第21話 仔猫の体力

 集落へ戻って来ると、急に眠くなってきた。


 仔猫の体力は、もう限界のようだ。


 どうあがいても、眠気ねむけには逆らえない。 

 

 ダメだ……眠い。


「ミャ~……」


 シロブチにしがみついて、抱っこをおねだりする。


 シロブチは、くすくす笑いながら抱き上げてくれた。


「あらあら、シロちゃん、もうおねむニャ」


「寝顔も、とっても可愛いニャー」


 そんな会話を聞きながら、ぼくの意識は遠のいていった。






 目覚めると、昨日と同じように、巣穴で親猫にはさまれて眠っていた。


 ふわふわもふもふの猫毛が気持ちが良くて、とろとろと眠気に誘われる。


 いけない! このまま眠気に負けたら、1日が終わるっ!


 ハッとして、親猫の間から慌ててい出す。 


 う~む、困った……1日の活動時間が、短すぎる。


 生後数ヶ月の仔猫は、体力がない。


 ちょっと動いただけで、電池切れになって、眠ってしまう。


 木登りや狩りで体をきたえようにも、体力も時間も足りない。 


 仔猫だからしょうがないといえば、それまでなんだけど。


 さて、どうしたもんか。


 集落内に生えている手頃な木で、木登りの練習をするか。


 それとも、親猫の狩りについて行って、狩りを学ぶか。


 木登りの練習は、もう少し大きくなるまでやめておこう。


 今の体力じゃ、途中とちゅう力尽ちからつきて、落ちるかもしれない。


 登れたとしても、降りられなくなるかもしれない。


 どちらにしても、集落のみんなに、迷惑をかける。


 狩りについて行っても、ぼくは弱すぎて、見ていることしか出来ない。

 

 それでも、森にはどんな野生生物がいて、何を狩れて、何が狩れないかを知ることが出来る。


 ぼくはまだこの世界の野生生物を、数匹しか知らない。


 親猫の動きを見て、獲物えものの狩り方を学ぶことも大事。

 

 よし! まずは、狩りを学ぶことから始めようっ!

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