第36話 自分自身との戦い
イチモツの木は、
高さは見上げるほど高く、緑色の葉が
イチモツの
仔猫サイズのぼくが、この
でも、ここまで来たら、やるしかない。
あまり時間を掛けると、筋肉に
かといって
「
集落の猫達が「ニャーニャー」と、
応援に
右爪を引っかけたら、樹皮の一部がボロリと
木も人間と同じで、古くなった外側の皮は、細かく割れて
下で見守っている猫達から、大きな悲鳴が上がった。
ふ~……セーフ。
こういうことは何度もあるだろうから、剥がれやすそうな部分に気を付けて登らないと。
落ちかけた恐怖で、バクバクする心臓を
今度は、
よし、この調子で行くぞ。
全身が燃えているように熱く、びっしょりと汗をかく。
手足が痛い、息が苦しい。
この
見下ろせば、高さに恐怖する。
見上げれば、頂上の遠さに絶望する。
ただひたすら、目の前の剥がれない樹皮を選んで、登ることだけを考えて登り続ける。
今なら、ロッククライマーの気持ちが分かる気がした。
落ちたら、ただでは済まない恐怖と戦い続ける。
そしてついに、ぼくはその恐怖を乗り越え、頂点にたどり着いた。
枝に
やった!
でも、ここで気を抜いてはいけない。
無事に
降りる時も
地面まで、あともう少しとなったところで、手を離して飛び降り、体をひねって
体操選手のように、
イチモツの実を、両手で
「ミャーッ!」
同時に、集落の猫達から大きな
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