第45話 旅の目的
「シロちゃん、どこへ行くニャー?」
「シロちゃんが行きたいところなら、どこでも行くニャ」
「みんな一緒なら、どこへ行っても、きっと楽しい旅になるニャー」
ぼくは今、お父さんとお母さんとおててつないで、森の中を歩いている。
お父さんもお母さんも、旅へ出るのは初めてらしく、すっかり
「どこへ行くのか?」と、聞かれても困る。
自由気ままな、ぶらり旅といったところか。
長老のミケさんから聞き出した情報は、かなりふわっとしている。
ミケさんも、旅へ出たのは若い頃で、
猫が地図を書くわけないから、地図もない。
森の中にあるという、他の集落の場所も分からない。
ぼく達の足で、何日歩けば森を出られるかも分からない。
猫の目は、
また、猫の脳内には「
でも、
外へ出た経験がない
迷子じゃなくて、何か理由があって、戻りたくなかっただけかもしれないけど。
それはさておき、ぼく達が旅立ったのは昼頃だった。
太陽が、
イチモツの木を中心に集落を作ったのは、森の中でも目印になるからだろう。
毎日見上げていた、イチモツの木があんなに遠い。
そう思うと、本当に集落を出たんだと
振り返るのは、これが最後だ。
これからは、まっすぐ前だけ見て歩いて行こう。
次に、イチモツの木を見るのは、集落へ帰る時だ。
まずは、森の中にあるという、他の集落を
集落を探そうと、視覚と聴覚と嗅覚に意識を集中――
しようとしたら、おなかが鳴った。
そういえば、まだごはんを食べていない。
ぼくのおなかの音を聞いて、お父さんとお母さんがくすくす笑う。
「シロちゃん、はらぺこさんかニャ?」
「じゃあ、さっそく狩りをして、美味しいお肉を食べるニャー」
「ミャ!」
狩りも久し振りだし、旅を思う
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