第107話 猫の幸せがぼくの幸せ

 ダニとノミを駆除くじょした猫達に、今度は、ヨモギの見分みわけ方と薬の作り方を教えた。


 ヨモギは、飲んでもっても使える、とっても優秀ゆうしゅう万能薬ばんのうやく


 アロエは、折ってるだけだから、簡単かんたん便利べんりだけど。


 猫がアロエを食べると、ポンポンペインペインおなかいたいいたいになるので、毛づくろいの時にめないように、気を付けよう。


 白花虫除菊しろばなむしよけぎくの毒は、虫にしかかないから、猫がめても大丈夫。


 珪藻土けいそうどは、食べられる土なので、めても安心安全。


 だけど、珪藻土けいそうどは食べても美味しくないし、たくさん食べると便秘べんぴになるぞ。


 ちなみに、ブラシに使った松の葉も、毒はない。


 松の葉には油がふくまれているので、ブラッシングすると、毛がなめらかになる。


 松の葉も、薬草として優秀ゆうしゅうで、抗酸化こうさんか作用、高血圧、動脈硬化どうみゃくこうか脳卒中のうそっちゅう認知症にんちしょう不眠ふみん抜毛だつもう育毛いくもう、禁煙などに効果がある。


 松の樹にふくまれる松脂まつやには、止血しけつ保湿ほしつ、燃料、すべり止めとして使える。


 ――と、『走査そうさ』が教えてくれた。


 薬草の見分みわけ方をおぼえて、用法ようほう用量ようりょうをきちんと守れば、どれも素晴らしい薬になる。


 薬は、使い方を間違まちがえてしまうと、毒になってしまうから要注意ようちゅうい



 みんなで手分けして作業すれば、それほど時間をかけずに、患者さん全員の処置しょちが終わった。


 ぼくひとりだったら、もっと時間がかかっていたに違いない。


 今まで、「ぼくが頑張がんばらないと! ぼくがやらないとっ!」と、ひとりで必死ひっしになっていた。


 でも、なんでもかんでも、ひとりでやるには限界があるし、時間がかかるし、疲れてしまう。


 みんなで協力してやった方が、早いし、楽しいし、そんなに疲れない。


 それに、みんなでやれば、みんなに、薬の作り方や使い方をおぼえてもらえる。


 これで、ぼくがいなくなっても、病気やケガの処置しょちが出来るようになったはずだ。


 これからは、行く先々さきざきでも、猫の手も借りることにしよう。


 あとは、お医者さんになってくれる猫がいれば良いんだけど。


 無理強むりじいはしたくないから、なりたい猫がなってくれれば良い。


 みんながみんなで処置しょち出来るなら、それで良いし。


 別に、お医者さんにこだわる必要はないか。


 苦しんでいる猫が1匹でもいなくなって、猫達が元気で幸せになってくれることだけが、ぼくの望みだから。


 猫が幸せなら、ぼくも幸せ。


 ぼくがやるべきことはやったし、ゆっくり休んで疲れがえたら、また旅へ出よう。

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