第18話 格ゲーマーにも夏は来る


「あららー♡優ちゃんもしかして本当にみくちゃんの事好きなの?♡」



「いや、変な事言わないでよ… そんな事ないって…」


思わず変なミスしちゃったよ… せっかく勝てると思ったのに。



「みくちゃんは優ちゃんの事どう思ってるの?♡」


「な、中山君はただのチームメイトです…」



「えー♡ そんな感じには見えないけどなー♡」



「母さんが思うような関係ではないよ…」



「ふーん♡まぁいいわ でもあなた達の実力は大体わかったわ! 結構いい線行くと思うわ!」



「かしゃまろさんやっぱり強かったですよー! でも私達本気で本戦目指してるんでいい経験になりましたよ!」



「なるほど本戦ね… じゃあちょっと待ってね!」


母さんは何やらカバンの中から封筒みたいなのを出して西蓮先輩に渡していた。


「良かったらこれ使って♡ 後これ私の連絡先ね! もし必要になったら連絡して♡」



「おぉー! これは…!」



「母さん何渡したんだよ。」



「女同士の秘密よ♡」


よくわかんないけどまぁ役に立つものなのかな。


「じゃあ優ちゃん私も1件仕事があるからこれで帰るわね! しっかり練習してこの子達の足引っ張らないようにしなさいね!みくちゃんとかなちゃんも頑張ってね♡」


「あぁわかったよ。また連絡して。」


「じゃあ私達もユニフォーム渡したし、帰るわね!」


「中山君また、明日ね。」


「2人ともお疲れ様です。」


さて、少し練習するか。



「それにしても… なんであんな事言われて動揺したんだろ。 普段なら気にしないのに…」



「橘さん… いや彼女はただのチームメイトだ…」


その日の練習は全然捗らなかった。







「お父さんただいまー。」


「おかえりみく。父さん仕事で少し出掛けて来るから適当にご飯済ましといて。」



「わかったよ。」



「先お風呂入っちゃお。」



「それにしても… なんで私あんなに動揺しちゃったんだろ…」



「中山君… ただのチームメイトのはず…」







―――学校


「おはよう!優! もうすぐ夏休みだな!」


「あぁそうだな。」


7月に入りもうすぐ夏休みの季節になった。

高校生活最初の夏休みだが特に予定もない。

ひたすら格ゲーの練習をしよう。大会も近いし。



「夏休みと言えば、祭りに、海に、BBQだよな! 早くマネージャーと付き合って色々な所行きたいよ!」



「でも全国大会近いんだろ? そんな遊ぶ暇あるのかよ?」



「はっ! しまった! 夏休みはサッカー部の強化合宿があるんだった! 俺の計画がぁぁ!」


じょうたろうは頭を抱えていた。

頭はいいはずなんだがこういう所は抜けている。


「でもまぁマネージャーも来るから実質旅行だよな! よし燃えてきた!」



「ポジティブな所尊敬するよ。」



「はっ?! そういえば優!まさかお前もあの可愛い先輩達と合宿とかあるんじゃないんだろうな!」



「いや、ないよ。練習なら家で出来るし。」



「だよな! もし合宿行くとか言ったら危うくぶっ飛ばしちゃう所だったぜ!あはは!」



「理不尽極まりないな。」


じょうたろうは本当にぶっ飛ばして来そうで怖い。 でも今はオンラインが主流だから家での練習がほとんどだろうな。



「じゃあ俺は部活行ってくるよ! 愛しのマネージャーに会いに! じゃあな!」



「またな。」


夏休みまでは橘さんといっぱい対戦しよう。

大会までに仕上げないとな。







「うーん。やっぱりこの色がいいかしらね。 ちょっと派手かしら?」



「かなちゃんならなんでも似合うよ。」



部室に行くと何やら西蓮先輩と橘さんが話し込んでいた。



「お疲れ様です。何話してるんですか。」



「おつかれー! ねぇ中山君! この色どう!」


西蓮先輩は何故か水着の写真を見せてきた。


「えーと、よくわかんないですけどいいんじゃないんですか」



「あー!興味無い顔したー! むぅ」


なぜ僕が怒られるのだろうか…


「海とか行かないんでわかんないんですよ。 」



「もうすぐ夏休みだよ! 後中山君も水着買わないといけないんだよ! みくちゃんもビキニ買うんだから!」



「いや、私は普通の水着あるから大丈夫だよ…」



「ちょっと待ってください。僕海なんか行く予定ないですよ」



「あぁ 中山君にはまだ言ってなかったね!」



「えぇ 勝手に決めてたのかなちゃん…」



なんの事だろうか…



「話がよく分からないんですが…」



「えー!私達eスポーツ部」





「夏の強化合宿に行きます!」



「…まじすか」



「大マジよ♡」




「でも練習なら家でも出来ると思うんですけど。」



「それがね、この前中山君のお母さんから貰った封筒あるじゃない? あれに会員制の

eスポーツ施設の招待状が入ってたのよ!」



「それに旅行券と航空チケットまで入ってたの。 いいのかな」



「かしゃまろさんがくれたからいいのよ。」


まぁ母さん達稼いではいるからな。



「だからこれは合宿行くしかないのよ!

中山君も水着準備するのよ!」


この人は合宿を、遊びに行くと勘違いしてないか…


「強化合宿するのに必要ないんじゃ…」



「何言ってるの! 行くのはここよ!」


チケットを見るとそこには沖縄と書いてあった。


まじかよ。



「だからみくちゃんも水着ちゃんと用意するのよ!♡ せっかくの沖縄なんだから練習だけじゃ足りないんだから♡」



「… 普通の水着しか着ないよ。」


橘さんも水着自体は否定しないのか。

まぁ仕方ないか



「はぁ…分かりました。でもちゃんと大会の練習目的ですからね。」



「わかってるわよ♡」


とりあえず帰って母さんに色々聞こう…






「もしもし優ちゃんー!♡」



「もしもし母さん。なんで西蓮先輩に

チケット渡したの。しかも沖縄って」



「だってあなた達がeスポーツ甲子園で本戦行きたいって言うからよ。」



「だからってなんで沖縄なの。練習なんか家でも出来るよ。」



「まぁまぁ♡ そこのeスポーツ施設はね夏は結構色々な格ゲーマーが集まるのよ! 海外のプロゲーマーも来たりするわ!」



「そ、そうなんだ。でも話が急すぎるよ…」



「それにとっておきの人にあなた達の事頼んであるわ♡ だからきっと格ゲーマーとしても成長出来るいい機会だわ だから文句言わずに行ってきなさい♡」



「まぁそれならいいんだけど…」



「それに良かったじゃない♡ みくちゃんと沖縄行けるのよ♡ 感謝して欲しいくらいだわ!」



「だから橘さんは別に…」



「そういう事だから♡ じゃあ頑張ってね!」



はぁ 行くしかないみたいだな。

でも強い人も集まるのか… 対戦出来るといいな。




とりあえずじょうたろうには内緒にしておこう…


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