公園から出ていく前に、夕ご飯用に、焼きそばだけ買った。

 猫宮くんが連れて行ってくれたのは、さらに遠くの神社だった。

 長い階段を登った頂上にある。

 運動があまり得意ではないわたしは、息切れしながらなんとか登りきった。

 日はとっくに暮れていた。

「はぁ、やっと着いた……」

「お疲れー!」

 階段の一番上に、わたしたちは腰を下ろした。

 運動したせいか、お腹がぺこぺこだ。

 焼きそばを食べると、夏の味がした。

「もうそろそろかな」

 食べ終わった頃、猫宮くんがつぶやいた──同時に、花火が打ち上がった。

 ……ドォン!

「わぁ……!」

 めちゃくちゃ大きいわけじゃないけど、確かにここは穴場かもしれない。

 こんなにきれいに花火が見えるのに、誰もいない。

「すごくきれい! ありがとう、連れてきてくれて」

「どういたしまして」

 花火に興奮したわたしに、猫宮くんは嬉しそうに笑った。

 ドキッと、心臓が跳ねる。

 階段に置いていたわたしの左手に、猫宮くんの右手が重ねられた。

 顔が、熱い。

「ねぇ、華恋」

「な、なに……?」

 心臓の音なのか、花火の音なのか、もうわたしにはわからない。

「また会おうよ」

 猫宮くんが言う。

 嬉しい。

 わたしも、猫宮くんとこれっきりなんて嫌だと思っていた。

 ……でも。

「夏休みが終わったら、もう会えないよ」

 学校が始まれば、塾も始まる。

 学校も違う猫宮くんと会える時間なんて、あるのかな。

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