第4話 グリミナル商会
〈魔の森〉は奥に進むに連れて魔物のランクが上がるようだ。遠征では森の奥には行かず、入口付近の魔物を間引く事を目的にしてるんだって。父でも厳しい相手がうじゃうじゃ居るって、どんな危険地帯だよ!
高位の魔物は滅多に森の奥から出てこないらしいけど、理由は明らかになっていない。
予定では午前中まで探索を行い、午後には森を出る予定だ。そんな状況でマップに多くのゴブリンが集まっている場所を発見してしまった。このまま放置するのは良い状況にならないだろう。
「父上! この先に数百のゴブリンが集まっている場所があります。多分ですが集落を造っている可能性があります!」
「何!? ミルド、数名連れて確認して来い!」
「ハッ!!」
ミルドが数名を連れて音もなく走り去る。暫く待機していると状況を確認しに出ていたミルドが帰って来た。
「コーエン様、ライル様が仰っていた通りゴブリンが集落を造っておりました。ゴブリンキング、ゴブリンジェネラルを確認致しました。もしかしたら、ロードが居る可能性もあるかと」
「ーー放置は出来ぬな。これより、殲滅作戦を開始する。ゴブリンごときにおくれをとることは許さん。」
こうしてゴブリン殲滅戦が開始された。
俺も殲滅戦に参加して、ゴブリンを片っ端から斬りふせていく。騎士の練度は高くみるみるゴブリンは減っていった。
「クッ・・・やはり居たか! ミルドにはゴブリンキングを任せる! 俺はゴブリンロードを仕留める!」
「ハッ! 他の者は連携してゴブリンジェネラルを仕留めろ! 良いな!」
「ミルド、1体は私が相手するから2体を頼む。」
「坊っちゃん!? ーーわかりました。ミゼット、ライル様が危険な場合にだけ助太刀しろ!」
「ハッ!」
ミゼットはミドルの部下で副隊長を勤める女性騎士である。実力も高く、母上の護衛に就く事が多い者なので俺も良くしっている。
「ミゼット、宜しく頼む。」
子供の身体の俺からすると、ゴブリンジェネラルは巨人だった。見上げる感じて相対する。
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ゴブリンジェネラル
ランク E+
レベル 20
ステータス
体 力 580/580
魔 力 80/80
攻撃力 350
耐久力 550
敏捷力 81
精神力 55
抵抗力 33
スキル
《剛力 Lv.3》《指揮Lv.2》《剣術Lv.2》
武器 〈ゴブリンソード〉
※怪力で頑丈な肉体を持つ魔物。ゴブリンの上位種でゴブリンを従え指揮する魔物。ゴブリンジェネラルの牙で造られた武器には《剛力》が宿ると言われている。
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格上の相手だな。だが、俺は前世で幾度も無く格上のものと戦ってきた。まぁ、ゲームの中でだけどね。
ーー《身体強化》
ここ一年は身体を強くするために、身体を鍛え続けていた。それは身体強化に耐えうる身体を造る為だ。
ガイン!
剣と剣が交差する。力は拮抗する・・・もっとだ!
まともに打ち合う必要は無い。上手く反らして、威力を逃がすんだ! そのままの流れで斬る!
シャッ!
浅いか!?
ドン!
グッ・・・
ゴブリンジェネラルの蹴りが襲う。ガードは間に合ったが、ガードした左手が痺れて使いものにならなくなった。
クソッ! 油断した! 馬鹿か、渾身一撃が効かなかったくらいで動きを止めるなど。俺は格上を相手にしてるんだぞ。チート能力を過信した。ミゼットに目を向け、手を出すなと訴える。
余り見せたく無かったけど《魔法剣》を使う。風魔法を剣に纏う。更に魔力操作で鋭い刃に圧縮する。
ーー
バチッ!
ボトン!
風の剣は綺麗にゴブリンジェネラルの首を飛ばす。
ビキッ!
身体に激痛が走る。少々無理をしたようだ。
「ライル様! 大丈夫でしょうか!?」
「問題無い。もう大丈夫だからミゼットも殲滅戦に戻れ。」
父上とゴブリンロードの戦いは、まるで異次元の戦いだな。双方ぶつかりあう度に周囲木々が薙ぎ倒されている。
父上から紅いオーラが立ち昇る。こっちまで畏縮してしまう。まだまだ遠いな。
ミドルも終始ゴブリンキングを圧倒している。
俺はその戦いを目に焼き付けた。
・・・・・・
無事にゴブリンを殲滅した。ゴブリンは魔石以外使えるところが無く、要らないと言うことで錆びた武器と一緒に俺が貰うことになった。
〈魔の森〉への遠征は特に問題もなく終えた。
遠征後はホーンラビットとウルフを家で解体した。固有スキル【クラフト】の効果は偉大で解体した肉はしっかり、血抜きがされており、素材にも傷一つついてはいなかった。
毛皮は【クラフト】で加工した。この【クラフト】というスキルはぶっ壊れ性能だった。作業工程の理解は必要だが、《魔力》で細かい工程を省略して結果を出す。ナメシ加工はじいちゃんもやってたし、前領主がそういった書物を揃えていたこともあり、毛皮の加工はすんなり【クラフト】で解決してしまった。
ゴブリンの錆びた武器を【クラフト】で純度高い鉄へと変えた。その純度の高い鉄を使って魔法剣を数本造って父上に売りつけた。その剣は副隊長に配られ一気に戦力を増した。
フフフ、魔法剣は高い金で売れた。俺はその金を使って奴隷を購入した。奴隷に忌避感もあるけど、奴隷制度はこの国に強く根付いており、奴隷も国の法で守られているのでそこまで待遇は悪いものでは無い。
購入した奴隷は
クリスは護衛、カレンは情報収集の仕事をお願いした。グリミナル領都は広大な割りに手付かずの場所も多い。領都の中心と郊外に広い土地を購入した。誰も開拓する者も居ないので激安で購入出来た。
郊外の土地に魔法で畑をつくった。見ていた奴隷3人は驚愕した表情をしていたけど気にしない。【クラフト】で木の柵を造り畑を囲んだ。次いでに管理出来るようにログハウス風の家も造った。
魔の森で採取した土を混ぜ耕す。終わったら溝を作り、感覚をあけて種芋を置いて土を被せていく。種芋は持ってきた芋を【クラフト】で品種改良を加え乾燥させて準備したものを使う。上手く行くように祈る。
ミレイルに頼み、商業ギルドで仕事の募集をかけてもらう。畑を任せる人材を多く確保しておきたい。孤児院にも赴き、働き口を探している子供達にも声をかけた。
「お兄しゃまは何をしているのでしゅか?」
うちの天使こと3歳になる妹のリアである。世話役のメイドのエルを伴って裏庭へとやってきた。
「魔の森で入手した馬鈴薯と言う食べ物の味見をね」
火を起こして、鍋に小ぶりのジャガイモを入れて茹でる。芽も綺麗に除去しているので毒の問題は無い。
「リア、良いかい。少し熱いからフーフーして冷まして食べるんだよ。こう塩をパラパラっとして、ハム! アツッ! けど、美味い♪」
「フーフー ハム!? お兄様、美味しいです!!」
滅茶苦茶可愛いよ!
「おやつに丁度良いよね。エルも食べてみてくれ」
「ーー宜しいのですか?」
「沢山あるしね。今は郊外で実験を兼ねて栽培しているから、上手く行けば安価で手に入るようになるかも? 駄目でも〈魔の森〉でいくらでも採れるから問題なよ。」
探知で直ぐに見つかるしね。
「それでは頂きます・・・美味しい」
「だよね。お腹も膨れるし、栄養素も多いからうちの領地にピッタリだよね」
せめてもう少し調味料があれば・・・【クラフト】にスキル《料理》が派生している。それに【クラフト】でイメージした調味料が造れるだって!? 魔力を使って創造出来る。前世であの味を経験している俺なら! 転生ポイントで習得しておいて良かった。
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調味料作成
〈塩〉〈砂糖〉〈味噌〉〈醤油〉〈酢〉〈油〉
・・・・・・
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これは嬉しい。前世で無駄に多い会食をこなしたことが役に立った。一般的な調味料から名店のオリジナルな物まで一覧に並んでいる。一番嬉しいのは油も調味料として含まれることだ。
これには歓喜の雄叫びを挙げてしまいリアを驚かせてしまったのは仕方がないのだ。
固有スキルってとんでもないんだな。
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名 前 ライル・グリミナル
年 齢 6歳
種 族 ヒューマン
性 別 男
職 業 プロフェッサー
称 号 転生者 辺境伯三男 武神 大賢者
固有スキル
【超健康】
【鑑定眼】
【クラフト】➡️
〈錬金〉〈鍛治〉〈革加工〉〈調薬〉〈農業〉〈料理〉〈解体〉
【ストレージ】
スキル
《魔力感知Lv.11》《魔力制御Lv.10》《魔力操作Lv.10》《魔力探知Lv.8》《研究Lv.3》《書籍化Lv.3》《剣術Lv.6》《体術Lv.5》《槍術Lv.5》《盾術Lv.5》
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