第35話 大きくなれない病気

 毎日、お父さんとお母さんと一緒に狩りへ行き、狩りについて学んだ。


 猫が狩れるのは、小動物しょうどうぶつや小さな虫。


 例えば、ネズミ、小鳥、トカゲ、頭文字イニシャルGなど。


 逆に、猫が狩られる側になるのは、自分より大きな肉食動物。


 例えば、大きな鳥、ヘビ、キツネ、オオカミ、巨大な虫など。 


 前に見た、アンドリューサルクス(イノシシのような体とワニのような口を持つ、体長約4mの肉食動物)も、狩れない動物のひとつ。


 基本的に、「猫より小さい物は狩れる、大きい物は狩れない」と、覚えておけば良い。


 あとは、猫より大きくても、草食動物は狩れる。


 ガストルニス(毛深いダチョウ)は、猫より大きいけど、草食動物で足も遅いので狩れる。

 

 毎日狩りへ行って、とれたてのお肉を食べているからか、体が強くなってきた気がする。


 ――が、しかし。


 おかしなことに、いつまでっても、ぼくの体は大きくならなかった。


 ここに転生した時が、生後何日だったのかは、知らないけど。

 

 今のぼくは、成猫おとなと比べると、たぶん生後3ヶ月くらいの仔猫サイズ。


 大きくならないぼくを見て、お父さんとお母さんも不思議そうに首をかしげている。


「シロちゃんは、なかなか大きくならないニャー」


「何か病気かもしれないから、お医者さんにてもらうニャ」


 心配性のお父さんとお母さんに、お医者さんへ連れて行かれた。


 お医者さんはちょうど、クロネコのクロさんの治療が終わったところらしく、ぼく達に話し掛けてくる。


「こんにちはニャ~、サバトラさん、シロブチさん、シロちゃん。今日は、どうしましたニャ~?」


「うちのシロちゃんを、て欲しいんですニャー」


 お父さんに手を引かれて、お医者さんの前に座らされた。


 お医者さんは、ぼくの体を調べながら、聞いてくる。


「見たところ、どこも悪いところはなさそうですニャ~。何かあったのですニャ~?」


 心配そうな顔をしたお母さんが、ぼくの頭を撫でながら、お医者さんに言う。 


「シロちゃんが、いつまでも大きくならないんですニャ」


「言われてみれば、シロちゃんは、ずっと小さいままですニャ~。もしかしたら、かもしれませんニャ~」


「大きくなれない病気ですニャッ?」


 お医者さんの言葉を聞いて、お父さんとお母さんは飛び上がるほどビックリした。


「たまに、大きくなれない子がいますニャ~。シロちゃんも、大きくなれない病気かもしれませんニャ~」


「その病気は、治りますニャー?」


「残念ながら、分かりませんニャ~。でも、成長が遅いだけかもしれませんから、しばらく様子を見て下さいニャ~」 


「分かりましたニャ……」


 お医者さんの診断しんだんを聞いて、お父さんとお母さんはガックリした。





――――――――――――――――

【大きくなれない病気とは?】


 いつまでも仔猫が大きくならない場合は、生まれつき病気とか、何かの理由でごはんが食べられないとか、寄生虫きせいちゅうがいるとか、色々な原因が考えられる。


 とりあえず、「何かおかしい」と感じたら、お医者さんに連れて行こう。

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