第55話 旅立ちの時
ぼく達家族は、疲れが取れるまで、ゆっくりと寝て過ごした。
でも、いつまでも
体力も
集落の
「もう、行っちゃうのにゃあ? 君達は命の
ぼく達が旅立つと聞いて、集落の猫達も全員集まってきてくれた。
「仔猫のお医者さん、助けに来てくれて、本当にありがとニャン」
「薬の作り方を教えてくれて、ありがとニィ。君達のことは、ずっと忘れないニィ」
「また、来てにゃー。君達なら、いつでも
2週間ほどで、すっかり仲良くなった猫達は、
お見送りが
別れの時って、どうしてこんなに悲しいんだろう。
そういえば、この集落に名前はあるのだろうか?
立ち寄った集落の名前は、全部
クロブチさんに集落の名前を問うと、ニコニコ笑いながら答えてくれる。
「イヌノフグリにゃあ」
は? なんて?
その言葉で、涙が止まった。
「ほら、そこにたくさん、咲いているにゃあ?」
言われてみれば、集落の周りには、ちっちゃくて可愛い
ここは、
「だから、集落の名前は、イヌノフグリっていうにゃあ」
『
『
どうやら、薬には使えない、ただの雑草らしい。
見た目は可愛いのに、名付け親のネーミングセンスがヒドすぎる。
なんで、よりにもよって、そんな名前にしたんだよっ?
こんなに可愛い花なんだから、他にもいくらでも付けようがあっただろ!
ただの「フグリ」じゃなくて、「イヌノ」って付けたところに、
とりあえず、この集落の名前は、一生忘れないだろう。
――――――――――――――――
【イヌノフグリとは?】
春になると、3~5mmの
7~10mmの青い花が咲く方は、オオイヌノフグリ。
毒にも薬にもならないし、食べても美味しくない。
「
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