第25話 お医者さんの診断
ぐったりしたぼくを抱えて、親猫達はお医者さんの元へ駆け付けた。
「先生、うちのシロちゃんが、大変ニャーッ!」
「先生、早くシロちゃんを助けて下さいニャッ!」
取り乱す親猫達に、お医者さんは目を丸くして驚いている。
「そんなに慌てて、どうしたんですニャ~? ふたりとも、落ち着いて下さいニャ~」
「これが、落ち着いていられますニャーッ? うちの可愛いシロちゃんが、こんなにぐったりしているんですニャーッ!」
「昨日まであんなに元気だったのに、どうしてニャ……」
サバトラはイライラしてお医者さんに詰め寄り、シロブチはぼくを抱えて泣いている。
お医者さんが、なだめようとしているが、ふたりとも落ち着かない。
ここは、ぼくがなんとかしないと。
「ミャ~……」
か細い声で、「助けて」と鳴くと、親猫達はハッとなった。
ふたりともぼくの顔を覗き込み、そっと頭を撫でてくれる。
「シロちゃん、すぐ助けてあげるニャー」
「今、お医者さんに
ようやく落ち着きを取り戻したふたりは、お医者さんに向かって頭を下げる。
「取り乱して、すみませんニャー」
「シロちゃんを、どうかお願いしますニャ」
お医者さんは、ほっとした表情でふたりに優しく話し掛ける。
「では、シロちゃんをここに寝かせて下さいニャ~」
「はいニャ」
お医者さんは、ぼくの体を調べながら、親猫達に
「昨日、何かありませんでしたかニャ~?」
「家族で、狩りに行きましたニャ。そこで、ティタノボアと会いましたニャ」
「ティタノボアですニャ~ッ? よく、ご無事でしたニャ~?」
「見つからないように隠れて、やり過ごしましたニャー。ティタノボアの姿が見えなくなった後、逃げ帰って来ましたニャー」
「集落の小川でお水を飲んだ後、シロちゃんは倒れてしまったんですニャ」
「ふむふむ。たぶん、それが原因ですニャ~」
お医者さんは納得した顔で、動物の毛皮らしきものを、ぼくの体に掛けながら続ける。
「シロちゃんは、いっぱい怖い思いをしたから、具合が悪くなっちゃったみたいですニャ~」
「そうだったんですニャ……」
「体が、だいぶ冷えちゃってますニャ~。体をあっためて、ゆっくり休ませて下さいニャ~」
「はい、分かりましたニャ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます