第127話 たくさん食べて元気になろう

 ニガヨモギを飲んだ翌日、猫回虫ねこかいちゅうが出た。


 白いミミズみたいな虫が、うねうねして、気持ち悪い。


 こんなものが、ぼくのおなかの中にんでいたかと思うと、ゾッとする。


 すぐに、あなって、土にめた。


「苦いからイヤだ」と、ワガママを言わずに、これからも定期的ていきてきにニガヨモギを飲もう。


 猫回虫ねこかいちゅうが出て、数日つと、少しずつ、体調が良くなってきた。


 みょうっていたおなかも、ひっこんだ。


 パサパサの毛並けなみも、つやを取り戻しつつある。


 せてしまった体と、体のダルさは、そのうち戻るだろう。


 元気を取り戻すには、食べなきゃね。




 ぼく達は、山のふもと沿って歩きながら、獲物えものを探す。


 しばらくすると、キリンのような首の長い動物のれを見つけた。


 お父さんがキリンを見て、狩りの目付きになる。


「シロちゃん、あれは、アエピカメルスニャー。さっそく、みんなで狩るニャー」


「分かったニャ」


「ミャ」


 お父さんの合図で、ぼく達は一斉いっせいけ出した。


 おそってきたぼく達を見て、アエピカメルス達はあわてて逃げ出す。


 お父さんは、1とうのアエピカメルスの足に飛び付き、ころばせる。


 アエピカメルスが、地面にひざいたところで、長い首を登り、顎下あごしたらい付く。


 急所きゅうしょみちぎられたアエピカメルスは、大きな音を立てて地面に倒れた。


 相変わらず、お父さんは、軽やかな身のこなしで、急所きゅうしょねらった攻撃が上手い。


 ぼくも、お父さんみたいに狩りが上手くなりたい。


 でもぼくは、大きな獲物えものあばれられると、簡単に振り落とされちゃうんだよね。


 つめきばも小さいから、獲物えものの皮に深くさらないんだ。 


 つめを出して、じっと見つめる。


 この小さな体が、にくい……。

 

 落ち込むぼくの頭を、お母さんが優しくでしてくれる。


「シロちゃん、どうしたのニャ? たくさん食べて、元気になるニャ」


「ミャ」


 お母さんが言う通り、落ち込んでいても、仕方がない。


 せっかく、れたてのお肉が目の前にあるんだ。

  

 たくさん食べて、猫回虫ねこかいちゅうに取られた元気を取り戻そう。


 アエピカメルスのお肉は、脂身あぶらみが少ない赤身あかみで、シカやウマに似た味で、とても美味しかったです。



 ――――――――――――


Aepycamelusアエピカメルスとは?】


 今から約2000年前~200万年前に生息せいそくしていたといわれている、ラクダの祖先そせん


 古い資料には、Alticamelusアルティカメルスと書いてあり、「背の高いラクダ」という意味がある。


 砂漠さばくじゃなくて、大草原だいそうげんんでいたし、木の葉を食べる草食動物そうしょくどうぶつ


 どう見ても、キリン模様もようがないキリン。


 肩高約2m、体重は不明。 

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