連れて行かれたのは、少し遠くにある大きな公園だった。

 中央にヤグラがあって、音楽に合わせて太鼓を叩いている人がいる。

 歩いて行ける距離の公園で、夏祭りなんてやってたんだ。

 学校とは反対方向だったから、全然知らなかった。

「結構、混んでるね……!」

「うん、はぐれないように気をつけて」

 猫宮くんが、すごく自然に、わたしの右手を握った。

 わ、うわ……!

 わたし、男の子と手、繋いでる……!

「華恋、何やりたい? それとも、何か食べる?」

「え、えっと……」

 わたしはキョロキョロと屋台を見渡す。

 夏祭りなんて、小学生以来だ。

 急にワクワクしてきた。

「あ、金魚すくい、やりたい!」

「おっけー」

 人混みの間を二人ですり抜けて、金魚すくいの屋台の前までくる。

 一回分の料金を払って、ぽいを構えた。

「どの金魚にしようかな……」

「みんな美味しそうだよね」

「うん……うん!?」

 猫宮くんの言葉に同意しかけた。

 金魚を美味しそうだなんて、思ったことはない。

 食べるの!?

「あ、うそうそ。冗談だって」

 慌てたように、手を横に振る猫宮くん。

 結局、一匹もすくえずに金魚すくいは終わった。

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