第76話 ※個人の感想です。

 可愛い赤ちゃん猫達をながめて満足したところで、さっきの猫に話しかける。


「ミャ?」


 あなた達は、どこにんでいるのですか?


「ここにいる猫達は、この辺りを縄張なわばりにしているニャァ」


 なるほど、縄張なわばりか。


 どんな生き物にも、縄張なわばりがある。


 もちろん、人間にも縄張なわばりがある。


 学生さんは、同じ学校に通っている学生さん達がいる学区がっくがある。


 おまわりさんにも、所轄しょかつっていう縄張なわばりがあるんだよ。


 草原の猫は、森の猫と違って集落を作らず、縄張なわばりで暮らしているってことか。 


 しかも、この縄張なわばりは安全そうだ。


 安全だと分かる理由は、仔猫達がいるから。


 仔猫は体が小さくて未熟みじゅくだから、病気にかかりやすく、肉食動物にもねらわれやすい。


 イヌノフグリの集落とキランソウの集落には、仔猫が1匹もいなかった。


 きっと、ぼくがたずねる前に、病気やケガで死んでしまったんだ。


「ミャ」


 ぼくは、お医者さんです。


 ここには、ケガや病気で苦しんでいる猫はいますか?


「仔猫のきみが、お医者さんニャァ?」


 目の前の猫は、ぼくの言葉を信じてくれず、笑い飛ばされてしまった。


 まぁ、信じられなくても、無理はないんだけどね。


 今まで、仔猫のぼくがお医者さんだと信じてもらえたのは、ケガや病気で苦しんでいる猫がいたから。


 実際に猫達を救ったから、仔猫のお医者さんでも信じてもらえた。


 でも、ここの猫達は、お医者さんを必要としてないようだ。


 別に、信じてもらえなくっても良い。


 お医者さんがいらないってことは、平和な証拠しょうこだからね。


 ぼくは、質問を変える。


「ミャ?」


 猫会議ねこかいぎって、何をしているんですか?


「何もしてないニャァ。同じ縄張なわばりでらしている猫同士で、集まっているだけニャァ」


 え? 何もしてないの?


 人間だった頃に、何度か猫会議ねこかいぎを見掛けたことがあるけど。


 数匹の猫が、になって座っているだけで、何かをしているようには見えなかった。


 毛づくろいしたり、お昼寝したり、自由気ままに過ごしていた。


 そして、人間が通りかかると、「何見てんだよ?」みたいな感じで、にらまれる。


 あれ? なんかそういうのって、どっかで見たことあるような……?


 夜のコンビニの前で、集まってたむろしているヤンキーみたいな感じ?


 ヤンキーも、集まってたむろしているだけで、特に何もしていない。


 そういえば、ヤンキーもになって座っていたな。 


 通りかかると、「何見てんだよ?」って、にらまれるし。


 そうか! 猫会議ねこかいぎって、集まってたむろしているヤンキーと同じだったんだっ!

 

  

 

 ――――――――――――――――

 ※個人の感想です。


 猫会議ねこかいぎで、猫が何をしているかは、人間にとって永遠の謎。

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