第104話 駆除薬

 どこに、ノミやダニにく薬草があるのかな?


 そもそも、そんな薬草があるのかな?


 とりあえず、草がいっぱい生えている場所に向かって、『走査そうさ


 頭の中に、次々と浮かんでくるのは、お馴染なじみの薬草達。


 寄生虫きせいちゅうに効く薬草は、ちょこちょこあるんだけど。


 ノミやダニに効く薬草が、なかなか見つからない。


 しばらく、手当たり次第しだいに、あちこち手をかざして歩いていたら、知らない名前が出てきた。 


対象たいしょう白花虫除菊しろばなむしよけぎく


薬効やっこう:殺虫成分のピレトリンを含む。乾燥かんそうさせて、粉末ふんまつにして利用する。ノミ・ダニ・ハエ・などに、殺虫効果がある』


 これだーっ!


 足元にえていた白花虫除菊しろばなむしよけぎくは、花の時季じきえて、れていた。


 さっそく、れた白花虫除菊しろばなむしよけぎくき集めていく。


 抗菌薬こうきんやくのヨモギと、抗炎症薬こうえんしょうやくのアロエも、忘れずにっておく。


 あの集落しゅうらくにいた猫達全員に使うから、たくさん集めないと。


 ある程度、集めたところで、近くの岩壁いわかべに寄りかかって、ひと休み。


 何気なにげなく、岩壁いわかべに手をいた時に、『走査そうさ』が発動はつどうした。


対象たいしょう珪藻土けいそうど


用途ようと(使い道):陶器とうき建材けんざいの原料、絶縁体ぜつえんたい(電気を通さない)、研磨剤けんまざい(刃物をぐ)、乾燥剤かんそうざい、ノミやダニの駆除くじょ虫下むしくだし(寄生虫きせいちゅうを出す)、食用可しょくようか


 え? 草じゃなくて、食べられる土?


 この土は、ノミとダニに効果があるのか?


 ためしに、珪藻土けいそうどを軽くつめけずって、口に入れてみた。


 当たり前だけど、何も味がしない、ただの土だ。   

 

 口に入れた直後、口の中の水分を全部持っていかれて、パッサパサになった。


 あわてて、川まで走って、水をガブガブ飲んだ。


 ふ~……これは、そのまま食べるもんじゃないな。


 でも、良いものを見つけたぞ。


 白花虫除菊しろばなむしよけぎく珪藻土けいそうどを混ぜれば、きっと、最強のダニノミ駆除薬くじょやくが出来るに違いない。


 そうと決まれば、珪藻土けいそうどり出して、白花虫除菊しろばなむしよけぎく調合ちょうごうするぞっ!




 ――――――――――――――


白花虫除菊しろばなむしよけぎくとは?】


 5月下旬~6月上旬に、花を咲かせる白いきく


 ピレトリンは、虫にしか効かない神経毒しんけいどく(体が動かなくなる毒)で、哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるいにはほとんど効かない。


 蚊取かとり線香せんこう、ノミダニ取り粉、農業用殺虫剤などに利用される。



珪藻土けいそうどとは?】


 珪藻けいそうというが、化石かせきになったもの。


 たくさん水を吸うので、乾燥剤かんそうざいとして、よく利用される。


 粉末ふんまつにして、イヌやネコの体にまぶすと、ノミやダニが脱水症状だっすいしょうじょうを起こして、死ぬ。


 食べられるけど、食べ過ぎると、おなかの中の水分を吸われてしまうので、便秘べんぴになる。

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