第106話 ダニノミバスターズ

 ダニとノミを駆除くじょし終わったクロトラは、大喜びでぼくに感謝する。


「仔猫のお医者さん、ありがとニャゥ! おかげで、かゆくなくなったニャゥッ!」


「ミャ」


 どういたしまして。


 かゆみがなくなって、良かったですね。


 それで、クロトラさんにお願いがあります。


 同じように、かゆみで苦しんでいる猫達がいたら、連れて来て下さい。


 あと、お薬とブラシの作り方も教えますから、お手伝いしてくれる猫達も呼んできてもらえたら、助かります。


「分かったニャゥ! みんなを呼んで来るニャゥッ!」


 そう言うと、クロトラはり切って、集落しゅうらくの猫達に声を掛けに行ってくれた。


 クロトラが、声を掛けに行っている間に、ぼくは珪藻土けいそうどり出すことにした。


 お父さんとお母さんは、疲れて寝ているので、お手伝いはたのめない。


 しばらく、ひとりで珪藻土けいそうどっていると、後ろから声を掛けられる。


「仔猫のお医者さん」


 振り向くと、そこにいたのは、泣き疲れてゲッソリしたキジブチだった。


「ミャ?」


 キジブチさん? どうされましたか?

 

「何もしていないと、シロチャさんのことばっかり考えちゃって、悲しくて悲しくてずっと泣いちゃうニャゴ。だから、何か出来ることがあったら、お手伝いをさせて欲しいニャゴ」


「ミャ」


 そうですよね……何かしていた方が、気はまぎれると思います。


 でしたら、この白い石をり出すのを、手伝ってもらえますか?


 これが、ダニとノミを駆除くじょするお薬になります。


「この白い石を、り出せば良いニャゴ? 分かったニャゴ」  


 キジブチは、落ちていたとがった石を使って、珪藻土けいそうどり始めた。


 そのうち、クロトラに声を掛けられて来てくれた、お手伝いの猫達も集まってきた。


 ぼくは、お手伝いの猫達に、ダニノミ駆除薬くじょやくとブラシの作り方を教えた。


 ダニノミ駆除薬くじょやくは、珪藻土けいそうど白花虫除菊しろばなむしよけぎくを、1:1の量で混ぜて、叩いて粉にするだけ。


 ブラシは、ちょっと作るのが難しいので、手先てさき器用きような猫達に教えた。


 器用きような猫達はすぐに、ぼくよりも上手に、ブラシを作れるようになった。


 力や体力がある猫達は、薬作り。


 器用きような猫達は、ブラシ作り。


 薬とブラシが出来たら、ブラッシングのやり方を教えた。


 みんなで手分けして、ダニとノミで苦しむ猫達に、薬をふりかけて、ブラッシングしていく。


 ワイワイと、みんなで協力して作業をしているうちに、キジブチの表情が少しずつ明るくなっていった。

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