第13話 戦わなければ生き残れない

 お医者さんのところへ向かって歩きながら、サビさんに「昨日は、なんでケガしたのか?」と、質問する。


「狩りで、獲物えものに引っかれちゃったニャア。とっても痛かったニャア」


 サビさんは、自分の右前足を見せてくれた。


 サビさんの肉球には、何かに傷付けられたあとがあった。


「それで、お薬をってもらったんだニャア。でも、まだ治らないニャア」


 薬を塗ってもらったからって、すぐ治るもんじゃない。


 そんなことを話しているうちに、お医者さんのところへいた。


 お医者さんは、ケガをした猫の治療ちりょうをしている。


 やっぱり、狩りは危険で、ケガはつきものなんだろうな。


 狩りで、死んだ猫もいるかもしれない。


 しかし、猫は肉食動物だから、狩りをしなければ生きられない。


 例え、森に木の実がたくさんみのっていたとしても、猫は食べられない。


 アレルギーを起こして死ぬ可能性かのうせいもあるので、基本的に植物は食べてはいけない。


 猫って、意外と食べられないものが多いんだよね。


 治療が終わったところで、お医者さんがこちらに気付く。


「サビさん、こんにちはニャ~。傷の具合は、どうですかニャ~?」


「まだ、痛みますニャア」


「では、今日もお薬を塗りますから、横になって下さいニャ~」


「その前に、茶トラ先生に、お礼ですニャア」


「こんなにおっきなガストルニスを、ありがとうございますニャ~。あとで、美味しくいただきますニャ~」


 お医者さんは、ガストルニスを受け取ったところで、ようやくぼくに気付いた。


「おや、シロちゃん。今日はひとりで、どうしたニャ~?」


「ミャ」


「お医者さんと、お話しがしたい」と言うと、お医者さんはにっこりと優しく笑う。


「分かったニャ~。治療が終わるまで、ちょっと待っててニャ~。あとで、たくさんお話ししようニャ~」


 そう言うと、お医者さんは、ぼくの頭をでてくれた。

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