第4話 ねこねこパラダイス

 自分の体を確認していると、ひときわ大きな猫の鳴き声が聞こえて来た。


「シロちゃん! 木から落ちたんだってニャ? 大丈夫だったかニャ?」


 大きなシロブチネコが、ぼくに向かって突進してきて、ぎゅっと抱き締められた。


 白い腹毛はらげがふわふわ柔らかくて、めちゃくちゃ気持ちいい。


 これ、絶好ぜっこう猫吸ねこすいチャンスじゃん。


 あこがれの猫吸い、ずっとやってみたかったんだよね。


 せっかくだから、思いっきり堪能たんのうしておこう。


 そこで、また別の猫の鳴き声が聞こえてくる。


 シロブチネコの腹から顔をのぞかせると、サバトラネコがミケネコと話をしていた。


「すみませんニャー、ミケさん。うちのシロちゃんが、ご迷惑をお掛けしましたニャー」


「これくらい、なんのなんのにゃ。でも、仔猫は危ないから、もう目をはなしちゃダメなのにゃ」


「はい、これから気を付けますニャー」


 シロってのは、たぶんぼくの名前だろう。


 真っ白なシロネコだから、シロ。


 ミケネコは、ミケと言う名前らしい……まんまかよ。


 どうやら、シロブチとサバトラが、ぼくの親猫らしい。

 

 ミケと話を終えたサバトラが、ぼくに優しくニャーと声を掛けてくる。


「ケガはしてないかニャー? シロちゃんが木から落ちたと聞いた時には、飛び上がるほどビックリして、それはそれはもう心配したニャー。無事で良かったニャー」


 そう言ってサバトラは、ぼくを背中から抱き締めてくれた。


 シロブチとサバトラにサンドイッチされたぼくは、「ミャー」と喜びの鳴き声を上げた。


 人間だった頃のぼくは、めちゃくちゃ猫好きだったんだけど、猫アレルギーで触れなかったんだよね。


 猫に生まれ変わった今は、大好きな猫に触り放題だ。


 ぼくの望む世界は、ここにあったんだっ!


 ねこねこパラダイス、最高っ!

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