第19話 いざ沖縄へ!
一学期も終わり僕らは夏休みに入った。
夏休みと言えば、海や川。そして夏祭りに
花火。色々なイベント事が沢山ある。
でも僕は格ゲーマーだ。ひたすら格ゲーをしてランクマという荒波に乗る。
はずだった。
「西蓮先輩。もうすぐ空港ですよ。そろそろ起きてください。」
「ふぇ? 今イルカと泳いでるから… 」
西蓮先輩は寝ぼけていた。昨日は全然寝れなかったらしく、飛行機が楽しみと言いつつ離陸する頃には爆睡していた。
「全く… 遊びに行くわけじゃないんですからね。」
「まぁまぁ中山君。かなちゃんも部活で合宿なんかした事ないから楽しみなんだよ。去年は大会にも出れなかったんだし。だから怒らないであげて。」
橘さんは笑顔で僕をなだめた。まぁ橘さんに言われたら僕も強くは言えない…
まぁ強いプレイヤーとも対戦出来るって言うしここは僕も寛大な心でいよう。
「まぁそうですね。僕も楽しみじゃないって言ったら嘘になるんで。 早く色んな人と対戦したいです。」
「ふふっ 中山君沖縄に来ても対戦の事で頭
いっぱいなんだね。私も頑張るよ」
「そういえば橘さんは母さんが呼んだ人知ってるんですか?」
「いや、私もかなちゃんも知らないよ。着いてからのお楽しみらしい。」
「そうですか。どんな人が来るのかな。」
母さんが呼ぶくらいだから相当強い人なんだろうな。
「ねぇみて! あれが空港かしら?!」
西蓮先輩は起きた途端テンションが上がっていた。
「そうですよ。もう準備してくださいね。」
「はーい!」
僕らは飛行機を降り、荷物を貰って空港の
エントランスに向かった。
なんでもeスポーツ施設のオーナーが迎えに来てくれるらしい。
「いやー!やっぱり沖縄は熱いね! あっ!あそこでお土産売ってるよ! 見に行かない?!」
「行かないですよ。もうすぐ母さんの知り合いの人が迎えに来てくれるんですから。」
「えー! 中山君のケチ!」
「かなちゃんさっきまで寝てたのに今は凄いはしゃいでるね。」
「寝不足だとは思えないですよ。全く…」
エントランスで西蓮先輩を大人しくさせていたら綺麗な女性が僕達に話しかけてきた。
「やぁ! 君達が美咲が言ってた子達かい?」
「あ、そうです。えーとあなたは…」
「美咲から頼まれたeスポーツ施設のオーナーの谷 夏菜子よ。美咲から話は聞いてるわ。よく来てくれたわね」
「よろしくお願いします。こちらは部長の
西蓮佳奈さんと副部長の橘未来さんです。」
「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。」
「あらー みんな揃いも揃って美男美女ね!
こりゃあうちのスタッフも喜ぶわよ」
「それに、君達の事は動画で観たことあったわ。3人とも結構強いじゃない。 いい機会になると思うわ。」
「ありがとうございます! 私達eスポーツ
甲子園に出るんですよ! それで強化合宿という形でかしゃまろさんにお願いして来させて頂きました! 」
さっきまで遊ぶ気満々だったのに。
部長としての立ち回りは出来るみたいだ。
「やる気があっていいわね! とりあえずみんな車に乗って。eスポーツ施設まで案内するわ」
この人も格ゲーマーなのだろうか
母さん意外と格ゲーマー以外の知り合いも多いからなぁ…
「それにしても夏菜子さん凄いですね!eスポーツ施設のオーナーって!」
「あはは 昔からねあなた達と一緒で格闘ゲームが好きでね。美咲とは高校生の頃、東京のゲームセンターで出会ったのよ。」
「へー!そうだったんですか!」
「隣町のゲームセンターに鬼強いプレイヤーが居るって聞いてね。ゴリゴリなマッチョみたいな人想像してたんだけど居たのは美咲だったからびっくりしたわ。」
まぁ母さん見た目はゲームとかしなさそうだもんな。
「噂なんか当てにならないなぁって思ったけど、いざ対戦してみたら1回も勝てなくてね。そこから仲良くなったのよ。」
「やっぱりプロゲーマーになる人は昔から強いんですね!」
「流石かしゃまろさんです…」
「まぁ私もそこそこ強かったけど格闘ゲームを極めたいって言うよりはみんなで格闘ゲームする雰囲気が好きだったからこうしてeスポーツ施設を運営するようになったのよ。」
「でもなんで沖縄なんですか? 東京とかの方が人口多いと思うんですけど。」
「私の名前夏菜子でしょ? 夏が入ってるから海!海と言えば沖縄じゃない!」
「なるほど…」
なんとなく母さんと仲良くなった理由がわかった気がした…
「まぁどこでも良かったのよ。それに中山君が、幼少期の時に1回会ってるのよ。覚えてないと思うけど」
「そうなんですか。すみません覚えてはないですね」
「あはは まぁ仕方ないよね。あの子も元気かしらね。」
(あいつを知ってる人か…)
「誰の事なんですかー?」
「あ、いや なんでもないわ。それよりもう着くわよ! あれが私のeスポーツ施設よ!」
「おおー!凄い! 海沿いにあるんですねー!」
海沿いに綺麗な建物があった。パッと見は海の家見たいだけど車もいっぱい停まっていて賑わってるようだ。
「この時期はあなた達みたいな遠征の子たちや海外から来る人も居るのよ! まぁ案内するわ!」
「夏菜子さん!これ招待状です!」
「ありがと! じゃあ受付するからみんなここで名前書いてね。」
「はーい!」
受付を済まして中に進むとそこには、ゲーミングPCがずらりと並んでいた。そして既に沢山の人が格闘ゲームやFPSをプレイしていた。
よく見ると有名な配信者や格ゲーマーも居た。 噂通りの場所で僕はテンションが上がった。
「すごーい! 本当に色んな人が来てるんですね! みくちゃん良かったね!」
「…うん! こんなに凄い施設初めて
見た…!」
「そうでしょ! まぁ色々宣伝とかもして貰ってるからね。おかげさまで繁盛させて頂いてるわ。 一番奥のブースがあなた達の場所だから好きに使うといいわ。フリーの対戦スペースもあるから色々対戦してみて。」
「ありがとうございます! 早速練習するわよ!早く行こ!」
「やる気があってなによりですよ」
ブースに行くと1人男が格闘ゲームをしていた。
「やぁやぁ。やっと来たのかい。待ちくたびれたよ。」
まさか母さんが呼んだ人って…
「この僕が君達を特訓してあげるよ。」
母さんが呼んだ人って父さんじゃん…
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