第65話 周辺調査

 毒虫が出てきますので、苦手な人は閲覧注意えつらんちゅうい


 心の準備は、よろしいですか?


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 ぼくは、集落しゅうらくの猫達を苦しめる毒虫を調べる為に、集落しゅうらく周辺しゅうへんを歩いてみることにした。


「シロちゃん、お散歩するのかニャー?」


「シロちゃんひとりじゃ危ないから、一緒に行くニャ」


 森の調査には、お父さんとお母さんも付いてくることになった。


 適当に、集落しゅうらくの近くにえている木を、「走査そうさ


対象たいしょう:ツバキ科ツバキ属ツバキ』


薬効やっこう軟膏なんこうの原料。切り傷、れ物、止血、湿疹しっしん養毛ようもう脱毛症だつもうしょう滋養じよう便秘べんぴ


 ツバキは、養毛ようもうに効果があるらしい。


 そういえば、ツバキ油を使ったシャンプーって、良く聞くもんな。


 そんなことを考えながら、緑色の葉を良く見ると――


「ミャーッ!」


 白い毛に覆われた、茶色と黒の模様もようの小さな毛虫が、何匹もビッシリと並んでいた。


 思わず悲鳴を上げて、飛び退いた。


 見た直後、全身の毛が逆立さかだつほどの恐怖をおぼえた。


走査そうさ」する時に、触らなくて良かった。


 もしかして、毛虫も「走査そうさ」出来るのかな?


 毛虫に触らないように遠くから、「走査そうさ」してみる。


対象たいしょう:チョウ目ドクガ科チャドクガ』


生態せいたい:卵、幼虫、さなぎ、成虫と、どれも全身に非常に細い毒針毛を持つ。全身をおおう細かい毒針毛には、プロテアーゼ、エステラーゼ、ヒスタミンなどがふくまれる。毒針毛は抜けやすく、飛散ひさんしやすい』


症状しょうじょう:毒を注入ちゅうにゅうされるとかゆみがしょうじ、くと炎症えんしょうが広がり、赤くかぶれる。放置ほうちすると全身に神経毒しんけいどくが回り、痛痒感つうようかんによる不眠ふみん、発熱、めまいなどを併発へいはつする』


処置しょち:毒針毛を除去じょきょ後、ステロイド外用薬がいようやくこうヒスタミン薬軟膏やくなんこう塗布とふ


 他にも調べてみたら、チャドクガ以外にも色んな毒虫がいた。


 みついて吸血しながら、さまざまな病原菌びょうげんきんをうつしてくるマダニ。


 皮膚ひふみちぎって吸血しながら、毒を注入ちゅうにゅうしてくるブヨ。


 みついて、毒を注入ちゅうにゅうしてくるムカデ……などなど。


 集落のおさが言う通り、この周辺しゅうへんには、恐ろしい毒虫がいっぱいいるらしい。


 駆除くじょしようと思ったら、殺虫剤さっちゅうざいくのが、一番効果的なんだろうけど。


 でも、殺虫剤なんて便利なものはないよ。


 この集落の猫達はなんで、こんなに毒虫がいっぱいいる場所に、集落を作っちゃったんだろう?


 場所にこだわりがないなら、別の場所に新しく集落を作った方が良いと、思うんだけど。


 毒虫についてどう思っているか、集落の猫達にも話を聞いてみよう。

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