第5話 災害級魔物
数日間は魔力を空になるまで調味料を造り続けた。
「お兄しゃまは今日は何をしていらしゃるのですか? 凄く良い匂いがしましゅ!」
久しく食べていなかった甘味を作っていたところ、リアに見つかってしまった。
「皆には内緒だよ」
作っていたのは鼈甲飴である。学校の実習で作ったことがあったので、【クラフト】の能力を使って形を整えて、紙で包んだ後にアイテムボックスに収納を繰り返していた。紙に包まれた鼈甲飴を一つ取り出してリアの口に入れてあげる。
「ーー!!??? 甘くて美味しいです!!」
そうこうしているうちに御披露目会に向かう日がやってきた。グリミナル辺境伯領から王都まで1ヶ月くらいかかる。今回は父、母、俺、リア、エルと許可えてグリミナル商会の馬車も同行する。ミルドとミゼットに数名の護衛で向かうことになる。クリスにも勉強がてら護衛させるつもりである。
「ーー行きたくない・・・」
「諦めろ! ほら、リアは行く気満々だぞ!」
「はぁ~身体を動かしたいので、暫く走ってついて行きます。王都が近くなったら、大人しく馬車に乗るので許して下さい。」
「好きにしろ。」
馬車の速度に合わせて走る。
疲れたら馬車で本を読みながら休憩をとり、回復したらまた走る。幾つかの街を経由して王都へと進んで行く。
王都に近づいたこともあり、馬車で魔法陣の改良をしていた。研究ノートは許可を出さないと、俺以外には見ることが出来ない。【クラフト】で魔鉄製の腕輪を造る。女性用なのでデザインには気をつけて、その腕輪に〈錬金〉で魔法陣を書き込んでいく。
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〈身体強化の腕輪〉
ランク レア
・腕輪を起動すると〈身体強化〉を発動する。
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無属性魔法は誰でも使える魔法なのだが使えるものは少ない。どうやら魔力の認知と操作が難しいようだ。これは母上から教えられたことだ。なので、それを補う魔道具を造りだしたのだ。ただ魔力を循環させるだけのものだけど。安全機能もついており、所有者の魔力量と魔力経路の状態に応じて強化率を自動的に設定する。何度も魔力を循環していると、魔力経路は育つから徐々に強化率も上がるように設計している。
「ミレイル、クリス、カレン、魔道具の所有者登録するから来てくれ。」
「ーー魔導具ですか?」
「これは〈身体強化の腕輪〉といって、無属性魔法-身体強化を行う魔道具なんだけど、実験を兼ねて3人に与える。安全機能はつけてあるから危険は無い。3人には使用したときの状態と問題点があれば教えて欲しい。こうなったらもっと良いのにといった改善案があれば尚嬉しい。」
魔力を登録して所有者登録を済ませていく。
上手く作動したようだ。
「どのような感じだ?」
「身体が凄く軽いです。」
「凄い・・・」
「これなら・・・」
クリスとカレンの効果が大きいようだ。これは日頃から身体を鍛えている者の方が効果が大きい。うん、設計通りだな。
「ミレイルは護身の為に空いている時間で鍛えて行こう。」
「はい! 頑張ります!」
「暫くは常時発動しておくようにな。」
後は暫くはデータを収集して調整していこう。
「あら? ライル、面白いものを造ったのね。」
「母上・・・父上までどうしたのですか?」
後ろに振り返ると笑顔の母上と呆れたような父上、ニヤニヤとした顔で見てくるミルド、困った表情で見てくるミゼットの姿があった。
「ーー凄いわね。無属性魔法の魔法陣を独自に改良したのね。これなら身体強化で身体を破壊することも無い・・・全く私の息子は天才ね。」
「リリィ・・・それほどなのか?」
「ええ、宮廷魔術師でも魔法陣の改良出来る者は限られるの。それをライルは完璧に改良出来ている。ライルなら宮廷魔術師になれるわね」
「母上、私は冒険者になります。そちらの方が私に合っています。」
絶対に国に縛られる何て嫌だ。
「それでその腕輪は幾つ造れるの?」
「試作段階ですが3つです。材料が無いのでそれが限界です。」
「ならコーエン、ミルド、ミゼットの分は足りるわね。ライル、私にその魔道具を売ってくれないかしら?」
「それならお譲り」
「ーー駄目よ。家族であってもそこはしっかりしないといけないわ。」
母上から家が立つ程のお金を渡される。有難く受け取り、3人の魔力を所有者登録した。
日頃から鍛えている父上、ミルド、ミゼットの3人は劇的な変化を迎えた。3人は身体を確認するように剣を振って動きを確かめる。流石だな、すでに身体強化に慣れ始めている。
マップを確認すると、魔物の群れが人間を襲っているのがわかった。人の数は多いようだけど、魔物に襲われて次々に反応が消えている。このままじゃ不味いな。
「父上! 前方に魔物に襲われている人達が居ります! 状況から非常に危険な状態です。ミルドを連れて応援に向かっても宜しいでしょうか?」
「何!? わかった! ミルドとミゼットを連れて応援へ行ってきなさい。もし、手に負えないようなら、時間を稼ぎ私の到着を待て!」
「ミルド! 行くよ! 全力で走るけど、着いてこれるよね?」
「坊っちゃん、誰にものを言ってるんです。」
俺はまだまだミルドに追い付けていない。それこそ背中も見えない。本当に遠いな・・・
疾風のように平原を駆け抜ける。直ぐに目的の場所へと到着した。
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タイガーウルフ
ランク E+
レベル 48
ステータス
体 力 1810/1810
魔 力 968/968
攻撃力 1860
耐久力 1990
敏捷力 2550
精神力 833
抵抗力 666
スキル
《風足 Lv.3》
※肉は固く美味しくない。牙は風の魔力が込められており、武器に加工することで風の魔力が宿る。毛皮は最高級品で高値で取引される
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ブラックタイガーウルフ
ランク D+
レベル 73
称 号 災害級魔物
ステータス
体 力 3500/3500
魔 力 2200/2200
攻撃力 2866
耐久力 3122
敏捷力 5788
精神力 1899
抵抗力 1777
スキル
《風足 Lv.5》《デスウィンドLv.3》
※肉は固く美味しくない。牙は死風の魔力が込められており、武器に加工することで死風の魔力が宿る。毛皮は最高級品で高値で取引される
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タイガーウルフが2体にブラックタイガーウルフが1体。
「ミルド! タイガーウルフの毛皮に傷をつけずに仕留めろ! 俺はブラックタイガーウルフと戦いたい!」
「坊っちゃん、それは無謀と言うものです! 私が・・・」
「ならさっさとタイガーウルフを討伐して応援にくるんだな!」
俺はブラックタイガーウルフ目掛けて斬りかかる。俺より、格段に強い魔物との戦いだ。ミルドが近くにいる今だからこそ経験して起きたかったのだ。きっと、冒険者になられば、自分より強い相手と戦う事なんてざらにあるのだから。
ガン! ドン!!
「坊っちゃん!」
「問題無い! 力では勝てないか・・・剣でまともに受け続ければ先に壊れるな。ならまともに受けなければ良い!」
相手の攻撃に逆らわず、力を上手く逃がす。攻撃の起動を読み最小限の歩幅でかわす。少しずつ錬度が上がり、端からみたら舞っているように見えただろう。
首を綺麗に落としたいな。
ゾクゾク・・・
ブシュッ!
「グファア! 何だこれ!? かすり傷なのに滅茶ゃいたい!!!!」
《鑑定眼》
《デスウィンド》:死の概念が込められた風。この風に触れると高確率で死に至る
何ちゅう凶悪なスキルなんだよ!
俺が死ななかったのは固有スキル《超健康》の効果があったからで、無かったら間違い無く死んでた。
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体 力 620/1970
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かすっただけで1/3が持ってかれた。
ーー《疾風迅雷》
バチッ!
光の速さで移動する。身体が悲鳴をあげるが黙らせる。
一瞬でブラックタイガーウルフに接近する
魅せてあげるよ。剣と魔法の真髄を・・・
その首を置いていけ!
ーー
ジュッ・・・ボトン!
ブラックタイガーウルフの首が地面に転がる。
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名 前 ライル・グリミナル
年 齢 6歳
種 族 ヒューマン
性 別 男
職 業 プロフェッサー
称 号 転生者 辺境伯三男 武神 大賢者
固有スキル
【超健康】
【鑑定眼】
【クラフト】➡️
〈錬金〉〈鍛治〉〈革加工〉〈調薬〉〈農業〉〈料理〉〈解体〉
【ストレージ】
スキル
《魔力感知Lv.12》《魔力制御Lv.11》《魔力操作Lv.11》《魔力探知Lv.9》《研究Lv.3》《書籍化Lv.3》《剣術Lv.7》《体術Lv.6》《槍術Lv.6》《盾術Lv.6》
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