第1話 猫の神様
気が付くと、真っ白な場所にいた。
ここは、どこ?
ぼくは、どうなったの?
「気が付いたか、少年」
え? なにこれ?
脳内に直接、声じゃなくて言葉が、流れ込んでくるんだけど。
「申し訳ないが、お前は死んだ」
死んだ? マジでっ?
「マジで」
なんで?
「仔猫を助けただろう?」
そうだ、ぼくは木から降りられなくなった仔猫を助けようとした。
確か、足場にしていた枝が折れて、木から落ちた。
その後の記憶がない。
「少年は、頭から落ちて、首の骨を折って死んだ」
マジでっ?
「マジで。疑うなら、死ぬ決定的瞬間の動画もあるが、観るか?」
いや、自分が死ぬ動画なんて見たくない。
首が折れた自分の死体を、見たい人なんているだろうか。
うわ~……マジか。
仔猫を助けようとして、自分が落ちて死ぬとかないよ。
思わず頭を抱えたくなったが、腕がない。
それどころか、体もなかった。
え? どうなってんの?
死んだから、体が失くなったのか?
「して、どうする? 少年」
どうするって、何が?
「仔猫を助けてくれた礼に、新しい命を
え? 生き返れる……ってコト?
「生き返るのではなく、生まれ変わるのだ」
ってことは、あなたは神様?
「神には違いないが、私は猫の神だ」
猫の神様?
「私は猫の神なので、人を生き返らせることは出来ない。代わりに、猫の命を
つまり、猫に生まれ変われるのかっ? やったー!
「『やったー!』って。猫に生まれ変わることに、
ありません! むしろ、猫大好きなんで、猫になりたかったんです。
「そうか、良かった。ならば、新しい猫の命を
はい、ありがとうございます、猫の神様っ!
「次は、死なないように気を付けて生きるのだぞ、少年」
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