第5話 猫のお医者さん
「茶トラ先生、お忙しいところをすみませんニャー」
「おや、サバトラさんとシロブチさんとシロちゃんじゃないですニャ~」
どうやら、この茶トラがお医者さんらしい。
おそらく、この集落には病院というものはなく、お医者さんがいるだけなんだろう。
「もうすぐ、サビさんの手当が終わりますニャ~。ちょっと待ってて下さいニャ~」
茶トラは、サビネコの肉球に緑色の液体を
おそらく、薬草をすり
「サビさん、お薬が
「分かりましたニャア、乾くまで寝ますニャア」
サビネコは、そのままスヤスヤとお昼寝を始めた。
サビネコが寝たのを見届けると、茶トラはこちらへ向かってくる。
「お待たせしましたニャ~。ご家族お
「それが……うちのシロちゃんが、木から落ちてしまったのですニャー」
サバトラが説明すると、茶トラがぼくに近付いて来る。
「まだこんなちっちゃいのに、もう木登りですニャ~?」
「ちょっと目を
「仔猫は、
「すみませんニャ。シロちゃんがケガしていないか、
「分かりましたニャ~。シロちゃん、ちょっと診せてニャ~」
シロブチが、ぼくの頭を
茶トラは大きく頷くと、ぼくの手足を
続いて、あちこち
「シロちゃん、どこか痛いところはないかニャ~?」
「ミャ」
「ない」と答えると、茶トラはぼくの頭を撫でる。
仔猫だからか、みんなから、やたらと頭を撫でられる。
撫でられるのは、気持ちが良いから、別にいいけど。
「どこもケガしてないみたいで、良かったニャ~。あとで痛くなったら、またおいでニャ~」
「ミャ」
お礼を言うと、茶トラは「どういたしましてニャ~」と優しく笑ってくれた。
ぼくの親猫達も、揃ってお礼を言った。
高い木から落ちたら、骨が折れててもおかしくないけど。
運が良かったのか、それとも体をひねって上手く
なんにせよ、ケガがなくて良かった。
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