第53話 都市伝説のメリーさん、好みのバーガーの話をする。
「あたしメリーさん。今湯船のヘリに」つるっ「ゴボゴボゴボ」
「ごめんメリーさん、そこピカピカに磨かれてて滑りやすいよね」
「わたくしめが舌できれいになめ取ってございますゆえ、新品よりも輝いてございます。唾液コーティングもなされてございますので」
「はわわぁ、メリーちゃん転んだときにパンツ見えたよぅ……メイド服のロングスカートからのぞくかぼちゃパンツかわいい……あっ鼻血が」
メリーさんからの電話に出ると、メリーさんは沈没を避けるため湯船のヘリに着地して、あかなめさんがなめてきれいにしたばっかりだったので足を滑らせて、湯船に沈んだ。
テケテケさんも現れて、洗い場から熱視線を送っていた。
湯船に浸かる。
現在、僕の右隣にはメリーさん。左隣にはあかなめさん。
テケテケさんはずっと洗い場にいて、顔をうっとりと赤くしてずっとこっちを見ている。
「はぅあぁ……ヌクトさんとあかなめさん、男の人が二人で家庭の湯船に浸かってる絵、すっごくこう……妄想がテケテケしちゃう……」
「テケテケさん、湯船に入ってこないのはせまくならないからいいんだけど、ずっと見られるのってものすごく居心地悪いなあ」
「ふふ、わたくしめは光栄でございますよ。それだけ女性の目から見て見苦しくない見目であるのだという証左でございますから」
「みんな邪魔なのぶくぶくぶく」
メリーさん、ふてくされてるみたいで、水面に口を沈めて無表情のままぶくぶくやってる。
ふと左隣のあかなめさんが、僕に指を伸ばしてきた。
「ヌクト様、体をきちんと洗っておいででございますか?
ほらここ、鎖骨のあたり、ほんの少しでございますがあかが残っておいでで」
「うわっひゃ、あかなめさんそんなとこなでないでよ。手袋の感触が変な感じ」
「ふざけるななのあかなめ気安くヌクトに触るななのツバ吐いてやるのぺぺぺぺぺなの」
「メリーさんってツバ出るの?」
「これは失礼しました、手袋の感触が気になるのでございますね。
では舌でなめさせていただきましょうベベロベロベロ」
「それ一般的にもっとよろしくないよねうっひゃくすぐった!?」
「ふざけるななのぺぺぺぺぺなのぺぺぺのぺなの」
「メリーさん
湯船三人、わちゃわちゃ。
そんなことをしながらふと洗い場の方を見ると、一人いるテケテケさんが胴体の断面を床について、両手も床について身を乗り出すような体勢をして、らんらんとした目をこっちに向けて、鼻から血をだくだく流していた。
こっちの視線に気づいて、テケテケさんはわたわたした。
「はっ違うよ違うよ違いますからねぇ!? わたし腐ってないですからっいやらしい目で見たりしてないですからぁ!!
バーガーショップで頼むのはベーコンレタスバーガーですけど腐ってないですからぁ!!」
「なんの話?」
「わたくしめは照り焼きバーガーでございますねぇ。タレをなめ取るのがたまらないのでございます」
「チキンナゲットがいいの」
「なんの話?」
「あっでもでもっ、もしリクエストできるならあかなめさんにはもうちょっとだけヌクトさんに寄ってもらって、鎖骨とかあごとかに指をはわせる感じをやってもらいたいなってぇ……!」
「なんの話?」
「ふむ、こんな感じでございましょうか」
「やらなくていいよあかなめさん!?」
「二人ともふざけるななの」
「「目にシャンプー「でございますねぇ!?」「だよぅ〜!?」
シャンプー攻撃を食らって、あかなめさんとテケテケさんは悶絶した。
メリーさんはゆっくりとこちらを向いて、黒い無表情で見つめてきた。
「ヌクト。あなたあれだけあかなめにいやらしい感じに触られても強く拒否できないの。心の底ではあかなめに触られるのを喜んでるのやっぱりツラがすべてなの度し
「いや面食らってうまく反応できなかっただけだよ? あと強く拒否してないから喜んでるって考え方はよろしくないからね」
「問答無用なの」
「目にシャンプーがーッ!?」
目の泡を洗い流している間に、メリーさんはいなくなっていた。あかなめさんとテケテケさんも。
「……僕はシンプルにチーズバーガーかなー」
一人ゆっくり、湯船に浸かる。
ハンバーガーの話をしてたら、食べたくなっちゃったな。今度買ってこようか。
『食べたくなったからネット注文したの。届け先をヌクトの家にしたからよろしくなの』
「山盛りのチキンナゲット単品が来た」
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