第82話 アロエの効果

 お父さんとお母さんに頼んで、患者さんを川から出してもらった。


 患者さんは、「やっと、水から出られた」と、びっしょりとれたまま、河原かわらでぐったりと寝そべっている。


 今日は天気も良いし、ひんやりとした川風かわかぜが吹いていて、すずしくて気持ちが良い。


 このまま日向ぼっこしていれば、そのうち、お日様の力で乾くだろう。


 次は、打撲だぼく炎症えんしょうおさえる、アロエの汁をらないと。


 アロエは、葉をつぶしたり、しぼったりする必要はない。


 葉をポッキリ折るだけで、透明とうめいのヌルヌルした汁が出てくる。


 しかし困ったことに、猫は、全身が毛におおわれているから、どこをケガしたのか分かりにくい。


 人間だったら、打撲だぼくした場所が青や赤に変色へんしょくするから、すぐ分かるのに。


 困った時の「走査そうさ」頼み。


打撲だぼく、および、り傷の箇所かしょ:両ひじ、両ひざ、右手根しゅこん(手首)、左飛節ひせつ(足首)、臀部でんぶ(おしり)』


 よし、「走査そうさ」のおかげで、打撲だぼくした場所が分かったぞ。


 ここに来てようやく、「走査そうさ」の使い方が分かってきたような気がする。


 さいわいなことに、岩山から転がり落ちる時に、頭や腹は打たなかったようだ。


 もし、脳や内臓ないぞうにダメージを受けていたら、ぼくにはどうすることも出来なかった。


 ぼくに出来ることは、応急処置おうきゅうしょち民間療法みんかんりょうほうレベルだからな。


「ミャ」


 傷にお薬を、りますね。


「ニャニャ……ぬるぬるべとべとして、気持ち悪いニャン……」


 アロエの汁をると、患者さんは不快ふかいそうに顔をしかめた。


 どんなり薬も、った後はしばらくベタベタして、気持ち悪いよね。


「ミャ」


 ケガを治す為ですから、薬が乾くまで我慢がまんして下さいね。


 そう、患者さんに言い聞かせて、打撲だぼくした部分にアロエの汁をたっぷりとりつけた。


 とりあえず、この状況でやれることは、やったと思う。


 テープで固定テーピングは、テープもないし、巻き方も分からないから出来ない。


 あとは、安静あんせいにして、寝て治すしかない。


 やることやって疲れたので、ぼく達4匹の猫は、れた毛を乾かしながら、河原かわらでお昼寝をすることにした。



 ――――――――――――――――


【猫にアロエを食べさせても大丈夫?】


 アロエは、猫にとっては毒なので、絶対に食べさせちゃダメ。


 だけど、有毒ゆうどく成分をのぞいた、アロエ入り猫用商品はたくさんある。


 ・猫用アロエベラジュース

 

 ・アロエ入りキャットフード


 ・猫用アロエシャンプー


 ・猫砂用アロエ消臭剤

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る