第33話 ぽんぺんが治りました

 お父さんとお母さんに、毎日あっためてもらっていたおかげで、ぽんぽんおなかぺいんぺいんいたいいたいゴロゴロピーちゃんおなかをこわしていたが治った。


 ただ、ずっと寝っぱなしだったから、何日ったとか、時間の感覚とかが、分からなくなってしまった。


 まぁ、猫に時間なんて、関係ないけどね。


 お腹がいたら食べて、眠くなったら寝るのが、猫の日常だし。


 ピーちゃんで、何も食べられなかったから、ヒョロヒョロガリガリにほそってしまった。


 しっかり食べて、体を動かさないと、大きくなれないぞ。


 猫も、草や木の実を食べれられる雑食動物だったら、良かったんだけど。


 猫は肉食動物だから、基本的に肉しか食べられない。


 そうだ、狩りに行こう。


 ひとりじゃ狩りに行けないから、お父さんとお母さんに連れて行ってもらわないと。

 

 ってことで、必中ひっちゅう! 寝起きドッキリ連続猫パンチッ!


 眠っているお母さんの体を、両手の肉球でポプポフ叩くと、お母さんが目を覚ます。


「シロちゃん、起きたニャ?」


「ミャ」


 お母さん、ぼく、ぽんぽんおなかぺいんぺいんいたいいたい治ったよ。


「良かったニャ! シロちゃんの病気が治ったのニャッ! このまま死んじゃうんじゃないかと、心配で心配で仕方なかったニャッ!」

 

 お母さんは、ぼくをギュッと抱き締めて、ゴロゴロ喉を鳴らして喜んでくれた。


 お母さんが喜んでくれたことが嬉しくて、ぼくも喉を鳴らして、顔をスリスリした。


 お父さんも、ぼくを背中から抱き締めて、喉を鳴らしている。


「シロちゃん、元気になって良かったニャー! 良く生きててくれたニャーッ!」


 病気が治っただけで、こんなに喜んでくれるなんて。


 野生の仔猫は、雨で体が冷えただけで、死んでしまうこともあるんだ。


 お父さんとお母さんはすでに、ぼく以外の子供を全員、病気でくしている。


 だから、ぼくも死ぬんじゃないかと、不安で仕方がないんだ。


 もし、ぼくが死んだら、お父さんとお母さんが悲しむから、絶対に死ねない。


 それにぼくには、猫のお医者さんになるという夢がある。


 ぼく、お父さんとお母さんを悲しませないように、頑張って強く生きるからね。

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