第52話 お医者さんがいない集落
それから、しばらく。
ぼく達家族は、小さな
ぼくは病気の猫達に、1日3回、薬を作って飲ませる。
お父さんとお母さんは、動けない猫達の代わりに狩りへ行ってくれている。
お
ヨモギの
お父さんなんか、元気になりすぎて、狩りが楽しくて仕方ないらしい。
一週間もすれば、ほとんどの猫が元気を取り戻した。
集落の
「仔猫のお医者さん、君は我々にとって、
救世主だなんて、そんな大げさな。
「大げさじゃないにゃあ。君達が来てくれなかったら、集落の猫達はみんな助からなかったにゃあ」
みんな助かって、良かったですね。
「君達には、本当に感謝しかないにゃあ。出来れば、ずっとこの集落にいて欲しいにゃあ」
ぼく達は、ケガや病気で苦しんでいる猫を救う為に、旅をしているのです。
すみませんが、ずっとここにいることは出来ません。
「君達が、ずっとここにいてくれれば、とっても助かるのににゃあ……」
そうは言われましても……。
残念ですけど、ぼく達が、ここにとどまり続ける理由はないので。
みんなの病気が治ったら、ぼく達は旅立ちます。
ところで、この集落に、お医者さんはいないんですか?
「お医者さんがいたら、こんなことにはなっていないにゃあ」
そりゃそうだ。
イチモツの集落には、茶トラ先生がいたけど。
この集落には、お医者さんがいないのか。
ケガをしても、病気になっても、ただ寝て治すことしか出来ない。
そう思うと、イチモツの集落って、
イチモツの集落の広さは、この集落の倍以上あるし、猫の数もずっと多かった。
しかも、この集落には仔猫が1匹もいない。
たぶん、体が
過去にも、
お医者さんがいれば、いくらでも救えた命があったはずなのに……。
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