、ふらっといなくなったと思ったら、こんなところでお昼寝してナォ……」


 白毛に灰色のブチ模様もようの猫が、あきれた顏で、ひとつため息を吐いた。 


 どうやら、灰ブチ猫は、灰白猫のおまごさんのようだ。


 ぼくは、灰ブチ猫に挨拶あいさつをする。 


「ミャ」


 初めまして、こんにちは。


 ぼくは、お父さんとお母さんと3匹で、旅をしている猫です。


 さっき、このおばあさんに会って、ここまで連れて来てもらったんです。


「そうだったナォ? 初めまして、おばあちゃんがお世話になったナォ」


「ミャ」


 ぼくはお医者さんなんですけど、たところ、おばあさんはご病気のようです。


 もし良かったら、ぼくに、治療ちりょうさせてもらえませんか?

 

「やっぱり、病気ナォ? おばあちゃん、このところ、すっかり元気がなくなっちゃって、寝てばかりナォ。なんとかして欲しいナォ」


「ミャ」


 分かりました、出来る限りのことはします。


 ぼくはそう言うと、周辺しゅうへんの草むらへ向かって、『走査そうさ


対象たいしょう:シソ科イヌハッカ属イヌハッカ』


概要がいよう:猫が好む植物で、「キャットニップ」「キャットミント」「西洋マタタビ」などと呼ばれる』


薬効やっこう鎮静効果リラックス不眠症ふみんしょう抗菌こうきん作用、こうウィルス作用、抗酸化こうさんか作用、解熱げねつ風邪かぜ整腸せいちょう作用、胸やけ、消化促進しょうかそくしん食欲増進しょくよくぞうしん免疫力めんえきりょく強化、生活習慣病せいかつしゅうかんびょう、猫のストレス解消かいしょう効果こうかあり』


 これは、ぼくでも良く知っているぞ。


 猫が食べられる数少ないハーブで、マタタビと同じ効果があるんだ。


 よし、これを灰白猫に食べさせよう。

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