第96話 ひとりきりの狩り

 チチチチ……という鳥の鳴き声で、目が覚めた。


 目を開けると、外から明るいの光がし込んで来ていた。


 巣穴すあなから空を見上げると、青くわたっていた。


 良かった! ついに晴れたっ!


 ぼくはうれしくなって、いそいそと、巣穴すあなから出た。


 地面はグチャグチャで、1歩み出すごとに、足が沈み込んで歩きにくい。


 ぬかるんだ土に苦労しながら、川まで辿たどいた。 


 昨日まで大雨がっていたから、川は茶色くにごり、流れも激しい。


 う~ん……まだ渡れそうにないな。


 早く、元通りになってくれればいいんだけど……。


 どうにかして、渡れないかな?


 川幅かわはばは、10m以上あるから、ジャンプしても越えられそうにない。


 周りを見回してみるけど、橋になりそうなものもない。


 泳いで渡ろうにも、水の勢いが激しすぎて、流されてしまいそうだ。


 川を見つめながら、ずっと考えていたけど、渡る方法は何も思いつかない。


 仕方がない、川の流れが収まるまで待つしかないか。


 お父さんとお母さんに会えるのは、もう少しさきになりそうだ。 


 ふたりは、絶対に無事だと信じている。


 川を渡ることさえ出来れば、きっと会える。


 ふたりがいれば、また旅を続けられる。


 それまでなんとかして、ひとりでも頑張がんばって生きびなきゃ。


 まずは、狩りをしよう。


 雨がんだから、動物達も巣穴すあなから出てきているはずだ。


 出来れば、虫はあまり食べたくない。


 今日こそ、お肉を食べるぞ!


 獲物えものを探して歩き回っていると、つのが生えたプレーリードッグみたいな動物のれが、モシャモシャと草を食べているのを見つけた。


 プレーリードッグくらい大きさの動物なら、ぼくでも狩れるっ!


 さっそく、プレーリードッグのれにおそいかかった。


 プレーリードッグ達は慌てて逃げ出したけど、逃げ遅れた1匹を上手く仕留しとめられた。


 そういえば、ひとりで狩りをするのは、初めてだな。


 いつもは、お父さんとお母さんと3匹で狩りをしていたから。

   

 これでやっと、お肉が食べられる。


 プレーリードッグは、とりのもも肉みたいで、柔らかくて美味しい。


 やっぱり、お肉は美味しい! お肉最高っ!




 ―――――――――――――――――――


【角が生えたプレーリードッグとは?】


 Ceratogaulusケラトガウルスは、今から約3000万年~200万年前に生息せいそくしていたと言われている、ネズミの祖先そせん


 サイみたいに、鼻の上に2本の角が生えた、プレーリードックみたいな草食動物そうしょくどうぶつ。 


 角がえた齧歯類げっしるい(ネズミの仲間)は、コイツだけ。   


 体長約30~40cm、体重約1~2kg 

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